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五十肩・四十肩って何?


概要

五十肩は中年以降に明らかな原因がないにも関わらず、肩関節の可動域障害と疼痛が生じる疾患になります。最近では、40歳代で発症する方が増加傾向であるため四十肩とも呼ばれています。他にもFrozen shoulder・肩関節周囲炎・癒着性関節包炎とも呼ばれています。原因自体は未だ不明な点が多いですが、関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。また、肩関節の肩峰下滑液包・関節包が癒着することで動きが更に悪くなります。


引用:五十肩/日本整形外科学会


症状

  • 疼痛:急性期の状態では安静時、動作時、夜間痛を伴い、回復期に移行するに従い緩和します。

  • 関節可動域制限:急性期では、疼痛と筋スパズムによる原因が強く、慢性期移行で徐々に改善していきます。

主症状として上記の2つの項目が挙げられます。それにより、睡眠障害やADL/IADL制限が伴います。睡眠障害では、急性期では夜間痛が強いため夜眠れなくなり不眠状態となる方も見えます。ADL/IADL動作の制限では、よくあるのが結帯・結髪動作です。結帯では、肩関節伸展・内転・内旋角度が必要であり、結髪動作では肩関節外転・外旋・水平伸展角度が必要となります。他には、更衣動作では上衣着脱動作が困難になります。

病期


表1:各病期における対応

四十肩、五十肩の治療は保存療法が基本となります。また、急性期・慢性期・回復期の各病期はおおよそ4ヶ月程度で経過していき、全体としては1年程度掛かる流れとなります。

診断

  • 視診、触診:肩関節に限局した疼痛。動かせる範囲内での筋力維持

  • 単純X線検査:正常または稀に骨萎縮あり。腱板断裂に伴う関節症変化等は見られない

  • MRI検査:腱板の断裂はなく連続性が保たれていて、関節内・滑液包内に軽度の水腫を認める場合があります。

他の疾患との鑑別としては、

  • 腱板断裂:MRI検査にて腱板が断裂しているかどうか判断

  • 石灰性腱炎:単純X線検査にて石灰化しているかどうか判断

  • 頚椎症:腱反射、知覚障害など神経所見を確認し判断する

リハビリ

・患部保温
入浴が一番全身を温めるためには効果があります。そのため、浴槽への入浴後のリハビリ訓練が効果を発揮しやすいと言えます。また、その他の保温方法としては、ホッカイロ・蒸しタオルでの保温方法があります。蒸しタオルの場合は適度に水に濡らしたタオルを電子レンジで500wで1分程度保温した後に熱が逃げないように袋などに入れてあげるといいと思います。

・就寝肢位

 引用:五十肩(肩関節周囲炎)/Zamst

背臥位、枕などのクッションを使用します。肘関節を90°程度屈曲位にて肩関節軽度前方挙上・肩関節軽度外転・前腕軽度外転位とします。

・コッドマン体操(アイロン体操)


引用:SUN鍼灸整骨院

慢性期以降に少しずつ進めていきます。コッドマン体操の注意点としては、最初の内はできる限り肩の力を抜き体全体で揺らしていくことが疼痛回避するためには有効になります。

・ワイピング

引用:タオルワイピング/自主トレバンク

慢性期から回復期の方が対象となります。最初は筋力低下もあるため両手で施行していき、徐々に方向を変えてみたり、片手でやることで刺激入力箇所の変更ができます。また、脇を閉めた状態での回旋動作を行うことで肩関節1stポジションでの内外旋となります。ただ単純に内外旋動作を行うよりも視覚的フィードバックを得られやすいと思います。

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