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【連続小説】 冒険ダイヤル

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おさななじみとの再会を願う、高校生たちの物語。 そこには小さな謎解きが待っています。
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#ミステリー

冒険ダイヤル 第18話 (( ))

翌日の昼休み、学食のすみっこのテーブルを挟んで駿と絵馬は口喧嘩をしていた。 「ふーちゃん…

アイチャイム
7か月前
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冒険ダイヤル 第19話 赤い靴

翌日、太陽が真上に来る頃、駿と絵馬は箱根湯本駅のホームに降り立った。すぐ近くが改札なのだ…

アイチャイム
7か月前
8

冒険ダイヤル 第20話 ソフトクリーム集め

ホームで突っ立っていた駿に魁人から電話がかかってきた。 何の前置きもなく『バスロータリー…

アイチャイム
7か月前
9

冒険ダイヤル 第21話 友情と食欲 

カフェを出ると深海たちは国道の上を渡るデッキの直前で足を止めた。 すぐそばにロータリーへ…

アイチャイム
7か月前
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冒険ダイヤル 第22話 すみれの花のような

思えば魁人はいつも深海をからかっていた。素直な深海はいちいちそれに反応して面白がられてい…

アイチャイム
7か月前
7

冒険ダイヤル 第23話 迷子のおみやげ

歩道橋を渡った駿と絵馬はぶらぶらと看板を探して歩いていた。 途中でソフトクリームが売って…

アイチャイム
7か月前
8

冒険ダイヤル 第24話 蜂蜜とハート

絵馬は蕎麦湯をたっぷりとそば猪口に注ぎ、唇をすぼめて息を吹きかけながらちびちびと飲んだ。駿はもう食べ終わっていたが外の暑さを思うとすぐに腰を上げる気になれず頬杖をついていた。お盆の上で手のひら大のルイくんが可愛らしくポーズをとってたたずんでいる。もちろん蕎麦と一緒に撮影済みだ。 「どうしてあの子に自分で声かけなかったの?」 「子供から見たら、おれよりエマの方が安心できるだろ」 「意外と繊細な気配りするんだね」 見知らぬ男に急に話しかけられたら怖がられるかもしれない。 親に見

冒険ダイヤル 第25話 尾行の尾行

深海は手前の店の間口に陸を引っ張り込んだ。ちょうどそこにさっき駿が送ってくれた画像の〈み…

アイチャイム
6か月前
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冒険ダイヤル 第26話 嘘はついてない 

いつだったか駿と三人でおやつを食べようとして公園のベンチに並んで座っていた。サラダせんべ…

アイチャイム
6か月前
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冒険ダイヤル 第27話 七つのお祝い

スマホが鳴動した。 今度は非通知からだった。駿は一度深呼吸をしてから応答した。 予想通り魁…

アイチャイム
6か月前
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冒険ダイヤル 第28話 忠告 

深海と陸はそれぞれ海老とホタテが団子のようにいくつか刺さった串焼きを手にしている。 暑さ…

アイチャイム
6か月前
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冒険ダイヤル 第29話 幾夜ねざめぬ

駿は祠で拾ってきた袋を受け取ると無言で中を調べ、取り出した物をみんなの前に並べた。   ひ…

アイチャイム
6か月前
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冒険ダイヤル 第30話 今は夏

注文したかき氷が運ばれてきた。 こんもりとした白い氷のてっぺんにアイスとゆで小豆がのって…

アイチャイム
6か月前
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冒険ダイヤル 第31話 来年の約束

「おれたちふたりで狸を見に行こうぜ」 下校時間、魁人は深海があげた給食のコッペパンを片手に何度もこちらを振り返ってくるくる回りながら帰り道を歩いていた。 ランドセルの遠心力を楽しんでいるようだ。 その日は駿が珍しく風邪をひいて学校を休んでいた。 三人で行こうと約束したのに待ちきれなくなったのだろう。 「お前には狸運があるんだと思う」 「狸運ってなによ」 魁人は狸をよほど縁起がいい生き物だと思っているらしい。  「前見ないと危ないよ」 「らいりょぶ、らいりょぶ」 魁人はパンを