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正義とはいったい何か?『ザ・クリエイター 創造者』

どうもこんにちは映画大好き音楽家Marvyです。

昨日『ザ・クリエイター 創造者』を見てきたので語っちゃいます!!

あらすじ

©︎ 2023 20th studio.

遠くない近未来、人を守るはずのAIが核を爆発させた——
人類とAIの戦争が激化する世界で、元特殊部隊の〈ジョシュア〉は人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗殺に向かう。だがそこにいたのは、兵器と呼ばれたAIの少女〈アルフィー〉だった。
そして彼は“ある理由”から、少女を守りぬくと誓う。やがてふたりが辿りつく、衝撃の真実とは…

20th Studio ホームページより

僕は週一で映画館に行っているので、同日公開の『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』と同じく予告を見て興味が出て見た流れです。

予告からわかるのは、人間 vs AIの戦争が勃発していて、最終兵器を抹殺する任務に出た主人公がたどり着くと少女のAIだったということ。

任務を任された主人公だけど、なんらかの理由でAI側につくのか?という流れですかね。

そして渡辺謙が出演しており、劇中に日本語が数カ所映っていること。
日本人としては、ハリウッド作品に日本人が出るとワクワクしますよね!!

感想(ネタバレなし)

とにかく内容は予想以上にエグかった!!
ものすごく圧倒されてめちゃくちゃ泣きました…

予告から伝わる主人公の葛藤よりも、SFなのにそこが霞むくらいの戦争で起こるデメリットの部分が超リアル。

©︎ 2023 20th studio.

見た目は人間そっくりのAIやから少しは現実味は薄れてるけどヤバかった。
特に後半のシーンはドリンク飲むのを忘れるくらい入り込んじゃう。

この"戦争"の残酷さ、善悪が何で線引きされるのかをSFで作り上げたことが『ザ・クリエイター 創造者』の最大の魅力だと思います。

そして哲学でも度々話題になる「AIは人間の脅威になりうるのか?」についてをテーマにおいて、架空の世界ではあるけど現実味があるのでその点も考えさせられました。

今回渡辺謙さんは、かなりメインよりのキャストなので、セリフも多めでした。何よりすごいのが日本語と英語のセリフが同じくらいあるんです!!

©︎ 2023 20th studio.

ちょっとこれには映画の内容と別で、ハリウッド映画にこうやってネイティブの日本語が使われるようになってきたのがほんとに嬉しかったです。

しかもセリフだけじゃなくて、映画の至る所に日本を中心にアジアの文化が垣間見えるギミックがあるので、そこも素直に喜びましたね。

本編終了後、クレジットの演出もかなりおしゃれでした。
ただ、本編の内容に圧倒されすぎてそこを細かく見る余裕はなかったです。

個人的には2023年のアカデミー賞優秀作品賞にノミネートされてもおかしくないんじゃないかな?と思うくらいの出来!!
これはノミネート作品が発表されるのが楽しみです!!

ここから先はネタバレ有り感想になるので、ネタバレが嫌な方はここで閉じてくださいね。


感想(ネタバレあり)

この映画でほんとに凄かったのは、綺麗に描かなかったこと。
まずは、AIとの戦争についてかな。

予告だとAIが暴走して人類を攻撃されていて、それを止めるために主人公が潜入する映画に見えました。ただ、予告で見ていたものは劇中のオープニングで描かれた核が落ちたアメリカ側の主張に過ぎなかったよね。

そしてアメリカが発した声明は、"AIを殲滅すること"
これはAIの研究を進めるニューアジアに危害が及ぶ可能性があることも示唆しているはずです。

実際にアメリカは、主人公が潜入捜査をしている時にも核兵器を落としてますからね。
だけど蓋を開けると、LAに核が落ちたのは入力ミスで、AIは関係なかったことが明らかになりました。

この映画におけるアメリカは、悪の象徴として描かれていました。
真実を揉み消し、国の脅威になるものを消し、国のために少数が犠牲になることを厭わないかなり残虐な国家として描かれていました。

©︎ 2023 20th studio.

本編後半で、武器も持たない僧侶のAIを抵抗なく殺していたみたいにね。
実際にアメリカにそういう気質がないわけではありませんが、今回その話は置いておきます笑

そして世界の中心であるアメリカの主張ではなくAIの主張を聞き、今までのようにAIを活用しながら生活することを選択するニューアジア。

彼らはAIに加担することで自分の身に危険が迫る可能性がありながらも、AIとともに共存することを選択しています。

その共存を選んだことで劇中でも様々なアジアの言語が行き交う様子も描かれていましたね。

あのシーンで、ウケるからアジアを使っているわけではなく、アジアに対してしっかりとリスペクトを感じました。

©︎ 2023 20th studio.


次に綺麗に描かなかったのは、主人公の奥さんについてですね。
潜入捜査をしていた頃に、アメリカの放った核兵器で亡くなったと思っていた主人公は、アメリカ軍から奥さんが生きている可能性があることを伝えられ探すために任務を受けていましたよね。

ただでさえこの映画では、奥さんを探す糸口になるアルフィーを守る選択をしたので、彼に協力する者たちが次々に亡くなっていきました。

普通の映画であれば、ここから再会してアメリカの計画を止めるために、
共に行動する流れに行くでしょう。

ただこの映画は、戦争を描いているのでそんなことなんてないんです。
実は奥さんは生きてはいたものの、あの爆発から意識が戻らず機械に繋がれて生かされていたんです。しかもアメリカはそれを知っていて主人公を利用していたこともわかりました。

しかも彼女を愛しているからこそ、機械を止める選択を取るんですよね。
それとほぼ同時に、主人公が奥さんを見つける糸口にしていたアルフィーが、奥さんが作っていた彼らの子供のAIだったことを知ります。

これがほんとに戦争の残酷さなんだなとつくづく思いましたよね…
こんなに悲しいことが連続して起こるのかと、胸にくるシーンでした。

そして最後には自分自身を犠牲に、自分と奥さんの、AIたちの希望でもあるアルフィーを生かす選択を取るところがほんとに号泣しちゃいました。

そしてここでやっと、ほんのひとときではありましたが彼に幸せな時間がやってきました。

もう爆発寸前って時に、アルフィーが脱出前に奥さんの意識が詰まったチップを、そっくりなAIに差し込んでいたので、主人公は奥さんと最後に再会するんです!!

この終盤のシーンはまじで涙が止まらなかったです。
SF映画であんなに泣いたのは久しぶりでしたね。

ただ、ここで終わらなかったのがこの映画。
先ほどまで書いてきたことほどではありませんが、地球に帰還したアルフィーを戦争を止めた救世主としてAIをはじめ、ニューアジア側の人々が喜んでいるシーン。

アルフィーも母親の最期を見届け、実は父親だった主人公までも犠牲になっているので本当は涙が枯れるくらい悲しいはずですよね。
その状況であっても祝福されるのはほんとに辛いことだと思いました。

そこで最後に映るシーンが落ちてくる宇宙船がまるで花火のようにものすごく綺麗に描かれていたんですよね。
あのシーンは、ほんとにこれまでの鬱憤が弾ける感覚がありました。

こんな終わり方は正直反則ですよね。そりゃみんな泣きますよ笑

本編とは違う箇所ですけど、この映画はオリジナル脚本なんですよね。
近年のSF作品は小説やコミックなど原作がある作品がものすごく多いです。

その中でオリジナルの脚本で、CG用途がものすごく増えるSF映画なのに、製作費が大作SFの半分で作っているのもほんとに脱帽です。

さいごに

AIがテーマのSFで描く戦争映画ではありますが、正直胸にくるところはありましたね。

ただ、それほど現実味がある作品として描かれていた証拠でもあるので、この作品がいかにすごいかがわかります!!

今年新作映画を50本ほど観てきましたが、この作品はアカデミー賞ノミネートあるんじゃないかなってレベル。

ギャレス・エドワーズ監督がインタビューでも言っていましたが、好きな映画はぜひ劇場に観にいきましょう!!

来日したギャレス・エドワーズ監督

配信で観れるからと思っていても、配給会社は興行収入で判断するらしいので、見に行かない(興行収入が悪い)とそのジャンルの映画が作られにくくなるそうです。

僕は映画館へなるべく足を運ぶようにしているのと、見る映画のパンフレットを必ず買うようにしています。
お金は本当にないですけどね...笑

皆さんはどんな時に映画館にいきますか?
またどんなジャンルの映画が好きですか?

皆さんの人生が映画で溢れますように。

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