ダニエル

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  • 「人にやさしいままでいたい」

    思春期と中二病が終わらない20歳の少女、立花真理。 ローズマリーとしての使命、マデリンの暴走、迫りくるテロリストたちとの戦闘、怒りのゼミ旅行、戦慄のクリスマス。 瞳の奥の夢を生きる彼女が、現実と向き合って、考えて、大人になっていく様を描いたヒューマンドラマ。

最近の記事

「人にやさしいままでいたい」第1話

 12月7日 「グラリチン!グラリチン!グラリチン!」 「ふふ…クラリチン」  挑発的な女と、金髪の女が、教室でなにやら言い争いをしている。 「どうしてさ、あたしの母校であなたが教員なんかやっているの?マッド・デリング・デーモン」  挑発的な女は不敵な笑みを浮かべて、金髪の女を問い詰める。   金髪の女は相当追い込まれているみたいだ。着用している白衣ははだけ、タイツは破れている。破れた箇所からは出血もしている。  彼女は挑発的な女の問いには答えず、青ざめた表情で、

    • 「人にやさしいままでいたい」第9話

       12月29日  亜希はデートの結果を聞きに真理の家を訪ねる。 「なによ?」  いつも通りの不敵な笑みでドアから顔を出す真理。だが、何かおかしい。普段ならもっと飛び跳ねて出迎えてくれるのに、今日はやけに落ち着いているというか、ドライな感じだ。 「なにって、ひとつしかないでしょ?恋のチムニー大作戦の進捗を聞きに来たのよ!」 「…そう…入って…」  中に入るとハンクは出迎えてくれた。だが、彼も普段よりおとなしい様子だ。バウバウ吠えないし、耳も垂れ下がっている。 「ど

      • 「人にやさしいままでいたい」第8話

         ふたりはケンタッキーを抱えて亜希のアパートに到着する。  真里は部屋に入るや否や、ソファーに転がり込んで、先ほどの光景を思い返した。ストーカー野郎を自身の手で消し炭にしてやったのだ。 「あたしよ…あたしがこの手でゲス野郎を倒したんだわ…あのテロリスト共みたいに…ほんとに!ほんとに倒した!」 笑いをもらしながら、亜希に語り掛ける。 「それにしても…恐れ知らずの人間もいたものね?まさかこのローズマリー様をストーキングするなんて」  いつもの調子の真理に少し安心した亜希はマ

        • 「人にやさしいままでいたい」第7話

           朝6時、目を覚ました真里は日付を確認する。12月24日。クリスマスイブだ。 「やったぁー!!」  ベッドから飛び降りて、ハンクと共に部屋中を駆け回る。勢いそのまま、枕元にセットしていた靴下の中をおそるおそる確認する。中にはもう片方の靴下が入っていた。 「クリスマスソックスね!」  真理はクリスマスソックスを履いて、ほぼできあがっている今夜のパーティの飾りつけを何度も何度も、楽しそうに繰り返すのだった。 「メリークリスマス!」  夕方、亜希が大荷物を抱えて真里の家

        「人にやさしいままでいたい」第1話

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        • 「人にやさしいままでいたい」
          9本

        記事

          「人にやさしいままでいたい」第6話

           桃花はカタツムリみたいなスピードのイナタクと真理にイラついていた。 「ねぇ!絵ひとつ見るのに10分以上かけないでよ!もう1時間も無いんだよ!これじゃ全部見切れないよ!!」  やれやれだとイナタクが答える。 「ならお前はひとりで先行けよ。ただ観りゃいいってもんじゃねーんだ」  ムッとする桃花。不敵な笑みを浮かべる真理。 「ゼ…桃花はまだおこちゃまみたいね。あたしたちの真似をしてみなさい。作品から鼓動を感じ取るのよ。所詮は猿真似でしょうけど…フハハハ!」 「うるせぇ

          「人にやさしいままでいたい」第6話

          「人にやさしいままでいたい」第5話

           伊藤藍は高校時代に向進一と参加した合コンのことを思い出していた。 あの合コンは苦くて苦しい思い出だ。カラオケで何を血迷ってかマキシマムザホルモンの「爪爪爪」を歌ってしまったのだ。ドラムもピアノもギターもできる、自分は音楽に精通しているんだってことを女子にアピールしたかったんだと思う。でもカラオケには楽器はなかったから、何かできないかと思って、奥の手のデスボイスを披露したのだ。それが失敗だった。現場は失笑に包まれた。自ら未来を破壊してしまったのだ。 「おまたせー」  緊張

          「人にやさしいままでいたい」第5話

          「人にやさしいままでいたい」第4話

          丸山ゼミ 日帰り旅行のしおり(改訂版) 開催日:2023年12月16日(土) 目標:童心に帰り、感情を共有!絆を深める! 目的地:国立科学博物館・国立西洋美術館 スケジュール 6時:大学集合 移動中はバスでカラオケ大会! 6時半:目的地到着 7時〜9時20分:ドッジボール ※グラウンドを借りてあります! 9時30分〜12時30分:博物館見学 12時45分〜14時:昼食・昼休憩 14時〜14時30分:美術館見学 14時45分〜18時:ドロケイ 18時30分〜:飲み会(店

          「人にやさしいままでいたい」第4話

          「人にやさしいままでいたい」第2話

           マデリンが校内に入ろうとすると、何者かに頭上から声をかけられた。 「ずいぶん朝遅いみたいね、マデリン」  ローズマリーだ。彼女は木の上にクールに座って、ケタケタと笑っている。 「何の用?」  怒気をはらんだ声でマデリンは彼女を睨みつける。 「なにって…昨日の続きに決まってるじゃない?」  ローズマリーの回答に黙りこくるマデリン。 「「悪魔のささやき」を私利私欲のために使わないで。あれはリューク様の思し召しに沿って使用するものよ。くそったれの神になるためのものじ

          「人にやさしいままでいたい」第2話

          「人にやさしいままでいたい」第3話

          「完璧よね…」  部屋の掃除を完了し、そわそわしている真理。見苦しいところがないか入念にチェックを繰り返す。  ピンポーン インターホンを聞いた真理は、待ってましたと言わんばかりに玄関へと駆けていき、ドアを開ける。両手に大荷物を抱えた亜希がやってきた。 「ふふ、いらっしゃいマデリン。雨平気だった?」 「問題ないわ。邪魔するわよ、マリー」  満面の笑みで亜希を迎え入れる真理。 荷物を置いた亜希は、自分に寄ってきたハンクのことを抱きしめる。 「ハンクちゃん!元気にし

          「人にやさしいままでいたい」第3話