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老親が精神科に入院しましたその9

△△病院二回目~受診~



老親が精神科に入院しましたその7の続きになります。
◇登場人物◇
A・・・患者本人。七十代後半
B・・・Aの夫。故人。
C・・・ABの息子。
私(エイプリル)・・・Cの妻。


初診から二日後、また△△病院に行きました。
相変わらず、「具合が良くない」「(自分を)処分して」「何も出来ない」という発言は続いています。
それに「もう病院は行きたくない」が加わりました。長い二日間でした。
Aは朝から落ち着かない様子でした。
病院に向かうタクシーの中は「また熱が出るかもよ」「こんな遠くには通えない」と繰り返し、決して自分から望んで行くわけではありませんが、激しく嫌がることもありませんでした。
前回と比べて比較的落ち着いていたと思います。
前回は発熱しましたが、今回は発熱せず、受診出来ました。

診察を受ける

前回、私が家族カウンセリングを受けた先生とは違う先生でしたが、丁寧に引き継ぎがされていた気がします。
先生:「Aさん、旦那さんが亡くなってからちょっとうつっぽいようですが、調子はどうですか?」
A:「良くありません」
先生:「そうですか?どう良くないの?」
Aはいつもよりかなり理性的に話そうと努力してました。
泣いたり、支離滅裂なことも言ってはいなかったと思います。
ですが、二、三の質問の後、先生は「これは入院した方がいいですね。入院しましょう」
とおっしゃいました。

いきなり入院?

横で聞いていた私はかなり驚きました。
表面上は普通そうに話していたので、先生が何故そう判断したのか、素人目にはまったく分かりませんでした。
先生は再度、「Aさん、今、お辛いでしょう。入院しましょう」と言いました。
急遽、入院が決まりました。

Cから見た診察時のA

上記のような状況なので、何が決め手だったのかは、私は良く分かりませんでした。
しかしCは、五分ほどの短い時間の中で、徐々にAの様子がおかしくなったのに気付いたようです。

  • 体が震え出した。

  • 感情が高ぶるのを必死で抑えている様子だった

  • 話の内容がかみ合っていない

とのことです。
その直前にした問診票も加味されたかも知れません。全て「継続して悪い」の項目にチェックを付けてました。
ただAに対し、先生が「辛いでしょう」と声掛けてくれたのは良く覚えてます。
Cと私はこの病院にお任せしたいと思いました。

入院に際しての説明

先生:「入院した方がいいと思います。ご家族はそれでよろしいですか?」
C:「しっかり治して貰った方が良いと思います。よろしくお願いします」
A:「入院なんて出来ない。何も出来ないんだから入院なんて出来ない」
Aは顔を覆って泣き出しました。
先生:「一人でお家にいても良くならないから、入院してお薬飲んで治しましょう。ただ、今、病室が埋まっていて、入院には数日掛かります。その間、気持ちを楽にするお薬を出しておきます。睡眠薬ではありませんが、少し眠くなる作用があります」
C:「よろしくお願いします」
その後は入院の手続きの手引きのしおりを貰いました。
この時、本人の同意があるのが一番だが、家族の同意があれば入院は可能という説明を受けました。

△△病院二回目~その後~


帰宅してから、Aは「嫌、入院したくない」と言い出しました。
暴れるというより、駄々をこねるという感じで、布団の上でバタバタしてました。
A:「入院しないって言ったのに」
C:「それだけ調子が悪かったんだよ。でもしっかり治して貰った方がいいよ。ここに居ても不眠も食欲不振も良くならないよ」
A:「でもこんなに痩せて、足も悪いんだから入院なんて出来ない」
C:「そうなら尚更入院した方がいいよ」
A:「絶対入院はしない」
C:「でもここに居ても僕らはケア出来ないよ。自分でもどんどん悪くなっているって言ってるじゃないか」
事実、この二週間、Aの行動はエスカレートしてます。

無事に入院できるか不安

その後、病院から連絡が来て、二日後の入院が決まりました。
Aは「二日後?そんな早く?何も準備出来ないから入院なんて出来ない」とパニックになりました。
C:「確かに急かも知れないけど、それだけ具合が良くないんだよ。ここに一人でいても仕方ないでしょう?」
A:「でも入院は出来ない。準備も出来ないのよ」
C:「用意は手伝うし、難しいことはないよ。入院しよう」

Cは根気よく説得してました。
入院が決まってからは、Cの方が積極的に動いてました。
入院の準備もほぼ、AとCで済ませました。

病院に相談

Aの説得はCに任せましたが、いざと言う時、無事に入院させられるのかは不安でした。そのため、その旨、病院に電話で相談してみました。
私:「入院が決まった患者の家族ですが、本人は入院したくないと言ってます。当日あまり長く待たせるのは難しいようなんですが……」
看護婦さん:「当日、少し早めにいらして下さい。なるべくお待たせしないで済むようにしておきます」
とのことでした。
不安があれば、一度病院に相談しても良いかもしれません。

入院前夜


入院までの二日間、Aはとても不安定でした。ですが、前日の日の夜はCと二人、ゆっくり話が出来たそうです。(私は不在の時です)
AはCに「こんな駄目な母親ですまなかった」と言ったそうです。
A:「自分は何も分からず、色々なことを嘘を塗り固めてきた。その結果、何も出来ない人間になった。しかしCとエイプリルは立派な社会人になった。二人で仲良くやって欲しい」
この二ヶ月あまりまったく出来なかった親子の会話です。

しがらみ

『立派な社会人』という言葉のチョイスがCには印象に残った様子です。
思えば、Aは本当に「消えてなくなりたかった」のでしょう。
AはBの死後、人と会う、話す、香典を受け取る、それに応対する、外に出る。ものを食べる。
そうした当たり前の「しがらみ」を自らどんどん切り離していた気がします。
社会にコミット出来ていないAの現状を表していると思われます。
老親が精神科に入院しましたその10に続きます。


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