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そして、、、卒業式

アメリカ生まれ、アメリカ育ちの18歳、スペシャルニーズの息子がとうとう高校の卒業式の日を迎えた。

この卒業式には大きな二つの意味があった。

一つ。この学年はコロナのロックダウン真っ只中に中学卒業となってしまった為、公式な一同が集う卒業式は初めてだったこと。

もう一つ。17年間お勤めになられた校長先生がこの卒業式をもって教職を完全にリタイアされること。涙の式辞となった。

一般的な普通科の生徒さん達にはDiplomaが、スペシャルニーズの生徒さん達にはCertificateが授与される。ざっくり言うと、ディプロマが卒業証書(在学中に必須単位数を取得)、サーティフィケイトは修了証(アカデミックなお勉強よりも社会性を育てるソーシャルグループやライフスキルの履修が重視・各自のプログラムが提供される)という括りになる。

高校のディプロマは大学の進学はもちろん、就職にも必要となり、アメリカで働く為の基本となる卒業資格だ。地域のアダルトスクールにもDiplomaコースがあり、戦争や何らかの影響により自国で十分な高等教育が受けられなかった移民にも履修機会が与えられている。

高校の卒業時にはCertificateだったスペシャルニーズの生徒さんがその後、地元のコミュニティーカレッジに何年も通い続け、Diplomaを取得した学生さんもいる。ご高齢になられてから大学に戻る方もいる。サラリーマンも夜学に通い、主婦も子育てが一段落すると大学に行く。学びに年齢、国、性別、障がいの有無は関係ない。

さて卒業後、息子のクラスの生徒さん達は大体Post-secondary(ポストセカンダリー)と呼ばれるプログラムに沿って更に4年間、職業訓練や適性・ソーシャルワークを履修しつつ、本人が望めばカレッジでの履修や寮・グループホームへ入居しライフスキルの支援が行われる。

全ての手続きにおいて18歳(アメリカでは大人認定)となった本人の意思決定が最優先事項となる。「英語、よく分からない。」「システムが複雑で、理解不能だから。」では通らない。子どもが18歳を迎える誕生日までにお金と時間と労力を掛けて裁判所に赴き、親はコンサバター(後継人)となっておかねば彼(女)らの手続きにその日から手も足も出せなくなるから準備は大切だ。

我が家はこちらのPHPで後継人制度の講習を受け、スペシャルニーズに特化した弁護士さんをご紹介頂き、息子が17歳になってから手続きを始めた。

日本の保育園(厚労省)と幼稚園(文科省)の違いと同様に、障がい児教育も三歳まではリージョナルセンター(地域の包括支援センターのような所)、四歳から高校卒業まではディストリクト(地域の教育委員会)、その後はまたリージョナルセンターの管轄となる。ややこしい。

アメリカで障がい児を育てていらっしゃる移民の親御さんは意外と多い。そして、彼(女)らが自分らしく前向きに社会の一員として生きていけるよう今の自分に出来る事を一人一人が全力でサポートして下さっている、それがよく分かる卒業式となった。

息子よ、卒業おめでとう。よく頑張ったね。とても誇りに思うよ。
高校の先生方、4年間大変お世話になり、ありがとうございました。
お友達、先輩、後輩の皆さん、たくさんのサポートをありがとう。


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