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短編小説と長編小説とのちがいとは

組んだ足場だけを見せて、その中にどんな建物が隠されているのかを、読者のそれぞれの心によって透視させるのが短編小説であり、足場をすべて取り払って、構築された建造物の外観を披露し、内部がいかなる間取りなのかを考えさせるのが長編小説ではないのか、と。

     宮本輝さんの短編集『真夏の犬』のあとがきより抜粋

黒豹コメント:

「小説で飯を食っていくには、まず500枚書くことをお勧めします」と、
ある作家の先生がおっしゃっておりました。

ここで言う枚数とは、
小説公募で指定される400字詰め原稿用紙換算何枚という枚数のこと。
500枚と言うのは、20万字(400×500)ということではなく、
原稿用紙には改行や句読点が入りますので、
文字数にすれば大体350字ほどになります。
従って、500枚とは175,000字ほど。

一般的な長編公募は300枚以上となっており、
私の場合は最低2年はかかり、
仕事と並行して書くことは容易ではありません。

ちなみに、川端康成さんの「雪国」は完成まで25年かかったと、
ある文芸雑誌に載っていた記憶があります。

500枚は大変な労力を必要とします。

では短編は楽に書けるのかというと、全くそんなことはありません。
五分の一の文字数で、同じ感動を引き出さなければなりません。

どちらの壁も無限に厚く高いのが現実です。
その垂直なピラミッドの壁に、爪を立てながらよじ登って行く。

まさに、小説執筆は肉体労働です。

ハードボイルド系を書くには、その小説の強度にもよりますが、

自分は実際に「血の雨が降る暴力に対峙できるのか」

という問いを、
絶えず己の肉体に訊きながら書かなければなりません。

トレーニングを欠かすことができない、まさに肉体労働。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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