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タイプ別・残念で使えないエージェント

 前回記事<医師不足につけ込む紹介ビジネス>では「質の低いエージェント」は、紹介業界の構造的な問題であると述べました。今回は、こういう「質の低いエージェントたち」をタイプ別に紹介します。

 先生が転職サイトの「求人」をみて、会員登録すると「本件は私が担当します」というメールが届きます。ほとんどは「写真の人」ではない別のエージェントです。先生がエージェントを指名する仕組みはなく、運悪く「残念なエージェントたち」が担当につくこともあります。あとで困らないようにタイプ別に確認しておきます。あまりに酷いなら、本社に電話して「担当チェンジ」を依頼しましょう。

タイプ別・残念なエージェントたち

 前回に述べた「紹介手数料の変数」である「医師紹介数」と「医師の年俸」。このうち、「医師紹介数」にフォーカスして営業目標を達成しようとするのが「迷惑タイプ」です。「迷惑タイプ」は短期間に動かせる医師に注力しており、迷惑なくらい頻繁に電話やメールをしてきます。さんざん迷惑電話で困らせたかと思うと、放置されたりします。

 一方「医師の年俸」にフォーカスしているエージェントは「俺様タイプ」です。「あなたに最適な職場はここです」と、「俺に任せろオーラ」が駄々洩れです。でも「先生の希望を叶える職場」を考えてくれている訳ではありません。先生のキャリア形成に関係がなくても「高年俸求人」なら強引に勧めてくるからです。エージェント都合で少し歪曲した情報提供も平気です。入職してから「そんな話は聞いてなかった」となっても、まず責任はとりません。このため求人施設から出禁になっている人もいます。

 両タイプとも、面談を躊躇したり、先生が意のままにならないと「説教タイプ」に豹変することがあります。プロの立場から厳しい意見を言う風ですが、説明で済むことを強い言葉で主張してきます。言葉は丁寧ですが、どこか「上から目線」でものを言うので、すぐに判ります。
 彼らは「医師の紹介数」と「高年俸求人」の掛け算をフルに活用して、業界を生き抜いてきた「経験豊富?」なエージェントです。彼ら都合で「煽られない」ことが肝心です。

タイプ別・使えないエージェント

 残念なエージェントは論外ですが「使えないエージェント」が担当になることもあります。
 こちらが聞きたいことには対応してくれますが、前後の重要な情報が抜け落ちるのが「伝書鳩タイプ」です。やりとりが後手になることが多く、先生だけでなく求人側もイライラしています。真面目な人が多いのが救いですが「経験が浅く理解が十分ではない」ことが多いので、伝書鳩タイプは、医師側に「使いこなす力量」が求められます。
 もし対応が遅かったり、連絡がルーズで、面会していてもやる気が感じられない兆候が顕著であれば「バーンアウト・タイプ」です。彼らが担当なら早めにチェンジしましょう。いずれ辞めていなくなるからです。
 ノリが軽くて付き合いやすい「パリピ・タイプ」もいます。求人情報よりも、昔のMRみたいにグルメ情報が充実しています。最近は、あまり接待費が使えませんが、食事や酒席、映画や旅行に誘ったりします。手っ取り早く仲良くなりたいからですが、こうした「要求」をエージェントにしないでください。まともな紹介会社なら「NGリスト」に先生の名前を入れてしまいます。

有能で、相性の良いエージェントを選びましょう

 もちろん全体の2~3割は普通のエージェントですが、最初に先生が「転職で何を満たしたいのか、何を実現したいのか」を「言語化」しておくことが大事です。それが言葉として伝われば、年俸など「目先の目標」で迷走することはなくなり、残念なエージェントが付け入る隙もなくなります。

 最初から、有能で相性の良いエージェントを選びたければ、転職経験のある先輩や友人から紹介してもらう手があります。もしくは医師紹介会社の2~3社に登録しておくことも良さそうです。うまく「相性の良いエージェント」が見つかれば、メイン担当にして他社求人のセカンドオピニオンや気になる施設への交渉を任せるのが良いでしょう。エージェントの複数利用は是非が分かれますが、信頼できるエージェントに出会う確率は上げておくべきです。

 転職の主人公は先生です。エージェントに過度な依存はせず、求人リサーチや転職アドバイスで使い倒すのが正解です。

次回は、高年俸求人が募集されている背景を探ります。

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