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アンコール 22 「熱」

 ー シロに、彼女に、会いたかった。

 口づけをされた方の頬に触れると、あぐらをかいていた脚の付け根の部分が痛んだ。
 ズボンを履いているのがツラく感じて、ベルトを引き抜くとそのまま下着1枚のだらしない格好になる。

 彼女の、白い半袖のワンピース。
 透けていて、まろい胸のかたちや下着の色、模様までわかってしまった。

 逞しい、モンゴルの女性の血をその身に受け継ぎ、健康的な肉体を優雅に揺らして馬頭琴を奏でる彼女。

 神々しいまでに、恋い焦がれ、頭がおかしくなったように、悶え苦しんだ。

 こんなにも、こんなにも、狂おしく、自分が人を愛していただなんて、気がつかずに過ごしていただなんて、僕はなんて大馬鹿野郎なんだ。

 もっともっと、大切にしてやれば良かった。
 優しくしてやれば良かった。
 抱きしめてやることくらいなら、出来たのに。
 キスだって、出来たのに。
 交われないくらい、なんだと言うのだ。

 そのことを承知の上で、シロは僕を愛してくれたと言うのに。

 始発が出たら、すぐに空港へ向かおう。

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