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自由詩

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2024年5月の記事一覧

音が聴こえる。

以前、聴こえないふりをして忘れてしまった音楽が。

私の周りは雪ばかりで、今ならその雪が全てを吸い込んで静かな世界を贈ってくれていたことがわかる。

それでも、静かすぎるのは、ちょっとばかし怖くもあって、何も聴こえない。

空っぽになったと淡く絶望のような感情を抱いたこともあった。

私は紅で白を染めるしかなかったけれど、それでも雪は静かに優しく、しへ向かうやうに、私を誘った。雪

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飛翔

昔は自由に翔べてたんだ。檻の中でも空が見えていたからさ。白く輝く羽で力強く羽ばたいて、胸を張って。それで。それで。それで。ある日真っ黒に染まって、私はどうにもそれが赦せなくて、翔ぶことも忘れて俯いてとぼとぼと歩いた。『あら、綺麗だったのに。それはそれでいいと思うけれど、もう翔ばないの?』って。仲の良い隣人に話しかけられた。その時、私のよき隣人は青々と茂る駅の近くにある街路樹だけだった。わたしの羽が

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contractus -契約書-

何もかもが意味を成さなくなってから久しい。意味を見出さなくなったといっても同じことだろう。何もないから自由に生きられる。流れる血潮と暖かな夜明けはいつも私を空へと飛ばしてくれる。いつまで待てばいいのかと思ったけれど、いつまででも待とうと覚悟をしたほうが幾分か楽なことにも気づく。炎を吐く獣と、氷を紡ぐ娘。悲しみの淵に見るのは、井戸の中で自由に泳ぐ極彩色のさかなたち。今一度創り出そうとして、無味乾燥な

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せめて霖雨をと

緑がいっそう深くなって、とある季節はおいていかれる。葉っぱは沢山降り積もっていくけれど、その一枚に染まる必要もなくて。他者を介在させず、自身が充足するナニカはきっと君が知る色をしていない。朝焼けと霧。底と頂き。こんなにも深く息のできる世界は美しい。山々が青く、くっきりと空との境界線をひく。葉桜と烏。海とヤシの木。斜めに日の光を取り込む、わたしのためだけの部屋。くるりくるりと回る椅子。くるりくるりと

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    あふれる

ラテン語ってなんかかっこよさそうでいい感じじゃないですか。

そんで英語と韓国語と中国語は私にとって身近な音楽でありまして、日本語は私に苦痛も併せてもたらします。なんて業が深いんだとか思いながら、接客中は英語が通じると笑顔になるくらいには意思疎通が出来ると嬉しいんです。実践。吹き替え。Google翻訳からのお勉強。そんな感じで言語を学んでいくほうが私には性に合ってましてね、それにようやく最近気づい

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