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大手鉄鋼メーカーの出世コースについて

今回は大手鉄鋼メーカーの出世コースについて記載します。

組織の持ち方

大手2社の組織図

日本製鉄JFEスチールの組織図を見てみて下さい。基本的には、社長を意思決定上のトップとして、その下に各事業部、製鉄所などが連なる構造は同じです。JFEは、「データサイエンスプロジェクト部」や「サイバーフィジカルシステム研究開発部」という名称の部署があり、AI利用に対して前向きな姿勢をアピールしているように見えます。

なお、注目すべきポイントとして、製品事業部(例えば薄板、厚板など)の中に技術部と営業部が並立していたり、別の部門であったりすることが挙げられます。

これは以下のミナベトモミさんの記事にあるように、組織の持ち方に起因しています。

組織デザインの「3つの基本構造」──機能別組織、事業部制組織、マトリクス組織について

https://note.com/tomomina/n/n39c2bbc38080

これは実は組織の在り方にかなり関わってくる話で、「機能」を軸にして組織を持つか、「事業」を軸にして組織を持つかの違いに現れます。

機能軸、事業軸の組織の考え方

例えば、同じ「厚板」という事業の中で関連する機能部門を束ねるのか、または「計画」や「品質保証」という機能に対して責任を持たせたいのかなどがここで現れます。

機能軸・機能軸による組織の持ち方

例えば私も在籍中に経験したことですが、入社当時は「事業」を軸にした組織体系でしたが、途中で「機能」を軸にした組織に再編されました。

あまり若手の業務に影響は及ぼしませんが、会社が組織構造を変えることで何を狙っているのかを理解するには役立ちます。

出世コース・非出世コース

さて、ここまで組織図について話してきました。以降では、出世コース、非出世コースについて説明します。

技術系の場合

まずは技術系から。

一番の王道コースは、製鉄所長になることです。冒頭に述べた組織図で、製鉄所はそれぞれ社長直属の組織であることがわかります。実際、製鉄所の所長(ナンバーワン)は、製鉄所の規模にもよりますが企業の執行役員レベルです。最近日本製鉄で社長になった今井さんも、名古屋製鉄所長から社長というコースを辿っています。このコースは以下のコースをたどります。

製鉄所の技術部門→製鉄所の工場のライン課長(例えば薄板であれば、焼鈍工程のライン課長など)→製鉄所の技術企画部門(本社との折衝や、設備投資を担う部隊)→本社機能のどこか(経営企画や技術企画、技術総括など全社の技術規格を担う部門)→製鉄所の工場長(製造ラインよりは上位概念の管轄)→本社機能のどこか→何度か製鉄所と本社をリピート→製鉄所長

一方で、技術系でも本流(製造技術)から外れた品質保証部門やシステム部門は格下ランクとなります。

事務系の場合

次に、事務系についてです。

事務系は3,4年を周期に製鉄所と本社間で異動を繰り返します。初任配属は基本的に製鉄所で、まずは製鉄所の経理、計画作成部門(まれに人事など)に配属されます。

大概は3,4年すると本社に異動の内示が出ます。この異動先で、自分が出世コースにいるのかそうでないのかがわかるのが面白いところです。

例えば事務系において、出世コース部門は以下です。

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