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詩|仮想現実

壊れたのだと思っていた
ものはいつか壊れるものだからと
人は変わりゆくものだからと

汚れたテーブルに真っ白なクロスをかけるように
見えているものがすべてなのだと

あの日壊したのは自分自身


一人ぼっちだと思っていた
どこかではぐれてしまったのだと
どうせ最期はひとりきりなのだからと

紡ぎ出した緻密な糸で作られた真っ白な繭のように
まるで世界から孤独になった気でいた

あの日一人になったのは自分自身






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