脳死・臓器移植の現場を見ていく前回の続きです。脳死・臓器移植の実態を、小松美彦教授の『脳死・臓器移植の本当の話』から引用していきます(引用部分の太字はこちらで付けました)。
4.14年以上生きている脳死患者
5.脳死が人の死である基準が否定された!
もはや、脳死を死の基準とすることが医学的に無理なことが明らかになっています。しかし、臓器移植を推進する人たちは、移植臓器を増やすために、新たな論理を導き出しているのです。
オーストラリアの生命倫理学者ピーター・シンガーは、人命に価値の序列をつけることを主張し、脳死者、遷延性植物状態の患者、無脳症児、皮質死状態の新生児を、「意識を回復する見込みがまったくない」として切り捨てようとします。
そして、ハーバード大学麻酔学教授ロバート・トゥルオグはもっと先鋭的で、脳死者などが生きていることを認めた上で、臓器摘出を「正当化された殺人(justified killing)」とするのです。トゥルオグは「移植臓器の獲得のためには時には殺人も正当だと認められる必要がある」と主張しますが、なんと恐ろしい言葉ではありませんか……。
かつて国会で審議された臓器移植法改正案。特に、与党が推進する「町野案」は、脳死を死の基準とすることが無理であるという医学的な見解を無視して、また論理的にも矛盾を抱えながら、臓器提供を増やそうとするものでした。脳死・臓器移植の実態を無視して、改悪的に臓器移植法改正を推進する、与党「町野案」は断じて認められるべきではないのですが……。
見出し画像は、メリカナデシコさんの画像をお借りしました。ありがとうございます。
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