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スポーツファーマシストとは

スポーツファーマシスト資格更新のため、eラーニングを受講しました。
診療所に勤務して2年となりますが、調剤はほとんどなく主には院内での薬剤物品管理、処方サポート、院外では地域の薬局サポートがメインの仕事になっています。
ドーピングにかかわる相談は…最近は全く相談を受けていません。
薬局で働いていた時にはスポーツファーマシストのチームがあり、スポーツ大会などでのアンチ・ドーピング啓発イベントや、トレーナー、コーチを対象とした講習会などの運営に参加していました。

「スポーツファーマシスト」について簡単にまとめておきます。

  1. 薬剤師とは

  2. 薬とは

  3. ドーピングとは

  4. 禁止される物質

  5. アンチ・ドーピングとは

  6. スポーツファーマシストとは

  7. e-Learningを受講して

1.その前に、薬剤師とは


国家資格として薬剤師免許があり、薬剤師として「薬の適正使用」がその業務の目的としてあります。薬の適正使用とは、薬の悪用や誤用を防ぐといったものです。薬についての正しい知識や、薬の特性と人にとっての有用性、そして危険性も熟知していないと何をもって適正なのか判断できません。大学薬学部を卒業し、薬剤師国家試験に合格、薬剤師として登録された者が薬剤師免許を受け、薬剤師として働くことができるわけです。
いくら知識があって、薬に詳しくとも国からの許し(免許)がないと、法的に守られたり、責任を負ったり、仕事として公金(報酬)をいただくことができません。逆に、その部分をおろそかにした場合には責務を全うしていないことになります。
病院、診療所、薬局、試薬会社、医薬品卸、行政…と薬の管理について適切性を求められるところその資格は使用されます。

2.そもそも、薬とは


なかなか本題に入れませんが、そもそも薬とは何なのか。
簡単に言うと、人の体に影響を与えるために作られたもののことです。つまり生体への影響を目的として作られたものが「薬」と呼ばれるものであり、食べた物が結果的に影響を与える場合は薬ではなく食べ物なのです。人為的につくられたもの、科学(化学)技術=テクノロジーになります。
薬に限らず、テクノロジーは人類に便利な生活をもたらす半面、悪用されること、誤用されてしまう事故は常であり危険があるものはそれなりに規制されています。
たとえば、無人で空中を操作できるドローンは、便利な技術でありますが悪意を持って使うこともできてしまいますし、また間違った使い方で事故にもなりかねないのもでもあります。

3.そこで、ドーピングとは

ニュースでも見るドーピングの報道、何がダメなの?と考えたことはありますでしょうか。かなり重い罰則があり、選手生命にかかわる大きな事件であることは何となくわかると思います。
まず、フェアじゃない。薬の力を頼り、本来の自分で勝負していない。卑怯じゃないか、と当然思います。それで勝負に勝ったとしても、一体何になるのかと考える方もあるでしょう。しかし、プロスポーツともなると勝敗、成績が死活問題となってしまうこともあり藁にもすがりたくなる気持ちも理解できるのではないでしょうか。もちろん、全力で勝負するからこそ、勝ち負けに関係なく見るものを感動させることができる。薬を使って競技力を高める行為、すなわちドーピングはスポーツの価値を損なうことこそが大きな罪になっています。
悪意を持って、パフォーマンスの向上のため薬を使うこと以外に、それを隠蔽しようとすること、悪意がなくとも「うっかり」摂取してしまったために禁止されている薬物が体内から検出されることもドーピングとなります。自分の意志でなくとも、知らずに摂取してしまったとしても禁止薬物が検出されたらドーピングとなってしまうのです。つまり、アスリートは自分の体に取り入れるものすべてに責任を持つことがスポーツの価値を守るために必要なことになります。

4.禁止される薬物とはどんなものか


すぐにステロイドを想像される方も多いと思います。蛋白同化薬という分類になりますが、タンパク質の合成を促進するものであり筋肉をはじめ全身に影響を与えます。しかし、過剰に摂取することで精神に大きな影響を与えてしまうことが知られており過去にはたくさんの悲劇を生んできた歴史もあります。中には成分として少量でもサプリメントに含有されるものもあるので注意が必要です。禁止される物質には蛋白同化薬のみならず、興奮作用をもたらすもの、競技によっては逆に精神の安定を図るもの、それらを体外に排出させるための利尿剤など隠ぺいに使用されるもの、そして人体に対しての使用が認められていない、データがない未承認物質があります。いずれも、原則としては競技力を向上させうるもの、アスリートに対して健康に影響を及ぼすもの、スポーツの精神に反するもの禁止と選定されます。
選定されたものは、禁止表国際基準として毎年更新されます。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)において、最新の科学的根拠にもとづいて新しいものへと検討がなされ9月29日に公開、それを受けて日本語訳から確定作業を行い12月に公開、1月1日に発行されるものです。

5.アンチ・ドーピングとは

ドーピング行為に反対する活動をアンチ・ドーピング活動といいます。クリーンでフェア(公正)なスポーツを守ってく活動となりますが、ドーピング行為の排除のみ、ではなくアスリートの健康を守るためにそのリスクを理解しスポーツの価値とスポーツの概念全体を守るための活動としています。基本理念の最上位にはアスリートの健康が位置づけられ、クリーンなスポーツに参加する、適切な治療が必要な場合にはちゃんと治療をしてスポーツに臨むアスリートの権利を守ること、またアスリートは自分の身体に取り入れるものに責任を持つ必要があることを啓発しています。

6.そして、「スポーツファーマシスト」とは


スポーツファーマシストは、スポーツにおける薬の正しい使い方、薬に関する教育などの普及啓発を行う薬剤師の認定制度です。日本アンチ・ドーピング機構(JADA)という、日本におけるアンチ・ドーピング活動を推進すべく2001年に設立された公益財団法人により講習や試験合格のうえ登録される認定制度となっています。
アスリートは薬をつかってはいけません、というものではなく「正しく使う」ための専門家相談窓口です。すべてのスポーツを楽しむ方に対して、万が一病気や怪我をして薬を使う際には相談できる資格となっています。
治療が必要場合で、薬を使う場合、止むを得ず禁止されている薬を使用せざるを得ない場合には、治療使用特例(TUE)というものがあり、それをご自身の競技レベルに応じた申請先に申請して試合に臨むことができます。


7.eラーニングを受講して


1月1に2024禁止表国際基準が発行され、受講期間ギリギリで受講しました。
変更として、サプリメントに含有されている物質が例示物質として追加されている点が目につきました。ヘルスケアの分野でも研究が進んでいることも感じますが、一方新しいものは歴史が浅く長期の摂取でどんなことが起こるのかわからない部分があります。また、成長ホルモン分泌促進物質(GHS)では、カプロモレリン(イヌ、ネコの食欲ホルモンに影響をあたえるグレリンの類似物質)、イプタモレン(MK-677:栄養補助食品に含有されていることが多い)が追加となっていました。医療分野では限られた範囲ですが、食思低下の改善目的で使用されることが認められているアナモレリンの類似物質になります。日本で承認されていない、また研究中の物質を知ることができますね。


ざっくりですが、言語化して、人に伝えることで、振り返り、自分の中での理解度をはかることができるかと記事にまとめてみました。



https://www.sp.playtruejapan.org
https://www.playtruejapan.org/about/

(出典・参考資料)JADA 日本アンチ・ドーピング機構
スポーツファーマシストHP



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