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【前編】認知症を種類別に解説!それぞれの原因や症状とは

認知症はさまざまな脳の要因から認知機能が低下し、日常生活に影響を及ぼしていく病気です。
その認知症には大きく分けて4つの種類があります。
今回は認知症の種類別に原因や症状を解説していきます。

認知症の種類

認知症の種類は大きく下記の4つに分けられます。

それぞれ原因と症状を解説していきます。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、最も多いと言われている認知症です。
厚生労働省科学研究の資料である2013年5月報告の「都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応」からも、アルツハイマー型認知症は67.6%と最も多い比率となっています。

症状や程度には個人差がありますが、具体的な例をみていきましょう。

例えば視空間性障害によって、図形や立方体などを認識したり書いたりすることができなくなります。また空間をうまく認識できないことによって、日常生活に必要な箸などの道具を使えなくなったり、更衣ができなくなったりする失行なども起きやすいです。

また、語健忘や記憶障害などが重なると、発する言葉の数が減ったり理解できる言葉が減っていったりします。

アルツハイマー型認知症の一番の特徴とされるのは記憶障害であり、約束を忘れる、同じ話を繰り返す、どこに物を置いたのかわからなくなることが起こります。

しかし病識や自発性の低下も症状として存在するため、なかなか早期発見に至りにくく、気づいた時には症状が進行しているケースは少なくありません。

さらに BPSDと呼ばれる妄想や幻覚、興奮などの心理症状が多く出現するのも特徴で、症状が進行していくと、徘徊や怒りっぽいなどの行動もみられます。

完治を目指す薬は現状存在しませんが、進行を遅らせる薬は存在します。進行を遅らせる薬の内服をしつつ、環境調整やリハビリなどを行っていくのが一般的な治療方法です。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は前述の報告にて、認知症全体で3番目に多い4.3%の比率を占めています。

うつ症状や無関心を指すアパシー、幻覚や妄想などの精神面での症状がみられ、人によっては睡眠中に大きな声を出したり暴力的な行動を取ったりするレム期睡眠行動異常も起こります。

また、手足の震えや動作緩慢、歩幅が小さくなるなどのパーキンソン病のような症状も出現するのが特徴です。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は前述の報告で19.5%を占めており、2番目に多い認知症です。

脳血管障害が生じた箇所によって症状が異なる場合もある「まだら認知症」というのも存在するため、一概に同じ症状ではないのも特徴です。

他にも全身の症状として、ふらつきや歩行障害、転倒、排尿障害などがあります。症状だけでなく進行のペースにも個人差があり、ゆっくりと進行する場合もあれば、急激に進行していく場合、小さな梗塞を繰り返し段階的に進行する場合もあります。

治療は脳血管疾患の症状に応じた、薬物療法を行っていくのが基本です。

人によっては脳血管疾患の要因となる糖尿病や高血圧に対する薬を内服したり、精神症状が強い場合には抗うつ薬を内服したりします。

前頭側頭型認知症(前頭側頭葉変性症)

引用:一般社団法人日本神経学会の2017年の認知症疾患診断ガイドライン

前頭側頭型認知症は以前の呼び名であり、正しくは前頭側頭葉変性症という病名で難病指定を受けている病気です。

前述の報告からは認知症全体の1%を占めています。

失語の中でも診断基準の必須項目としても挙げられている「物品呼称の障害」と「単語理解の障害」が特徴的な症状で、物品の意味や名前がわからなくなります。

例えば富士山の写真を見せても山ということはわかるものの、「富士山」という特定のものだと認識するのが困難です。

他にも脱抑制・反社会的行動と言って万引きなどの行動を起こすこともあり、デイケアの利用や認知行動療法などを行い、社会的に問題がない行動へ置き換えるという対応が行われる場合もあります。

根治可能な薬は開発されておらず、抗うつ薬や前述した行動療法などの治療が行われます。

後編はこちら:https://note.com/braintokyopharma/n/n4a9a3aed09bc

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