「強い喉と通る声を身につける」
声と喉を強くする
通る声、芯のある声を手に入れる
自信をもてる声になる
歌手、声優、俳優、芸人、一般の人の声と喉の強化。
老け声を防ぎ、若々しい声にします。
声がでない、大きく声が出せない悩みを解決します。
すぐにかすれたり痛くなる喉を鍛えます。
はじめに「喉を強くし、通る声にするには」~第一線の現場から
○声が出にくい
最近、私がレクチャーをしているところには、老若男女問わず、声がうまく出ないという悩みの人が多くいらっしゃいます。
声が通らず、相手によく聞き返される
少し大きな声で長く話すと、喉が痛くなる
声がかすれる、若々しい声出なくなった
大きな声、響く声が出なくなった
など、です。
○声の鍛錬の必要性
一般の人々への、トレーニングやノウハウというのは、プロの分野から降りてくるものです。ファッション誌や化粧やメーキャップと同じです。
そこで、多くのプロともトレーニングを行ってきた私の経験から、この問題と解決策を述べてみたいと思います。
声を鍛錬するという考えは、昔はあったのですが、徐々になくなってきました。武道や俳優養成所などで声を鍛えていたのですが、そういうレッスンも少なくなりました。
私の専門は、ヴォイストレーニングですが、そこでの根本的な問題は、発声の基礎づくりになります。
しかし、歌の上達を目指す人は、高音域やファルセットなどの使い方を学びたがり、喋りのプロを目指す人は、滑舌や発音の明瞭さだけをトレーニングしているのが現状です。
以前は、歌手も役者も、大きな声が出ることが、プロになるための前提だったのです。それがマイクのおかげで、声量がカバーされることになり、パワフルな声やヴォリューム感のある声、メリハリの大きくついたような声が、昔ほど必要とされなくなりました。声があまり出ない人でもプロになれるようになったというふうにみてもよいでしょう。
そのせいで、声の地力がつかないまま応用して、しのいでいます。すると、より声力の必要が高まると声がうまく出せなくなってきているのです。
しかし、それは大きな間違いです。
第一に、プロとなってもあるレベル以上の表現をしていこうと思うのであれば、メリハリをつけたヴォリューム感のある声がなくては、歌であれせりふであれ、通用するものではありません。舞台に行くと、マイクを使わない場合、声が届かないということになります。
ちなみに私どものところが、邦楽や民族音楽の関係者に重宝されてきたのは、マイクを使わないことを前提に、本当の発声の基本トレーニングをするからです。
第二に、できるだけ若い頃から、たくさんの声を使い、喉を鍛えるとともに、その使い方を知っておかないと、いずれ喉が弱り、早く使えなくなるからです。
私が見ていても、昔は50代や60代で衰えてきたという声が、今では40代では当たり前、30代どころか20代後半でも、声のトラブルを抱える人が後をたちません。そこで音声クリニックが大繁盛となります。
しかし、医者というのは元の状態に戻すところまで治療するだけで、声の力をつけてくれるわけではないのです。病気や怪我をして医者に行っても回復するだけで、以前よりも力がつくわけはありません。
○体力と喉の力
科学的な理論やトレーニング方法の進歩によって、スポーツ選手の活躍できる年齢は上がってきています。もちろん、芸能の分野においても、音響技術や演出装置の発達によって、昔よりも現役を長く続けられるようになっています。
しかし、その陰で、多くの人は、体力や喉の限界によって、引退を余儀なくされているのです。つまり、私から見ると、歌手であれ役者であれ続けている人は、体力があり、喉の力が強い人なのです。
スポーツには、フィジカルのトレーナーがついてます。最近は、芸能の分野でも、フィジカルのトレーナーが疲労回復や体力づくりに協力しています。声においては、ヴォイストレーナーがその役割を果たすべきなのですが、多くの場合は、その人の今の声を調整して、よく出せるようにすることで終わっています。
私がヴォイストレーニングを指導し始めたのは、平成になる頃で、その頃には、お腹から声が出るようなことが目指されていたのです。そうではない人は、身体と声、喉を鍛えることが必修でした。
今でも、芸能の世界に行く人は、体力作りには励んでいます。歌唱の分野では、歌よりもダンスが上手い人の方がもてはやされたりするほどです。ダンスにおいて、海外ほどのレベルには至ってないとはいえ、日本では、著しく技能が向上したのです。
スポーツやダンスのように歌手や役者が世界レベルに追いついていないということは、身体能力の中での、喉や声の力の問題が、日本では片付かないできたということです。いいえ、ますます問題が大きくなり、コロナ禍中で、さらに拍車がかかりました。
○ヴォイストレーニングは普及したけれども
ヴォイストレーニングは、普及し、ヴォイストレーナーとなる人もたくさん出てきました,しかし、多くの場合は、声の鍛錬でなく声の調整を目的としています。ある意味で整体やマッサージという役割です。
プロのスポーツ選手やアスリートとして活躍している人が、調整や回復のために、そういうところに行くのは、意味があります。身体が老化したり病気などで弱った人が、行くのも同じです。
しかし、これまで、そこまでのレベルに達してないような人たちが、実力の向上を目指したときに、そこに行っても大きく変わるわけはありません。
なのに、なぜヴォイストレーニングでそういうことがなされていなかったのかというと、やはり、この2つのニーズに対応していたからだと思われます。
そして、何よりもトレーナ自体が、声を鍛えることに踏み込んでいないからです。
「喉の筋トレ」と捉えない、「声そのものが変えられる」とは考えない人が多いからです。
この問題はとても複雑で、ヴォイストレーニングとかヴォイストレーナーといっても、皆が同じやり方をとっているわけではないので、大きな傾向を述べるに止めます。トレーナにもいろんな考え方ややり方をしている人がいるので、一つに、まとめるのは無理だからです。
ただ大きく分けると、トレーナーには、2つの傾向が見られます。
一つは、元々、声が出る人です。そういう人は、声の出ない人のことがわからないし、多くの場合は小さな頃から長い年月をかけて、トレーニングというよりは、日常生活の中で、声を習得したために、そのプロセスをメニューとしては提供できないのです。
もう一つは、声が出なくて苦労して声を身に付けてきた人です。これにも二通りあって、鍛錬するようなハードなトレーニングを短期にして、喉を壊した後に、調整をしてきた人、これは努力をしてきたということで、トレーナーになる人にも多いのですが、それ故、声を鍛えるということにとても否定的になる人が多いのです。自分の過去のトレーニングを否定し、同じ轍を踏ませまいということで、調整のトレーニングに終始するのです。安全第一なのです。ですから、声そのものの器として大きくなることはありません。ここで取り上げるのは、こういうタイプの人が、私の考え方に真っ向から対立してきたからです。
つまり、私の意図からいうと、多くのヴォイストレーナーは、この目的にはあまりふさわしくないということがいえます。もちろん、彼らのやり方が間違っているわけではありません。
ただ、声を大きくするのに喉を鍛えるというような考え方がないのです。ですから、声が変わったといっても、少し長く伸ばせるようになったり、歌いやすくなったり、高いとこが出せるようになったというようなことなのです。音色、音質が、変わらない、つまり発声法そのものが基本的なところから変わったというレベルのことではないのです。
○一声で違いがわかる声
喉は持って生まれたものだから、その使い方や機能はトレーニングできるが、器質そのものは変えられないという考え方があります。そしてまた、変えない方がよいという考え方もあります。
どちらも私は認め、実際の指導では、そのように対応することもあります。
プロとして声を使っている人の中には、何ら声の音色や発声法を特別に変えなくても、通用してる人がいるからです。現実がそうである以上、それを目指す人には、その方向で進めるのが当然のことです。
そもそも、声が変わるとか変わらないとかいうのは、程度の問題で、明らかなボーダーラインがあるわけではありません。他の人が変わったといっても本人が自覚しないこともあります。本人が変わったといっても、他の人が気づかないこともあります。
私から見ると、そういう曖昧な基準では、トレーニングの成果など、主観的なものであって図るようがないのです。だからこそ、絶対的に、「一声で声の違いがわかる」、そうした声を目標に取ってきたわけです。
なによりも、私が指導している人たちには、オペラや邦楽などのように、明らかに、始める前と音色や響きが変わることが求められる場合があります。それは、「役者声」の俳優や落語家、講談師、その他、多くの、声をプロとして使う職に見られます。
もちろん、一般の人でも、声を特に使うような商売の人は、結果として、鍛えられて違ってきます。例えばお祭りなどで、音頭を取る人や歌い上げる人、プロの声をしています。武道などでも、入門したときと5年後10年後は、掛け声1つ,声の威力が違ってくるのはわかると思います。
そのぐらいの成果も出せないものを、私はヴォイストレーニングとは呼びたくないのです。
ですから、そのようなところに目的にとったときに、初めて,声のトレーニングとしてのヴォイストレーニングは成り立つと思うのです。
○十人十色の声
私は昔、始めた頃は、自分のように徹底して10年行えば、100%誰でも、鍛えられるし変わると思っていました。ただ、自分ほどに徹底して、そういうことを続けられるという人が少ないことを知りました。
それとともに、人によっては、かなり注意深くていねいにしておかなければ、声を壊しては治り壊しては治りで、先に行けないタイプがいるのもわかりました。
そこがアスリートと違うところです。身体のなかで大きな筋肉は、壊しては再生して強くなっていくのですが、喉はそういうものではありません。ですから、とてもていねいに、喉から呼吸を含めて10年がかりで、鍛えていくのです。
それが、日本の中でも、これまた全てが理想的とはいえないので,お薦めするのは難しいのですが、世界中で声楽では同じことを行っています。本格的なトレーニングにおいて、に限りますが。
○自分流プログラムと普遍的プログラムの融合
私が、共に10年以上トレーニングを行ってきた生え抜きのトレーナーたちと15年行ったあと、音楽大学卒の優秀な声楽家たちをパートナーのトレーナーに選んだのは、彼ら声楽家のなかには、個人の資質を除いたところに確実に積み上げていくトレーニングのプログラムを実行してきた人が、それなりにいたからです。
つまり、私自身と私のやり方が当てはまった10年選手たちのノウハウというのを、それ以外の人たちも持つ人がいるから、突き放して、統合させたのです。
ある程度、早くハードに身に付けていくというやり方をリスクを踏まえて、保留したということです。こちらをブレスヴォイストレーニングとしています。つまり、これは限られたタイプの人でハイレベルの目的を持つ人に対してのみ、行っています。
一般の人や日本でのプロやそれをめざす人には、リスクを最大限にさけた方法で行うべきだと思ったからです。つまり、養成所から、研究所の研修所,相手に応じて柔軟に対応できるようなレッスンの場にしたわけです。
アスリート以上に、声というのは、肉体的、物理学的、力学的な問題以上に、芸術的、感性的、個人の素質などが入り、求める結果も違うので、1つのプログラムにはできないものです。
とはいえ、徹底して発声を強化していくという当初の目的は変わりません。
私からみても、しっかりと本当の発声の基礎を学んだ声楽家は、一言でいうと共鳴の専門家です。
それは日本の歌を歌いたい人が求める、高音域発声にも有利です。また、日本語でしか練習してきていない他の声の職業の人たちに対し、発声における共鳴という基礎中の基礎を伝えられます。
目次
はじめに「喉を強くし、通る声にするには」~第一線の現場から
○声が出にくい
○声の鍛錬の必要性
○体力と喉の力
○ヴォイストレーニングは普及したけれども
○一声で違いがわかる声
○十人十色の声
○自分流プログラムと普遍的プログラムの融合
(1)声とヴォイストレーニング
○プロの声の定義
○通じる声をもつ
○生の声の力と個人差
○頻発する発声障害
○共鳴について
○正誤で判断できるもの
○声の実力
(2)呼吸から発声へ ~声の地力をつける
○鍛えた声とは
○声は総合力
○呼吸
○声立て
○基本的なトレーニング方針
○発声から共鳴へ
○共鳴の大切さ
○頭部共鳴
○役者の声
○胸声と頭声
○身になる基本練習を
<コラム>通る声
(3)基本トレーニングメニュ
○母音の発音
○子音の発音
○調音点による子音の分類
○調音法による子音の分類
○子音の調音表
[50音の単音のトレーニング]
[50音交錯表のトレーニング]
[早口ことばのトレーニング]
○外国語の発音
[イタリア語でのトレーニング]
〇滑舌のチェック
○アーティキュレーション(articulation)
〇日本語のアクセントの法則
○高低アクセントの型
[アクセントのトレーニング1]
[アクセントのトレーニング2]
[アクセントのトレーニング3]
〇プロミネンス~強調(際立て、卓立)
○プロミネンスをつける
[プロミネンスのトレーニング]
○会話文でのプロミネンス
[強調のしかたのトレーニング]
〇声の調子
[声の調子に変化をもたせるトレーニング]
〇チェンジ・オブ・ペース
〇フレージングとチェンジオブペース
[ブレスのトレーニング]
[緩急の表現のトレーニング]
〇間・ポーズ
[間をつかむトレーニング]
[気持ちを声に出すトレーニング]
[感嘆詞を使って声を伸ばすトレーニング]
[感情の声のトレーニング]
[強い感情のこもった声のトレーニング]
[クッションとして使えることばのトレーニング]
[同調の声のトレーニング]
[声を切り替えるトレーニング]
[反応を伝える声のトレーニング]
[反応が伝わる声のトレーニング]
[語尾をきちんと下げるトレーニング]
[語尾をあげて聞き直すトレーニング]
[復唱のトレーニング]
[疑問を表すトレーニング]
[感心を表すトレーニング]
[気持ちを伝えるための共感ワードのトレーニング]
[あいづちの共感トレーニング]
[ねぎらい、いたわる心をのせるトレーニング]
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