見出し画像

【覚え書き】2024SS(Tokyo)8/28/2023 

ランウェイを覆うスモークは、ゴシックホラー映画の墓場を想起させる。ひらひらとたなびく長いシャツの裾は、墓場を彷徨い歩く亡霊のようだ。




15:00、スペース「O」にてNaNo Art2024SSのショーが始まる。




https://www.fashion-press.net/collections/18974



ロング丈のシャツの裾のゆらめきはシーツのようにも見える。またブランドのプレスリリースにも言及のあるパジャマ、ガウンのような寝具風のウェアは、「眠り」のイメージを喚起するものであった。




https://www.fashion-press.net/collections/18974
https://www.fashion-press.net/collections/18974




今季のNaNo Artのコレクションにおける「眠り」とはなんだろうか。




デザイナーの後藤凪、田中睦人は今回のコレクションで堅牢性を備えつつも同時に、特定の堆肥のなかでは約一年で水と二酸化炭素に分解される生分解ポリエステル素材を使用している。この布地のある意味の儚さから、ふたりはコレクションを“Rest in peace”(安らかに眠れ/ご冥福をお祈りします)と銘打っている。





再生可能に思えるポリエステルがしかし、土の中で永遠の「死」を迎えること、生まれて死を迎えて再生するという輪廻転生から救い出されること、このことが今回のコレクションの一つの核と言えるだろう。そう考えれば、2023AWにも登場した鹿革のシューズは、それに対比して置かれる有機的なものの「死」を示しているようである。




再生されない、救いとしての永遠の死のイメージ。有機的なものも無機的なものも、等しく安らかに永い眠りにつくこと。



:::





続いて「The Prayer」、つまり「祈るひと」をテーマに据えたWILDFRÄULEINのショーがヒカリエにて発表された。








ショーはまさに「祈る人」の姿で幕を開ける。白いシャツドレスは背景のライトを受けて輝き、ミサが執り行われる教会で光に照らされる祭服を思わせる。背景に配されたタペストリーは、僧が纏う袈裟にも見えた。





https://www.fashion-press.net/collections/18977
https://www.fashion-press.net/collections/18977





胸元に揺れるネックレスは、ロザリオのようでも、数珠のようでもある。











2023.08.29 0:48



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?