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甘夏プロジェクト レポート

2022年4月、nounoはあいだすの敷地内の甘夏畑の甘夏を試験的に販売してみることで、現状の小規模農家が農作物を販売するにあたってどのような問題を抱えているのかを体感するために、「甘夏プロジェクト」を開始しました。今回のレポートは、実際に収穫し販売してみて分かったことを共有するとともに、自分たちの振り返りのためにと思い作成しました。ぜひご参考にしていただければ幸いです。

nounoについては以下のリンクをご覧ください↓


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甘夏の収穫

4月13日、第一回の甘夏の収穫を行いました。甘夏の収穫時期は、一般的に、12月〜1月ごろに収穫し1ヶ月以上貯蔵して熟成させるか、4月〜5月ごろまで木にならせておき完熟してから収穫することが多いです。初回の収穫で、木の高所の収穫の場合、木登りがしやすい木に剪定するか、樹高を抑えてはしごで収穫しやすい木に剪定するかなど、剪定が作業効率に大きく影響することが分かりました。また、木の高所での収穫では、収穫した甘夏を木の麓まで下ろす作業や、収穫した甘夏の運搬がやはり大きな負担になるということも体感しました。

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ECサイトでの販売

4月20日、甘夏販売をECサイトで販売するため、甘夏がどういう甘夏なのか、どういうストーリー性を持った甘夏なのか、どのような食べ方があるのかなどを考え、商品企画をしていきました。また、ECサイトの公開と同じタイミングでnounoのホームページを公開するため、ホームページの制作も並行して行いました。

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一連の販売サイトの制作などで感じたのは、農家側が、どのような思いを持って育てたのかなどのストーリー性は重要であるが、こうした企画をするのには莫大な労力がかかるということです。なぜ、各地域やJAなどが単一の野菜や品種でブランド化を目指すのかが分かった気がしました。そして、農家として採算をとろうとすればするほど、畑の面積を拡大し、商品作物として栽培しなければならない現状も体感しました。

最終的に、甘夏の値段は、3個/450円とし販売するつもりでした。

しかし、ECサイトでの農作物の販売には大きな穴がありました。
それは、「送料の問題」です。以下は、大手3社のそれぞれの送料の料金表です。見てわかる通り、甘夏をはじめ水分量が多い生果は、生産者から消費者へ直接販売する場合、販売価格よりも送料の方が高くなる場合が出てくるというわけです。

広島ー東京間の送料(60サイズ:3辺の合計が60cm・2kgまで)
甘夏は約6個入る大きさ

普通に考えて、柑橘などの果物を一般家庭が消費する場合、数個で十分です。甘夏の場合だと、人にもよりますが3〜5個あれば十分すぎるほどでしょう。それにも関わらず、一般的に小規模農家の果物を通販サイトで購入する場合、キロ売りで販売している場合がほとんどです。前から不思議に感じていたこの、消費者側のニーズと生産者のギャップは、送料の問題によるものだったことが痛いほど分かりました。

結果、ECサイトでページを公開したものの、注文が入る気配は全くなく、別の販売方法を模索する必要に迫られました。

甘夏収穫ボランティア

5月7日、どう収穫した甘夏を捌くのかを考えなければいけないのと同時に、時期的に梅雨入りまでに収穫を終えないければならないこともあり、収穫ボランティアを募集し、甘夏の収穫イベントを開催しました。2日間にわたり開催した収穫イベントでは、参加してくれた子どもたちも含め総勢13名の方にお集まりいただき一緒に収穫することができました。

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収穫イベントを開催して感じたことは、人手が多ければ多いほど協力プレーが可能であり、最初に2人だけで収穫をしたときと比べるとそのスピードは段違いでした。また、収穫作業自体を楽しんでくださる方も多く、作業というよりはアクティビティとしての価値もありそうだと感じました。

一方で、作業前の収穫方法のレクチャーが不十分であると、かえって二度手間になったり収穫した甘夏が傷みやすくなるということもありました。具体的には、甘夏を収穫する際に「二度切り」と言う作業が不十分で他の甘夏が傷つきそこから腐敗するといったことがありました。「二度切り」とは、ハサミで実を枝から一度切ってから再度、実のヘタの際でもう一度切ることで、枝の切り口が実から飛び出ることなく他の実を傷つけることを防ぐ作業です。また、高所での収穫作業の際、木の幹に引っ掛けることで吊り下げることができる柑橘収穫用の収穫カゴが足りなかったため、木の上から地面のコンテナへ投げ入れるシーンが度々あり、そのことで甘夏が傷みやすく腐りやすくなったということもありました。今回は、ほぼ説明なしに収穫作業を始めてしまったため、やはり事前のレクチャーは必要だと感じました。

さらに、どうしても技術的に採りきれない高所の甘夏が残ってしまうというのもありました。奥の木から順番にしっかり収穫しきることも重要だと感じました。

そうして、様々なフィードバックを得ながら、全部で約70コンテナ、全部で約1000kgの甘夏を収穫し、無事、第一回甘夏収穫イベントを終えました。

甘夏販売の行方

さて、収穫イベントが終わり目の前にあったのはどう売れば良いか分からない大量の甘夏でした(笑)

そんな時、たまたま、まめなに柑橘の仕入れに興味があると長期滞在してくださっていたフウコさんという方が、手を差し伸べてくださいました。

フウコさんは、埼玉県川口市で風の森キッチンという下宿・民宿のようなところをされている方で、僕らに自然栽培の農作物や無肥料・無農薬野菜の卸しをされている業者さんたちと繋いでくださり、大変お世話になりました。

僕らが驚いたのは、自然栽培や無肥料・無農薬で栽培された農作物のニーズが想像以上に高まっていることでした。そして、そのニーズに合わせてそうした農作物を専門に取り扱う卸業者さんがたくさんいらっしゃるということにも驚きました。なぜなら、それまでの僕らは、そうした農作物の多くは個人間の流通や産直市場、食べちょくをはじめとした農作物の通販サイトでの販売がほとんどだと認識していたからです。

今回、お世話になった業者さんの多くは、安全安心で環境にも優しい農作物を作られている農家さんを助けたいとの思いから、それぞれの農家さんの所へ直接出向き、仕入れを行われているとのことでした。

少しずつ、農作物の流通のあり方も変わっている感覚を持ちました。

また、僕らが今回収穫した甘夏は、かつて久比の柑橘栽培の礎を築いた1人であった崎原善蔵さんという方が20年以上前に植えられたもので、少なくとも9年間は無肥料無農薬で管理されていた甘夏でした。

そうした甘夏の背景も踏まえ、僕らの農業に対する思いもお伝えさせていただいた上で、最終的にはありがたいことに460kg売り切ることができました。

以下は、今回お世話になった卸し先の一覧です。

・風の森キッチン
・ゲストハウス ひととき&CHAMISE
・ショウガ専門店 Land i Leben
・しっでぃグリーンネットワーク
・そらの野菜
・そよかぜ農園
・タネカら商店
・ナチュレ片山
・まる然商店

お世話になった皆様、ありがとうございました!

甘夏の出荷作業

甘夏の販売に伴い、出荷作業も行いました。甘夏の保管場所に困っていると、いつもお世話になっている小林ナルエさんという地域のおばあちゃんが倉庫を貸してくださり、甘夏の磨き方や段ボールの選び方など出荷に関わることをたくさん教えていただきました。ナルエさんは未だに現役で柑橘栽培や農床をされており、今年91歳、柑橘栽培歴は70年以上の大先輩です。

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教えていただいた出荷作業の工程は以下の通りです。

甘夏の水分や汚れをタオルで拭き取とる。

段ボールに収まるように甘夏を並べていく。

指定の重さになるよう調整する。

お礼状を入れる。

伝票の記入

郵便局にて出荷

こう見ても、それなりの工程があります。一番初めの汚れを拭き取る工程も甘夏一つずつを手作業で磨いたため、それなりに時間もかかってしまいました。また、今回は急なお願いで卸先と繋いでいただいたため、発注が来るタイミングもバラバラになってしましました。次回は、2ヶ月前からの予約販売にするなどして、出荷作業もまとめてできるよう調整する必要があると感じました。また、出荷作業自体もアクティビティ的要素を取り入れながらボランティアなども集められればと思いました。

また、送料問題に関しては、卸先に負担していただく形を取りました。さらに、毎回30kg、50kg、100kgなどの規模感の発送だったため、甘夏が傷まない程度ではありますがまとめて発送することができ、個人への個別の発送と比べると送料を抑えることが可能となりました。

店頭での販売

5月22日、実際にお客さんに直接手渡しで売る販売方法にも挑戦してみたいと思い、広島市内にあるミナガルテンという施設で甘夏の販売をさせていただきました。


ミナガルテンは、広島の郊外の皆賀というところにある、元園芸施設をリノベーションしたカフェやシェアキッチンなどが集まるコミュニティ施設で、都市版まめなみたいな所です。今回は、出店に必要な流れや、店頭販売の心得を教えていただいたり、販売中にnounoのプレゼンの機会をつくっていただくなど、代表の谷口千春さんに大変お世話になりました。ミナガルテン自体も大変素敵な所なのでお近くの際はぜひ行ってみてください!

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今回の出店で分かったことは、実際にどんなお客さんが甘夏を買ってくださるのかや、どういう使われ方をするのか、一般的に家で食べるのにはいくつくらいあれば十分なのかなどで、お客さんから直接、生の声を聞くことができました。

具体的には、甘夏はやはり皮を剥くステップが大変であるため若者受けは良くなく、20代で買ってくださた方は38組中4組ほどで、それ以外はみな上の世代でした。

また、1キロ(3個)で購入される方がほとんどで、やはり少量での販売のニーズが高いこともよく分かりました。また、3キロや5キロ単位で買ってくださる方は、シロップ漬けや砂糖漬けジャムにするなどご自分で加工するために買ってくださったとのことでした。また、一個だけ買われていく方も多かったです。

個人間での販売

また、今回の甘夏販売では、まめなメンバーのビスコッティ原田さんに甘夏をお渡しし、その方のお知り合いの飲食店や個人に売っていただくというやり方も実施しました。やはり、無農薬・無肥料の甘夏の需要はあるようで、計110kg販売してくださいました。ご協力ありがとうございました!

まとめ・最後に

今回の甘夏プロジェクトでは、おかげさまで約40コンテナ(620kg)を全て完売させることができました。また、販売方法の内訳は以下の通りです。

ECサイトでの販売・・・0kg

自然栽培や無農薬・無農薬の農作物専門の卸しや飲食店等・・・約460kg

店頭販売・・・約50kg

ビスコッティさんの売り歩き・・・約110kg

このように、現状では卸しや飲食店等へ比較的まとまった量を売る方法が最も多く売ることができました。このことから分かるように、現状、農業において農作物の中間流通が非常に重要であり、その最も大きな要因は送料の問題であるということでした。また、出荷作業や販売先を探すことなどもかなりの労力を割く必要があり、農協におろす場合、収益性が低くても生産するだけで後は農作物を全て引き取ってくれるため、なぜいまだに全国の大多数の農家が農協に頼っているのかということがよく分かりました。

今回の要点をまとめると以下の問題点が浮かび上がりました。

・農作物の輸送コストの問題
・収穫や出荷をはじめとした農繁期の人手不足
・ボランティアの募集にかかる労力の問題
・収穫をはじめとした農作業のレクチャーの必要性
・定常的な売り先の確保
・収穫後の柑橘の保管場所

こうした問題点は、ほとんど全ての農家がどこかの段階でぶち当たる壁であり、新規就農の際には間違えなくハードルになる部分だと考えます。実際に体験したことで得たこの経験は、今後のnounoのプロジェクトへ繋げていきます。

そして最後に、甘夏の今回の売上は以下の通りになりました。

129000円

今回、ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!
また最後まで読んでいただきありがとうございます。これからも頑張りますので引き続きよろしくお願いいたします。

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