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「誰でも書ける」という幻想~「神・文章術」を読む

結論から言えば良い本だと思う。

まず長年ブログを書いている筆者なので文章が圧倒的に読みやすい。内容は日々思ったことを「書き捨て」することから始める。自分が一体何に悩んでいるのか、仕事のどこで詰まっているのかを思いつくまま「書き捨て」することで、自分と世間の距離を測り「世界観」を形作る。「世界観」がはっきりすれば自ずと自分が将来やりたいことやアイデアが見つかり、「物語」を書くように人生が変えられる。そんな感じ。

実際この本を読むことで書くことへのハードルはかなり下がった。こうやってnoteに思ったことを書き始めようというきっかけにもなった。が、それでも本に書いてあるようなトントン拍子に行くことはレアケースなんじゃないかな?って気もする。約1か月続けてみたが、苦労しているところが3つある。

【その1】書いて解決できる悩みは意外と少ない
本書では悩みを3種類に定義している。「解決できる悩み」「解決困難あるいは解決不能な悩み」「冷静に考えれば悩みにならないもの」の3つだが、本書では解決できる悩みの中に人間関係の問題が分類されている。経験則だったり受け売りだったりするが、これまで生きてきて相手がある悩みが明確に解決したことが無いのでこれに対しては疑問符がついてしまう。自分は悩みの大半が人間が絡むことなので、書き捨てにも同じような内容が並んでしまい、かつ山積した解けない悩みに頭を抱えている。

【その2】デスノート化が避けられない
その1で書いた通り悩みの大半が相手あってのこととなると、その人物の悪口や気に入らないところの羅列、いわゆるデスノート化が始まる。本書の中では「嫌いなものを嫌いで終わらせず具体的に嫌いな理由を書くこと」とアドバイスされているが、まだその域に達することができないでいる。隣の席の奴がワキガでこれからの季節のことを考えると憂鬱だなんてどうやって解決すればいいんだ…。血生臭い方法しか思いつかない。

【その3】筆圧が強すぎて書く気が起こらない
馬鹿にしてんのか?と思われるかもしれないが、自分ではこれが一番死活問題だったりする。筆圧が強すぎて書き始めてもあっという間に疲れてしまい、思うように書けない。力を抜いて書いてみるも、消しゴムのカスと区別のつかない生成物を眺めてると書き続ける気持ちが萎えてしまう。書く力を鍛える前に書く力(物理)を見直さなければならないこのジレンマ、誰かわかってくれる人はいるだろうか。

ここまで書き捨てのつもりでいちゃもんのようなものを書いてしまったが、「書き捨て」→「世界観の構築」→「未来の物語」は自分の中ですごくしっくり来るメソッドだと思うし、まだ始めたばかりなのでこれから変わってくる可能性ももちろんある。あわせて買った「書く瞑想」もアプローチに似ている点が多く、ブロガーの経験とコンサルタントが引用する研究結果が近いということはそれだけ効果的な手法なのは間違いなさそう。書くことは本書の中で書かれているほど自分にとって簡単なことでは無いが、新たな自分や閃きに出会えると信じてもう少し続けていきたいと思う。

「書く瞑想」の感想もまた改めて記事にしたい。

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