まじょのなみだ(19)
それからはほぼ病室を出なくなっていった母。
私も、だた寝ている母の横でテレビやケータイを見ていたり、
裁縫道具を持ち込んで、娘の幼稚園の体操服にゼッケン付けをしたり、
自分のことをしていた。
せん妄状態の時に、
私の小さい頃のことを思い出して頭よしよししてくれたり、
ギュッとしてくれないかなぁと
横で添い寝してみたけれど、結局してはくれなかった。
そこらへんの意識ははっきりしているようだ。
静かな日々が数日続いた。
夜病室を出て、
次の日また病室に行って、
母が息をしているのを確認してホッと胸を撫でおろす日々。
たまに起きて、一言喋るだけでいいから、生きていて欲しい。
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