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長女の哀しみ

買い物の帰り。4人家族とすれ違う。若い夫婦と、娘2人。3歳と5歳くらいかな。かわいい。もう夕方で4人ともお疲れっぽい。お父さんは妹の方を抱っこして歩いてる。その横にちょっとした荷物を持つお母さん。お姉ちゃんの方が遅れている。とうとう立ち止まって大声出し始めた。抱っこして! 疲れたから、抱っこ!!

お母さんが振り返る。ああ、疲れてそうな顔。イライラしながら、ほら!さっさと歩いて!!と大声。

切ない。

抱っこ!と言ってるあの子の気持ち。妹は、抱っこしてもらってるのに、とか、甘えたい、とか、疲れたとか。もう、長女ふるまいが身についてきてる。素直に可愛く抱っこって甘えられずに我慢が過ぎて泣いて怒ってる。まだ抱っこって言えてるだけマシ。次の段階は言っても聞いてもらえないからひたすら黙って我慢する長女だ。

あのお母さんも疲れてる、わかる。よく頑張ってると思う。あの感じ、覚えがある。

でも、でも。ちょっとだけ手間をかけられたら、きっと皆幸せな気持ちになれるのにな。


ちょっとだけ、気持ちに余裕を持たせて。あの子のそばに戻ってきて。抱っこしてちょっと歩きながら。

抱っこして欲しいの? よし、じゃあ、抱っこしてあげよ! 〇〇ちゃん、疲れたね。お母さんも一緒、疲れたね。あと、もうちょっとで車に乗れるから、少し頑張って歩いてくれたら助かるんだけどなぁ。いつもお姉ちゃんだからって歩いてもらってるのごめんね、ありがとうね。

そうやって言ったら、あの子はきっと、もうちょっと頑張るっていいそうな、そんな子だった。たまにはお姉ちゃんが優先ねって初めに抱っこしてあげてもいいくらいに。

そんな余裕が持てるくらいに、あのお母さんが自分を大切に労わって欲しいな、誰かから手助けと愛情をもらって欲しいな。そんなふうに思った出来事でした。


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