ryo nishikawa

ファッション映像都市

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【覚え書き】2024SS(Tokyo)9/1/2023 

Support surfaceのコレクション会場には中央にピアノが置かれていた。 どこからか人の話し声や微かな旋律を持った音楽のような音が聞こえてくる。部屋の外から聞こえてくる環境音なのか、意図的にスピーカーから流されている音なのか、そのちょうど中間にあるような音だった。 ________________ デザイナー砂壁は「無いものを作る」というある種の強迫観念を自身に課してきたと語る。同時に、「無いもの、なかったものと感じる域がどんどん狭くな」るという不安を吐露してい

    • 【覚え書き】2024SS(Tokyo)8/31/2023 

      今季より拠点をマドリードから東京に移したSHOOPのコレクションが国立競技場の地下へと続くスロープを使って発表された。テーマは、デザイナーが感じとる「東京」のイメージだという。 今季のコレクションでは、スリットや透け、ほつれ、ニットの粗い編み目などがそれぞれのアイテムの各所で用いられている。 しかしこれらが、いわば「東京の洗練されたエレガンス」を提示するために用いられているところに面白みがある。 川久保玲らが生み出した「美的価値からうんと隔たった服」は、もともとはエレガ

      • 【覚え書き】2024SS(Tokyo)8/30/2023 

        SEVESKIGのスカジャンにはMidjourneyやChatGPTにおける「AIの誤訳」から生まれた「トラの頭を持った神」がプリントされる。 通常スカジャンに刺繍される虎や竜といったモチーフの代わりに、あたかも古典的な象徴性を持ったシンボルのように、AIによって生成された架空の神の姿がもっともらしく描かれている。 アルフォンス・ミュシャの『スラヴ叙事詩』から着想を得たこのAIによる新しい神の姿の生成は、ある物語が歴史として語られていく中で、そこに表象されたものが果たし得

        • 【覚え書き】2024SS(Tokyo)8/29/2023 

          el conductorHのショーの会場には街の環境音が響き渡っている。 時折紛れ込むパトカーのサイレン音は、日常と背中合わせの不穏が街に溢れていることを聴覚を通してショーの参加者に示していた。 デザイナーはパリ市内で起きていたデモを目の当たりにしたことをきっかけに、我々を抑圧するものとはなにかという問いかけから本コレクションのクリエイションをスタートさせたという。 ショーの中ではグレンチェックウールのセットアップや、シャネルスーツを思わせるジャケットなど、いわゆるエレガ

        【覚え書き】2024SS(Tokyo)9/1/2023 

          【覚え書き】2024SS(Tokyo)8/28/2023 

          ランウェイを覆うスモークは、ゴシックホラー映画の墓場を想起させる。ひらひらとたなびく長いシャツの裾は、墓場を彷徨い歩く亡霊のようだ。 15:00、スペース「O」にてNaNo Art2024SSのショーが始まる。 ロング丈のシャツの裾のゆらめきはシーツのようにも見える。またブランドのプレスリリースにも言及のあるパジャマ、ガウンのような寝具風のウェアは、「眠り」のイメージを喚起するものであった。 今季のNaNo Artのコレクションにおける「眠り」とはなんだろうか。 デザ

          【覚え書き】2024SS(Tokyo)8/28/2023