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「とんこつQ&A」で味わう今村夏子

今年初めて読ませていただいた作家さんです。タイトルの緩さに吸い寄せられ、気楽な気持ちで読み始めました。最初は緩やかに始まるのですが、なんとなく違和感を感じ始め、「やっぱりおかしいな」と気付いたら既に逃げ場が無い感覚。いつからおかしかったんだろう…と考えると、ゾーっとします。独特の読後感。とても好きになりました。

本書は4つの短編から構成されます。話として好きなのは表題である「とんこつQ&A」、リアルで怖いのは「良夫婦」、最後にジワジワ怖いのは「嘘の道」。共通した面白さ(=怖さ)は、誰が変なのか中盤まで分からず、よく見ると皆が変!と気付く感覚。個人的には、とても斬新と感じました。

この本が気に入ったので、続けて「むらさきのスカートの女」も読了。感想としては、もっとぶっ飛んでるし、もっと笑えるし、もっと怖い。一人称で語られているため、そもそも何が真実か分からなくなる。個人的トップ3に入る、胸のざわつきを覚えました。「星の子」は現実的な問題が取り上げられていて心が痛む。多彩でディープな味わいを提供してくれる作家さんに心より感謝。。


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