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【DESTINATION】PROLOGUE

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物語に登場する星や国、人類の歴史、世界観の紹介です。
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【DESTINATION】プロローグ16 希望の剣士

【DESTINATION】プロローグ16 希望の剣士

世界最強軍団「ベルゴルド」。正体不明の魔物「怨魔」。双方から波状攻撃を受け、底知れぬ恐怖を味わうジャポル国民。

つかみかけた勝利が手のひらからこぼれ落ち、水と食糧は底をつき始め、心身ともに追いつめられたジャポル軍は、戦う気力を失いかけていた。

この状況を知っているはずの同盟国「アルメニカ」「ランス王国」「イングランデ」「スペイル」に動く気配は見られない。軍事支援はおろか、物資の援護も一切ない。

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【DESTINATION】プロローグ15 怨魔

【DESTINATION】プロローグ15 怨魔

地獄の使者ベルゴルド軍の侵攻により、焦土と化した「ジャポル」。激しい戦火にさらされた国民は、平和な日常、夢や希望、明るい未来を奪われ、絶望の淵へと追いやられていた。

言葉では言い表せない苦難の日々。

ベルゴルド政府は、ジャポル人の首ひとつにつき、10万円の報酬を与え、殺害を奨励。これにより、軍の士気は最高潮に達していた。

被害者はジャポル人だけにとどまらず、県境ごとに置かれた検問所では、在住

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【DESTINATION】プロローグ14 因縁

【DESTINATION】プロローグ14 因縁

資源が少なく、国土も狭い。軍事力ももたず国民は非力。それでもベルゴルドがジャポルを支配しようとする理由。

そこには、愚排社会の実現と理想郷創設(自分に逆らう愚か者がいない世界)を目論む、皇帝カイザーの思惑と因縁が渦巻いていた。

「世界の中心に位置するジャポルを盗る」

それは、世界制覇に向けて一番の障壁となる宿敵「アルメニカ」だけではなく、ありとあらゆる非同盟国を射程圏内にとらえることを意味す

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【DESTINATION】プロローグ13 終わりの始まり

【DESTINATION】プロローグ13 終わりの始まり

ときをさかのぼること4年前、2018年8月6日、月曜日。東の海上から張り出す高気圧に覆われたジャポルの空は、雲ひとつない快晴。

真夏の太陽が昇ると、強い陽射しが照りつけ、気温は32.5度まで上昇。20日連続の猛暑日となった。 

時刻は午前7時36分。

朝食を済ませたサラリーマンやOLが、出社のために駅へと向かう、あわただしい時間帯。

公園では音楽を聞きながら朝のランニング、体操を楽しむ若者

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【DESTINATION】プロローグ12 自然美と歴史の国ジャポル

【DESTINATION】プロローグ12 自然美と歴史の国ジャポル

この世界に存在する大陸は「ローラシア大陸」「ラフリカ大陸」「イーストラリア大陸」「南アルメニカ大陸」「北アルメニカ大陸」「アーリア大陸」「南極」の7つ。

その中心に「ジャポル」という小さくも美しい島国があった。

諸外国における、この国へのイメージは「科学技術が発達した国」「豊かな自然と伝統文化をもち、歴史遺産が豊富」「治安が良く安全」「独特な食文化がある」と良い印象を抱く人が多い。

ジャポル

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【DESTINATION】プロローグ11 軍事帝国ベルゴルド

【DESTINATION】プロローグ11 軍事帝国ベルゴルド

世界の覇権を握る国「アルメニカ合衆国」。その大国と双璧を成す強国「軍事帝国ベルゴルド」。

46の州と9の地方、3の連邦市、22の共和国、ひとつの自治州、4の自治管区。計85の連邦構成で成り立つ連邦共和制国家。

アルメニカと同じく多民族文化をもつ国であり、190もの民族が暮らす。「ベルゴルド正教」のほか「ラムイス教」「仏教」「ヴァラドス教」などの宗教が信仰されている。

首都
・ソルビエ

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【DESTINATION】プロローグ10 アルメニカ合衆国

【DESTINATION】プロローグ10 アルメニカ合衆国

歴史上、人類が絶え間なく続けてきたこと、それは「戦争」。戦争は太古から続く人類の営みの側面であり、最も原始的かつ暴力的な解決手段。

「自分の欲求を実現する」人はそのために人を傷つけ、血と涙を流させ、命と尊厳のほか、あらゆるものを奪う。

人間は「欲」「残虐性」「暴力性」にまみれた悪魔。

現代社会が近づくにつれ、戦争における対立の構図は複雑化の一途をたどる。

「人種対立」「思想の対立」「宗教・

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【DESTINATION】プロローグ9 新たな時代

【DESTINATION】プロローグ9 新たな時代

「近代」

政治においては「民主主義」、経済面では「資本主義」が社会の基盤になり始めた時代。農業中心だった産業が、工業中心に移り変わった時代でもある。

「期間」

18~19世紀にかけて「市民革命」・「産業革命」が起こり、資本主義社会が確立してから「パアル湾戦争」が終わる(1918年)までの約200年間。

「近代の特徴」

中央集権・主権国家体制は「近世」同様に続いたが、国を動かす権力は国民が

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【DESTINATION】プロローグ8 ファミーユ神族

【DESTINATION】プロローグ8 ファミーユ神族

「中世(15世紀中期)」

家族、身内、親しい友人、恋人を殺され、手に入れたわずかな自由すら奪われた農民たちの怒り。

王族に向けられた彼らの憎悪は、封建制社会崩壊後も消えることはなかった。

暴徒と化した農民は、家屋や洞窟で息を潜める「王」や「貴族」、その親族を見つけては町まで引きずってゆき抹殺。

幼い子ども、女性、老人であっても、王の血を引いていれば、おかまいなし。王族たちは自ら開発した処刑

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【DESTINATION】プロローグ7 人類の歴史

【DESTINATION】プロローグ7 人類の歴史

「先史時代」

約700万年前、ティエラに出現した人類の始祖「猿人・アウディス」。そこから、さらに進化を遂げた「新人・サイエレス」。

彼らが生きていた時代と、文字による資料が残っていない時代全般を「先史時代」と呼んでいる。

「サイエレス」から進化した「リュクラス」が文字をつかっていたのは「先史時代末期」。

※彼らが石碑に刻んだ文字は、解読不可能なため、文献とはみなされていない。

「先史時代

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【DESTINATION】プロローグ6  邪心

【DESTINATION】プロローグ6  邪心

エルシドが世界から忽然と姿を消したころ、人類はある大きな問題に直面していた。

賢くなったがゆえ、発展したがために、余計なものまで背負い込んでしまう。

それは「怒り」「憎しみ」「怨み」「嫉妬」「悲しみ」「苦しみ」「絶望」「破壊衝動」「攻撃性」などの負の感情。

不安や恐れから物事を消極的に考え、本来もっている力を発揮できなくなり、結果がともなわなくなる負の連鎖。

同じあやまちの連続、自分の失敗

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【DESTINATION】プロローグ5 幻の大地

【DESTINATION】プロローグ5 幻の大地

母なる星「ティエラ」は、誕生から現代までの約46億年間、さまざまな星や生命と協力し合いながら、絶えず進化をつづけてきた。

地層の調査から「44億年前には海と陸が存在していた」と明らかになっている。

当時、ティエラにあった大陸はひとつのみ。

それは北半球から南極にかけて広がる、陸続きの広大な大陸。これが集合と分裂を繰り返し、7つに分断されていくこととなる。

大陸が分かれる秘密は、ティエラの表

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【DESTINATION】プロローグ4 受け継がれし命

【DESTINATION】プロローグ4 受け継がれし命

「彗星」

「彗星」は、太陽系にある天体の仲間。「尾」をもつのが特徴。

成分は80%が水(氷の状態)。このほか「岩石」「二酸化炭素」「一酸化炭素」「ガス」「微量の塵」。「イオンテイル」と呼ばれる尾は、それらが太陽の熱で暖められ、溶けて噴出したもの。

ティエラやほかの惑星とくらべると、かなり小さく、本体の大きさは数kmから数十km程度しかない。

天体は太陽を焦点とし、その周囲を楕円軌道を描きな

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【DESTINATION】プロローグ3 生命誕生

【DESTINATION】プロローグ3 生命誕生

「真核生物」「原核生物」「原生生物」。ティエラで生きる生物には、大きく分けてこの3つのグループがある。

これら3種の最も大きな違いは、細胞内に核をもっているか、そうでないか。

「真核生物」

細胞内に核膜で包まれた核をもち、DNA(生命の設計図)を、その核の内部に収容した生物が「真核生物」。

ヒトを含む動物や植物、カビ、キノコ類などの「真核生物」は「原核生物」にくらべ、サイズが大きく個体数が

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