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ホッファーにみる哲学者としての生き方

みなさん、こんにちは。Naseka です。
哲学者・エッセイストとして、
自らを定義しています。

古今東西 著名な哲学者は数多いですが、
私が哲学者を自称するにあたり
「エリック・ホッファー」
を抜きにして語ることはできません。

彼に出会っていなければ、
私は自らを「哲学者」と名乗ることは
なかったでしょう。


ホッファーとの出会い

出会いといっても、
本人との接点は全くありません。

私が彼の存在を始めて知ったのは、
NHK で放送されていた
「世界の哲学者に人生相談」
という番組を通してでした。

不思議なもので、この番組も なぜ見るに至ったのか
はっきりとは覚えていません。
おそらく番組表を漫然と眺めていたときに、
「哲学者」の単語に
興味を惹かれたのだと思います。

「思索」「思考」が習慣となっている私にとって、
「哲学(者)」という単語は、
それくらい特別な魅力を持っているのです。

ちなみにその番組で
ホッファーが取り上げられていたテーマは
「働くってなに?」
でした。

”沖仲仕の哲学者”

ホッファーの出自や30代前半までの来歴は
Wikipedia に譲るとして、
彼は40歳手前から サンフランシスコで
沖仲仕(おきなかし)として働き始めます。

”沖仲仕(おきなかし)” とは

沖仲仕とは、船と陸との間で
荷揚げや荷下ろしをする仕事です。
今では海上輸送はコンテナ輸送が主流となり
クレーンによる作業が一般的となりましたが、
当時はまだ コンテナでない積み荷が多かった時代。
積み荷の形状や重量によって
積み方や運び方は千差万別でしたので、
沖仲仕 がそのハンドリングを担っていたのですね。

↓ より詳細な説明はこちらを参照されたし

ホッファーと沖仲仕

学者としての才も持っていたホッファーですが、
研究者としてではなく
哲学者として生きる道を選びます。
それも沖仲仕の仕事を続けながら…

ホッファーはこう考えていたそうです。

「沖仲仕ほど自由と運動と閑暇と収入が適度に調和した仕事はなかった」

エリック・ホッファー - Wikipedia より

もう何年も前のことですので一言一句までは
覚えていませんが、
同様のエピソードを番組の中でも
紹介されていたと記憶しています。

それを見たとき、私は
「なるほど、仕事をそう捉えるのか」
「そういう生き方をした哲学者もいたのか」

と感心したことを覚えています。

彼を知るまで、私は「哲学者」というものは
・考えることを専業として、執筆などで食べていく
・学者としての職に就きながら、哲学「も」する

というようなイメージしか持っていなかった
フシがありました。

それ故に、いくら様々なことを思索していようとも
会社員(工場勤務)の自分のことを
「哲学者」だと考えることは
一度もありませんでした。

また、本意であろうがなかろうが
「会社員」「技術者」として働く以上、
「プロとして自らが関わる課題に対して、
 『常に』真剣に向き合うべき」

と考えていました。
今でもその考えが 100% 間違っていたとは
考えていませんが、彼を知り『常に』の部分だけは
考え方が変わりました。

もちろん「その道のプロ」として生きていくなら、
その肩書を誇って仕事をしようとするならば、
恐らくそう間違いではないと思います。
『常に』が『常に』である人ほど、
高みへ上っていけるでしょう。

ただ その意味では、ホッファーは少なくとも
「沖仲仕の『プロ』」ではなかった。
また彼は、そうであることを悪いこととは
捉えていなかった。

彼が「自分は『哲学者』である」
どこまで強く考えていたのか、
(そもそもそう考えていたのかどうかさえ)
実際のところは分かりません。
(彼の著作を読んだこともないので)

これは私の想像でしかありませんが、
少なくとも彼は
自分は『沖仲仕のプロ』である
とは自分を定義していなかったのでなかろうか。

本来の自分、
或いは「本来 自分がしたいことは別にある」
と考えていたからこそ
「沖仲仕ほど自由と運動と閑暇と収入が
 適度に調和した仕事はなかった」

の発言に至ったのではないか。

まとめ

自分の職業(=生計を立てている仕事)について、
真剣に・誠実に・一所懸命に
向き合うことが尊いのは否定しません。

そのようなプロ意識の高い人たちの努力によって、
世界はより良いものへと進歩していくのでしょう。

ただ、自分の「本当にやりたいこと」
「職業」が一致しない場合においては、
ホッファーのように捉えることで
いくらか生きやすくなるのかもしれません。
(特に自分に無理を強いて働いている人たちは)

「自分が本当にやりたいことは何か」
「今の職業は、自分が本当にやりたいことなのか」
「そうでないなら、
 そこまで無理をする必要はあるのか」

世界の誰かにとって、自分の生き方を見つめ直す
きっかけになれば幸いです。

お読みいただき、ありがとうございました。

↓ 沖仲仕とコンテナ輸送についての参考文献。
  読み物として面白い。

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