メンヘラホイホイ-2 未知の病

幼少期

198○年某月某日
俺はこの世界に来た。母親の体内に入る時の記憶もあり、綺麗な青い所から母親を見つけて
「あの人がいい」と決めた。

母親の体内は暖かく、いい匂い。あの心臓の脈打つ音はすごく心地が良かった。

鏡の中がとにかく不思議だった。奥に人の気配を感じた。

水の中で溺れる夢と、俺が操縦する飛行機が海に落ちる夢。それと、すごく柔らかい何かに鋭利な刃物を嫌というほど突き刺す夢をよく見た。夢の意味は今もって分からないが。

時は流れて2歳の時。弟が産まれた。すごく可愛い弟で、いつも仲良く遊んでいた。この世界の面白い事を教えてやろうと俺は意気込んでいた。

3歳になり、俺は原因不明の病に罹ってしまったそうだ。いくら調べても分からない未知の病で、医者は匙を投げた。

わずか2歳で俺に対する診断結果は

「あと一週間の命でしょう。もう何をしても助かりません」

そこから医者がしたのは、あらゆる治験前の薬をバカバカと俺にブチ込んだらしい。

40度を超える高熱を出し意識不明の重体。両親は毎日泣いていたそうだ。

10日後、俺は目を覚ました。

ケロっとしていたらしい。

意識が無い重体の俺が、別室で死亡宣告を親に告げた医者が誰かなんてわかりっこないってのに。
起きた俺はその医者に
「バーカ!バーカ!」
と叫んでいたらしい。

しばらくして、弟の下にまた兄弟が産まれた気がしたが・・どうやら俺の勘違いだったらしい。
近くに似たような空気を持った人がいるんだが、何故かその人は見えなかった。

しばらくして妹が産まれた。
見えない兄弟は妹が産まれて来る事を予め教えに来てくれたんだろうと思うようになった。

妹が産まれた後にもまた、見えない兄弟の存在は何処かで気配を感じるんだが。やはり見えなかった。

とにかく妹は天使みたいだった。こんなに可愛い生き物がいるのかと思い、俺達男兄弟が好きな遊びであるレンジャーゴッコを教えていたが、ことごとくスルーされていた。

そうそう。
実家の両親の寝室では、落ち武者の幽霊が出ていた。俺達一家は2階。1階には親父の両親であるじいちゃんとばあちゃんが住んでいた。ばあちゃんも幽霊が見えるらしい。怖いので、ばあちゃんに落ち武者について聞いたら
「あいつは何もしないよ。放っておきな。」と、言っていた。

幼い頃から初孫である俺は、じいちゃんにたくさん愛情をもらった。今はもう死んじまったけど、それでもあの人の優しい笑顔と大きなしわくちゃな手は絶対に忘れないだろう。

また会いてぇな。今でも大好きだ。これからも。

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