東京農業大学生物資源化学研究室

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東京農業大学生物資源化学研究室

このnoteは、東京農業大学生物産業学部食香粧化学科「生物資源化学研究室」の情報発信を目的としています。https://www.nodai.ac.jp/academics/bio/o_food/lab2018/2408/

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研究室のnoteをはじめました

本noteでは、私たちの研究室が取り組んでいる研究について詳しく解説していきたいと考えています。どのような研究成果が出ているのかなど、研究内容を紹介します。また、医薬や健康分野への応用についても言及し、研究成果の実用化に向けた展望についても触れます。 研究室で取り組んでいる研究を紹介します。私たちの研究室では、生物が作る物質や食品に含まれる物質の機能を明らかにし、医薬品や健康食品をはじめとして、幅広い分野での利用可能性を検討する研究を行なっています。  また、いわゆる「体に

    • 地域の生物資源の有効活用に関する研究の歴史

      ヘルシーなエミュー肉を美味しく食べたい私たちの研究室では,エミュー肉の食品理化学的特性の解析とその高度加工利用技術の開発について研究しています。 北海道オホーツクキャンパスでの地域生物資源研究の始まり 私たちの研究室では,研究テーマの一つとして地域生物資源の有効活用に関する研究を行なっています。東京農業大学北海道オホーツクキャンパスのある北海道オホーツク地域では,様々な生物資源が存在しています。 日本で最初に導入されたエミュー オーストラリア原産の世界で2番目に大きい

      • 私たちの細菌毒素研究の歴史(3)

        前回の記事はこちら↓ ある大学院生の失敗前回の記事では、ボツリヌス神経毒素は分子内切断を受けることで毒素活性が上昇することを紹介しました。毒素複合体は、神経毒素を含めて5つのサブユニットタンパク質から構成されています。そして、それらのタンパク質にも分子内切断が生じています。そのメカニズムについて研究していた大学院生がある時失敗をしでかしてしまいます。 NTNHAタンパク質の分子内切断はなぜ起こる 神経毒素タンパク質の分子内切断は、トリプシンと呼ばれるタンパク質分解酵素あ

        • 私たちの細菌毒素研究の歴史(2)

          前回の記事はこちら↓ 毒素複合体のタンパク化学的研究を開始1990年を境にして、ボツリヌス毒素の研究は急速に進展しました。ボツリヌス毒素の産生を支配する遺伝子群の解析が急ピッチで進んだためです。 北海道立衛生研究所との共同研究を開始  東京農業大学北海道オホーツクキャンパスの生物化学研究室では、初代の研究室主任である井上勝弘先生と後に研究室主任となられる渡部俊弘先生が、北海道立衛生研究所の大山徹先生(後の東京農業大学生物産業学部生物化学研究室主任)、砂川紘之先生との共同

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        研究室のnoteをはじめました

          私たちの細菌毒素研究の歴史(1)

          北海道オホーツクキャンパスでの細菌毒素研究の始まり私たちの研究室では、研究テーマの一つとしてボツリヌス毒素に関する研究を行なっています。東京農業大学北海道オホーツクキャンパスでは、私たちの研究室「生物資源化学研究室」の前身である「生物化学研究室」を含め、1990年代から、30年以上この研究を行なっています。 日本で最初の2つのボツリヌス中毒事件 1951年5月、北海道岩内郡島野村(現在の岩内町)において、村に住む54歳の婦人が急死されました(当初は原因が不明)。この婦人の

          私たちの細菌毒素研究の歴史(1)

          細菌毒素を医薬や美容に応用

          毒で美しく?!冒頭は、グリム童話「白雪姫」の一節です。このあと、白雪姫は七人のこびとに助けられ一命を取り留めます。 毒は、人や動物の生命を奪う忌々しいものです。「毒」と「美しさ」、一見、無関係に見えますね。しかし、「毒」という漢字は、婦人が祭事に奉仕するために盛装、身繕いしている姿を表す象形文字であるといわれています*1。白雪姫はその美しさを嫉妬され、“毒”によって殺されそうになりました。一方、現在、美容の世界では、その“毒”が利用されています。テレビや雑誌などマスコミでも

          細菌毒素を医薬や美容に応用