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地域の生物資源の有効活用に関する研究の歴史

ヘルシーなエミュー肉を美味しく食べたい

私たちの研究室では,エミュー肉の食品理化学的特性の解析とその高度加工利用技術の開発について研究しています。

北海道オホーツクキャンパスでの地域生物資源研究の始まり

私たちの研究室では,研究テーマの一つとして地域生物資源の有効活用に関する研究を行なっています。東京農業大学北海道オホーツクキャンパスのある北海道オホーツク地域では,様々な生物資源が存在しています。

日本で最初に導入されたエミュー

オーストラリア原産の世界で2番目に大きい走鳥であるエミューは,次世代の畜産資源になることが期待されて,1996年北海道網走市に日本で初めて導入されました。エミューは極めて温和な性格であり,早熟性で丈夫で環境適応能力が高く,雑食性で飼育管理が容易であることから,1300羽程度まで増殖させることに成功しています。

2019年10月撮影

エミューの卵はどら焼きのスポンジなどの製菓に利用されるほか,エミューの皮下脂肪は,スキンクリームなどのスキンケア化粧品に利用されています。ところが肉は加工利用されていませんでした。その理由は,エミュー肉は加工特性が不明であり,どのような特性を持った肉なのかわかっていなかったからです。

2008年に東京農業大学に中澤洋三先生が着任し,エミュー肉の研究がスタートさせました。

エミュー肉はヘルシーな食肉

エミュー肉の栄養学的な研究をしたところ,エミューもも肉は,牛もも肉,豚もも,鶏もも肉と比較して,高たんぱく,低脂肪,低コレステロール,高鉄分であることがわかりました。

特に脂肪に関しては1/7〜1/2量,コレステロールは1/2量であり,鉄分は2〜7倍も多く含まれていることが研究で明らかになりました。

エミュー肉の高度加工利用技術の開発

エミュー肉は,一般的な食肉と比較して,高たんぱく,低脂肪,低コレステロール,高鉄分であり,健康的な食肉であることから,現代ニーズにマッチした有用な食肉になることが期待されました。そこで,様々な食肉加工品の開発研究が実施されました。