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写真を見て

私の名前はかをちゃんです。
google Pixelを使っています!

フワちゃんのCMのフレーズだ。
私はGoogle Pixelを使っている。

消しゴムマジックで消してやるのさ!

若い頃に泥酔した恥ずかしい記憶も、浮気ばかりくり返していたあのクソ野郎…いや恋人との思い出も、ブリブリぶりっ子なアイツの言動も、お腹にしがみついて離れない脂肪もぜんぶぜんぶ消しゴムマジックで消してやるのさ!!へっ!!

とはいかないが消しゴムマジックはすごい。
とても便利な機能である。

そしてGoogle Photoには他にも様々な機能がある。
私が気に入っているのは、Google Photoを起動したときに突然「1年前の今日」という文字が現れ、過去の写真がスライドショーのように流れてくる機能だ。
毎回ではない。
何きっかけで「ほーら、この日を思い出してごらん」とGoogleちゃんが私に働きかけるのかは分からない。

それにしても粋な計らい(*゚ロ゚*)

へえ!あれからもう1年たつのか!
ああ懐かしい!このお料理美味しかったな。
キレイな景色だなあ。

などなど過去の写真を見て楽しむことができる素敵な機能だ。

そして今日も「1年前の写真」として、ある写真が出てきた。

ギランバレー症候群で入院中の写真だ。

1回目の入院から1年になるのか!
そういえば不自由な手で写真を撮るのに苦戦した。

職場で倒れそのまま運ばれた私だ。
心配しているであろう職場のグループLINEに「今これ」という3文字を何とか入力して送った。

大量免疫グロブリンの点滴


そして、ついに色の見え方までおかしくなってしまったのかと不安になったオムレツの写真も出てきた。

これ何のソースだろう。

はじめて見た衝撃の色味


オムレツの上にかかっている色は赤、せめて茶色でなければならない。
白までがギリである。

そんな概念にとらわれていた私はこの何とも言えない緑色を見て震えた。
正直に言うと「食べるのに抵抗のある色」だった。

しかしギランバレー症候群は神経はヤラれていても内臓は元気だ。
めちゃくちゃお腹が減る。
自力では売店に行くことさえできない私は仕方なく食べた。

めちゃくちゃ美味しかった。

何味かは分からないがとにかく美味しかった。
ナースコールを押して「おかわり〜」と言いそうになるほど美味しかった。


さて。
発症から1年が経つということをGoogleちゃんが教えてくれたわけだが、1年経って私はどう変化しただろう。

握力はかなり回復した。
短い距離であれば杖なしで歩行できる。
全くできなかった階段の昇降も、数段であれば手すりを使って昇り降りできる。
(降りるときなんて横向きになり、これがまあ愛らしい。)
洗髪もドライヤーも休憩を挟まず一気にできるようになった。

仕事はどうか。

手の感覚が全くなくなっていたため、採血や点滴を行うときに血管の感触が分からなかった。
「ちょっと分からないんで当てずっぽうで刺しますね~」というわけにはいかない。
また握力が低下していたため狙った位置に確実に針を刺すことも難しかった。
そのためしばらくは注射業務からは離れていた。

しかし悔しい。


作業療法士さんに相談して様々なリハビリを行なったが一向に感覚は戻らない。
焦りばかりがつのる。

私の場合、利き手である右手の神経障害がひどく「完全ブロック」という状態にあり回復には時間がかかると言われていた。

そしてあるとき突然思いついた。

右手がダメなら左手があるじゃない。

私は左手を利き手とすべく奮闘し始めた。
日常生活動作も「私は左利きだ。」と体に言い聞かせて行なった。
♪私の私の彼は〜
いないけど!私自身が左利きになるよ!!

皮下注射も筋肉注射も左手を使い、注射以外の処置もなるべく左手を使うようにした。

そして1年経った今、左手の親指と人差し指のみ微かに感触が戻って来た。
その2本の指を使い、久々に血管の感触をとらえたときは本当に嬉しかった。

視力を失った人の聴覚が研ぎ澄まされるように、私の手もまだまだレベルアップできるのではないか。
そのうち医療的な処置は全て左手で出来るようになるかもしれない。
諦めずに今後もリハビリを続けるつもりだ。

今日Googleちゃんが「思い出してごらん」と取り出してきた写真。
1年前、あの風景を見ていた私は「もう精神科看護師として復帰するのは難しいのではないか」と半ば諦めていた。

忙しそうに働く看護師さんたちを羨ましい気持ちで眺めていた。
(愛想なく、やる気なさげにだらしない足音で歩く看護師さんを見て「ちきしょう、なんだコイツ!!」と恨めしく思ってもいた。)

しかし1年経ち私は今も精神科看護師として働いている。
まだまだ元通りの身体ではない。
1人では充分に行えないこともある。
それでも私の居場所を守ってくれた職場に心から感謝している。
精神科看護師でいられることが本当に嬉しい。

ギランバレー症候群を発症したことを不運だと嘆かず、看護師としてレベルアップすることのチャンスだと思いたい。
つらいときに周りから受け取ったたくさんの想いやりを、これからずっと患者さん達へ返していきたいと思う。

たった数枚の写真から色々な想いを引っぱり出してくれるGoogle Photoの機能はやはり素晴らしい。
来年はどんな写真を見せてくれるだろう。
今から楽しみだ。


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