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還暦不行届

私は安野モヨコ先生の大ファンだ。

どれだけ好きかと言えば、

めたくそ疲れた後の仕事終わりのキンキンのビールくらい。
いや、寝坊したと思って飛び起きたら今日休みだって思った瞬間くらい。
いやいや、時折出てくるわーちゃんのコッペパンが言えなくて可愛すぎるのショート動画くらいかな。

なんちて。 

失礼しました。爆。

間違いなく人生に影響を与えた漫画家
ベスト5には入る。

兎にも角にも、大好きな安野モヨコ先生。

中でも一番好きな作品は
やっぱり「ハッピーマニア」

全ての恋愛の型が
ハッピーマニアに入ってると行っても
過言ではない。

私の恋愛もハッピーマニアからの
影響モロ受けで。

マジで恋愛の師匠、いや神。
あぁ。モヨコ先生。

アンノーマル展にはもちろん行った
生原稿に思わず涙
大好きなシゲカヨ&名言



先生が漫画を描くのをお休みされて
また少しずつ描き始め、
しばらくが経ったある日。


「後ハッピーマニア」の連載を知り、
飛び上がるほど嬉しくて嬉しくて。

単行本一巻を読んだとき、涙が出た。
(もちろん泣ける内容だからとか
そんな意味の涙ではない)

「もし、あの頃から衰えていたらどうしよう…」
ほんの少しだけの不安を持ちながら
読み進めてしまった自分を激しく後悔した。
(モヨコ先生失礼致しました。)


私の心配なんてなんのその。
サイコーーすぎる。涙涙涙。

前のまんま!
むしろ前より面白くなってるやん!!

鳥肌が、ぶぁぁと立って、
満足度マックスの読後感。

ハッピーマニアの勢いは残したまま
現代風にアレンジを加え
歳をとったシゲカヨ、フクちゃん、タカハシ…

アラフォー、アラフィフのお悩みから
離婚問題、不倫問題。
だか、全く暗くなくって、
むしろプー!と笑ってしまう作風は変わらずで。
元気もらえるんですよ。

かつて、
「監督不行届」の後書きで
監督が以下のように語っている。

「嫁さんのマンガの凄いところは、マンガを現実からの避難場所にしていないところなんですよ。今のマンガは、読者を現実から逃避させて、そこで満足させちゃう装置でしかないものが大半なんです。

中略

嫁さんのマンガは、マンガを読んで現実に還る時に、読者の中にエネルギーが残るようなマンガなんですね。読んでくれた人が内側にこもるんじゃなくて、外側に出て行動したくなる、そういった力が湧いて来るマンガなんですよ。

中略

『エヴァ』で自分が最後までできなかったことが嫁さんのマンガでは実現されていたんです。ホント、衝撃でした。」


そう!
そういうこと!!
監督は、
私が思っていたことをまさに 
言語化してくれていてた!!

まさにこれこそがモヨコ先生の 
作品の醍醐味なのですよ!!

読後は、パワー満タンになり

「よっしゃ、今から外行って
恋でも探しに行こかい!!」

そんな気持ちにさせてくれる。
こんな経験は他の作品では滅多にない。


余談だが、私はやはり漫画にリアルを求めている
部分が多々ある。
どうしても、人間の内情、心理をついたものを好む。
それは監督のこのセリフが全てを物語っているのだ。

大事な事なのでもう一度。

「今のマンガは、読者を現実から逃避させて、そこで満足させちゃう装置でしかないものが大半なんです。  

嫁さんのマンガは、読んでくれた人が内側にこもるんじゃなくて、外側に出て行動したくなる、そういった力が湧いて来るマンガなんですよ。」

虚像の世界に籠るのではなく、
外側へとエネルギーを向けさせる作品を産み出す、モヨコ先生は唯一無二なのだ。

表紙もタイトルも内容も全部好き




前置きは長くなったが、

「還暦不行届」

もちろん前作の 
「監督不行届」は何度も読んでる。

オタク夫婦の面白すぎる日常エッセイ漫画



新刊が出たことを知り、
また目ん玉が飛び出すほど驚き、即購入。

その時に読者レビューも見たのだか、
今回は前回のような漫画ではなく
ほとんどが文章エッセイ仕上げとのこと。
前回の漫画仕立てを期待されていた読者さんは
少しガッカリしてしまったなんて意見もちらほら。


確かに漫画で読みたい!
しかし、ファンとしては新作が読めるだけで嬉しいんじゃい!
気持ちを奮い立たせて到着を待ち侘びた。

そして読み終えて、
まず一言。

「ファンなら買うべし!!」

これは監督への壮大なラブレターでもある。

モヨコ先生の監督への愛を感じずにいられない。
愛が端々に散りばめられている。

断っておくが、
夫婦のノロケやイチャイチャなど
一切書いていない。
前作同様、監督の不思議な生態、好き嫌いなど
愉快で偏屈なエピソードをなんとも
面白く書き綴っている。

そして、創作に関すること。 
エヴァンゲリオンが完成して
本当にホッとされたこと。 

ゼロをイチにする労力、
クリエイター夫婦ならではの距離感。

創作とは。とどのつまりは
自分自身から絞って絞って産まれる作業であり
家族としてできる事は本当に
限られていると言う事。

監督のモノづくりへの信念。

モヨコ先生が二度と一緒に仕事はしたくないと
言うほどの監督の作品へのストイックさ、
産みの苦しみ。
etc…。

そして、そこに感じる愛、尊敬の想い。
互いに尊重し合う2人の関係。
モヨコ先生は本当に監督を愛しているのと同時にとてつもなく奉仕の人であると言うこと。

こんな素敵な方と結婚できて監督は何度も救われたんじゃないかと思う。
監督のためにどれほど尽くしてきたのかは、
読めば一目瞭然。

そして今回も必読のアンサーソングならぬ
監督のアンサー後書き。

モヨコ先生がご病気されて思うように
漫画が描けなくなった時の事。
また、漫画が描けるようになった時の喜び。
クリエイターとしての尊敬の念。
そしてモヨコ先生の性質と苦悩を理解し、
ずっと一緒にいたいという想い。

モヨコ先生のファンとしてはこの辺りの事が読めただけで買った価値があった。
ずっと新作を待っていたけど、
とても苦しい時期があったんだなって事。
そしてまた、描き始めてくれた事。

監督の愛が伝わり、胸がいっぱいになった。  

本当に憧れの夫婦。

後悔はさせない。

是非、ご一読を。


#安野モヨコ
#庵野秀明
#ハッピーマニア
#還暦不行届
#エヴァンゲリオン
#わたしの本棚

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