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感覚過敏・ヘッドフォンの利便性が想像以上だった

今の学校で働くまで気づきませんでしたが、ヘッドフォンの利便性がすごいです。音に敏感な自閉症児や感覚過敏の子どもに有効なのは理解していましたが、実際には自分の理解以上に効力があってかなり使えるツールです。

ヘッドフォンはほとんどの特別支援学級で用意されている(と思われる)比較的用意がしやすいアコモデーション(合理的配慮)の一つです。

私の教室で使っているヘッドフォンには2つのタイプがあり、一つはノイズキャンセリングフォンで、もう一つが音楽が聴けるヘッドフォンです。

ノイズキャンセリング・ヘッドフォン

ここで言うノイズキャンセリング・ヘッドフォンは、今どきのアクティブ・ノイズキャンセリングではなく、20ドル前後で購入できるリーズナブルでローテクなタイプ。

このヘッドフォンの役割は、文字通り騒音をキャンセルすること。そして耳に入ってくる騒音のレベルを下げることによって、音に敏感な生徒の自己調整 / self-regulation を助けます(自己調整とは、自分の感情、思考、行動を意識的に管理し、調整する能力です)。

もちろん個人により差はありますが、音に過敏な子どもはこのヘッドフォンを着用ことによって初めて学校のアクティビティに参加できる、つまりスタート地点に立てる子どももいます。目に見えて落ち着きが出る子も珍しくないです。

どんなふうに聞こえているのか気になったので私も着けてみましたが、確かにホッとします。音はOKな私でさえ安堵を感じたので、彼らには相当な違いだと思います。目の前での会話は普通にキャッチできます。話しかける方は大声を出さなくても大丈夫です。

そして当たり前ではありますが、メカニカルではないので頑丈です。過去に何度も床に目がけて投げ飛ばされたヘッドフォンがあるのですが、耳の部分がパカッと割れてもまたカチッと元に戻すことが可能で不死身でした。メーカーにもよるとは思いますが。

またこのヘッドフォン、着けてみるとわかるのですが締め付け感が強いです。両側からぎゅっと締め付けられます。それが偶然なのか計算されているのか知りませんが、作業療法士(OT)がいいことを教えてくれました。固有受容感覚(Proprioception)へのインプットを好む子どもには、頭に軽いプレッシャーを与えるヘッドマッサージが好まれることがよくありますが、彼らにはこのヘッドフォンの締め付けが心地いいかもしれないと。なるほど。

Bluetooth ヘッドフォン

ブルートゥースのヘッドフォンは音楽を聴くために用意してありますが、最近のはデフォルトでノイズキャンセリング機能が付いていたりします。ワイヤレスなので着けていても動きが制限されません。

このヘッドフォンは音楽を聴くために用意してあります。私の勤めるフロアタイムの学校では、生徒のやりたい意思をできるだけ汲み取るようにしていて、リクエストの曲を教室のスピーカーからよく流しています。しかし音楽を聴きたくない生徒がいることもあり、そんな時にはこのヘッドフォンを使って好きな音楽を聴いてもらっています。

この「音楽を聴く」行為ですが、私たちには娯楽という印象があります。エンターテイメント。しかしそれだけにあらず。これもこの学校に来てから気づいたのですが、音楽を聴くとことで自己調整/self-regulationができるようになる生徒も結構いるんですね。そしてやはり自己調整することにより学校のアクティビティに参加できるようになる。そして「テーブルを壁際まで動かしてくださーい」みたいな指示もスッと通るようになる。魔法です。

ちなみに音楽は何でもいい訳ではなく、個人の好みを探し出す必要があります。1曲2曲ではなく、プレイリストを作ってチームでシェアしておくと便利です。必要な時にさっとスマホを取り出して音楽をかけることができる。TLCとか90年代のR&Bで調整できる子がいればw、クリスマスの合唱やブラスバンドのような音でスイッチが入る子もいる。本当に興味深いです。

学校に音楽療法士のチームがあるのですが、こう考えると納得ですよね。音楽は確かに療法だわ・・・

音に過敏な方はぜひ、高いものではないのでお家でもヘッドフォンを試してみてください。私は突然の大きな音に弱いのですが、ノイズキャンセリング・ヘッドフォンを買ってみようかなと検討中です。ハイテクの方〜


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