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老親が精神科に入院しましたその10

△△病院入院~入院前~



入院の当日、Aの様子はいつもとはまったく違いました。
躁状態というのでしょうか、見た目は元気そうですが、どこかギラギラした感じでした。
気持ちが楽になるというお薬を飲んで三日目です。
最近になく元気な様子でした。

先生と喧嘩する?

「私、先生と喧嘩してくるから」
とAは出発前に言いました。
「喧嘩って?」
「入院しませんって言うから」
家で「入院は嫌だ」を言い続けるので、「先生が入院は必要と判断したからそうなったの。もう決まったことだから、嫌なら自分で先生とお話しして」と返しました。
その会話のせいだと思われます。
納得して入院するのが一番なので、喧嘩はともかく、先生に自分の気持ちを訴えるのは良いことだと思いました。

入院前の診察

先に電話で相談していたおかげか、入院手続きはスムーズでした。
PCR検査をした後、先生と診察です。
今回の先生は初回、二回目とはまた別の先生でした。
上記したように「喧嘩する」という発言があったので、先生に何か言うかな?と思いましたが、Aはそのまま入院の書類にサインしました。
Aの様子は大人しかったです。

様子が急変

診察の後は場所を移して事務手続きになりました。
事務手続きが進むと、Aの様子がおかしくなりました。
最近はどの病院も入院時に保証金を支払います。その支払いにCが離席すると一気に不安になったようです。
「聞いてない。二、三日で入院すると思っていた」と言い出しました。
二、三日という話は誰もしてません。
入院期間は今後の治療次第ということで、まだ不明です。
私:「でも自分で入院の手続きにサインしたでしょう?」
A:「そんなつもりはなかった。取り消して来て」
結局、そのまま看護婦さんに連れられて病棟に向かいました。

病棟の中


入院当日は家族も中に入っていいそうです。
病棟に初めて入りましたが、綺麗で明るい印象です。

精神科病棟の中の様子は?

病棟は入り口に鍵の掛かった閉鎖病棟ですが、昨今の病院は出入りが自由に出来ないのが一般的なので、あまり違和感も閉塞感も感じませんでした。
病棟内もごく普通の様子でした。
精神科の病院というと、大声を出している人がいるという固定概念がありましたが、静かでした。

精神科は静か

病棟の中で一人うめいている人はいましたが、静かにうめいているというのか、あまり気になりませんでした。
通りすがる入院患者さんもむしろ普通の病棟より、静かで穏やかそうに見えました。
何が違うか考えましたが、
・点滴棒を引いた人がいない。
・バイタルチェックの計器の音がしない。
の二点じゃないでしょうか。
それと看護婦さんの雰囲気が一般病棟とは違う気がしました。
患者さんが穏やかに過ごさせるように努めている、そんな印象がしました。

荷物チェック

病棟に入るとまず診察室に入り、荷物チェックをされました。
看護婦さん:「紐付きのものはご本人に持たせられません。このバッグは持ち帰って貰って良いですか?」
と渡されたのは肩掛けのカバンです。
言われてみると少し長めかな?という長さでした。
随分厳重だなと感じました。
ここまでのことは家では出来ません。入院出来て良かったと心から思いました。
そして再度、「自殺は病院に入っても完全には防げません。それはご了承下さい」と念を押されました。

看護婦さん:「携帯の充電器もケーブルがありますので、預からせて貰います。落ち着くまで充電はナースステーションでして下さい」
身長と体重も量られます。
その間、Aは「こんなことになるなんて」「二、三日の入院の準備しかしてない」、「嫌、入院はしたくない」と繰り返していました。
パニックになっているので、急遽、頓服のお薬を処方されて飲んでいました。
パニックにはなっていましたが、暴れたり、大声を出したりはしてませんから拘束はされませんでした。

入院の細かい手続き

Aを残し、別室で看護婦さんから入院の細かい手続きを聞きました。
パジャマのレンタルや有料のランドリーサービスなど、普通のサービスの他に、予めお金を預けておくと下の売店でツケで買い物が出来る「テポジットのお小遣いシステム」と閉鎖病棟ならではのものもありました。
入院から一週間は病棟から出られない規則だそうです。

退院は?

入院前に詳しく診察出来てないので、退院もいつになるのかはっきりしてません。
看護婦さん:「まずは一週間、お薬を飲んで貰います。お薬の効果を確認して次のステップに移るので、少し様子を見ないと退院については何とも言えません。退院が決まると、それに向けてどういったケアが出来るのかソーシャルワーカーと一緒に考えていくことになります」
Cと私:「よろしくお願いします」

入院初日の最後は


落ち着く

戻るとAは看護婦さんと談笑していました。あんなにパニックだったのが、落ち着いてます。驚きました。
そのまま病室に案内されました。
個室しか空いておらず、差額ベッド代は5000円です。ベッドが空き次第、もう少し安いお部屋に移る予定です。
病室は清潔で、窓からの眺めも良く、Aは気に入ったようでした。
顔色は明るく、冗談を言う余裕もありましたが、その様子にはかなり違和感を感じました。
「薬が効いているだけ」という感じに思えましたが、そうやって薬で脳の機能を上げつつ、徐々に心身の疲れを取り、回復していくのだから、それで良いのかも知れません。
ただ、気持ちの上がり下がりが激しいようです。
日常生活を送りながら精神的な病気を治していくのは余程家族の支えや、本人の気持ちがしっかりしてないと大変そうだなと思いました。

とにかくAを無事に入院させることが出来ました。これで一安心です。
老親が精神科に入院しましたその11に続きます。

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