誰でもない他人になりたいー『他人の顔』ー
物語の大まかな概要
何らかの事故で顔にやけどを負い、顔全体を包帯で巻いた主人公。彼は他人の顔を手に入れ誰でもない、存在が確かではない者になり妻を誘惑します。しかし、妻は…。という物語です。
感想
哲学と映像美と世界観に殴られたような映画でした。
私にも自分の顔を変えて他人になりたいという願望があります。しかし、顔は変えられないので服装、髪型に変化をつけて自分の外見を変えたいと思いました。外見が変われば、内面も引っ張られて変わっていきます。
ラストの能面の群衆の中に紛れながら歩くシーンは恐ろしかったです。誰もが仮面を被って生活している世の中。女性は化粧という仮面(誰もが公認しているもの)、仮面・服装によって内面も変化していきます。
会話のテンポが良すぎました。無駄がありませんでした。歌舞伎の"ポン"と音がなる太鼓がなぜか心地よかったです。
安部工房の作品は好きなので見ることができてよかったです。しかし、配信サービスでは視聴不可能なのでとても残念です。
考察、ペルソナなど哲学が好きな人、シュールな不思議な世界が好きな人におすすめです。
映画情報
勅使河原宏監督作品
安部工房原作・脚本
122分
YouTubeで視聴
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