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優しい雨の音とBGM。そして、詩的なショートストーリー

【イラストに物語つけてみた! 第二弾】の五作目。
儚く美しい世界観と、雨の音に合わせて描かれる「あまやどりの話」

作は【2号】が担当。


あまやどりの話

           

ある雨の日、彼が待ってたの

「傘、無いと思って」って

本当は折り畳み傘を持っていたけど

「ありがとう」って

傘に入れてもらったの

それから、何度も雨の日だけ待ってるのよ
わたし、いつからか雨の日が待ち遠しくなってね

でも、朝から雨の日はさすがに傘、
持ってきてるもんね

待ってるわけ無いかと思って、
傘をさして出たの

物凄い大雨
傘をさしていても足元から跳ね上がるような

たまらなくて、屋根のあるここに避難したの

そしたら、
向こうからいつもの傘をさした人が
こっちに歩いてきたの

嘘でしょ……、
待っていてくれたの?

申し訳なさと、嬉しさで、胸が苦しくて

どうしよう、なんて言おう、何を話そう
近づいてくる傘を見つめながら思いを巡らせた

傘に当たる音が消えた

「待っていてくれたのに、ごめんなさい」

驚いた……

いつもの傘の下から出てきたのは、
彼ではなく “あなた” だったんだもの

おわり

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