ブレインちゃん

自閉症児へのアプローチDIRフロアタイム・プラクティショナー。アメリカの特別支援学校で勤務。

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自閉症児へのアプローチDIRフロアタイム・プラクティショナー。アメリカの特別支援学校で勤務。

最近の記事

自閉症と社会のルールやマナー

自閉症の子どもたちは社会のルールやマナーとどう付き合っていくべきか、学校スタッフにとって日常的に悩むところです。何がベストで何が適切なのかはその時の状況や本人の状態によって変化するし、信じるアプローチや療法によっても違うし、はたまたその土地に根付いた文化も考慮したいし。いろんな要素が絡んでなかなか一筋縄ではいかないものです。 先日、ルールやマナーについてどう対応するか同僚と話していたのですが、それが興味深かったのでここに書き留めておきます。関心のある人は多いんじゃないかなと

    • フロアタイムのおすすめ書籍

      「フロアタイムについてもっと知りたいのですが、おすすめの本はありますか」という質問をよく頂きます。自閉症の療法というとABAが主流の日本ですが、それ以外の選択肢としてフロアタイムが知られてきているんだなと、とっても嬉しくなります。 そして嬉しいと同時に、もどかしさも感じています。それは言語の壁です。フロアタイムはアメリカが発祥の地なのでですが、日本語での情報がまだまだちゃんと行き届いていません。圧倒的に日本語での情報が少ない。これでは広まるものもなかなか広まりません。 フ

      • 保育士さんのスモックに見る社会のしばり

        アメリカのプリスクールで働いていた時、帰国しても幼稚園の先生や保育士さんには絶対になれないと思っていました。職場のルールが鬼厳しそうだからです。それも文化といえばそうなんですが、外から見る限りでは働いている人たちがあまり楽しそうには見えません。 日本の園では保育士さんはなぜ皆んなで終日エプロンやスモックを着ているのでしょうか。服が汚れたら洗えばよいと思うのは私だけなのか。着ない選択肢はあるのでしょうか。なぜ制服化しているのでしょうか。しかもスモックのデザインが泣けます。大泣

        • 自閉症と、圧倒的な個人差

          私の勤める特別支援学校は、脳神経の発達遅延がある子どもたちのためにデザインされたプログラムで、生徒の9割近くが自閉症の子どもたちです。 私は過去に通常学級やインクルーシブ学級で勤務していましたが、特別支援学校は今回が初めてです。とは言えこの環境の転換から一年半が過ぎました。あっという間です。このスピード感は学校で得る学びの量がすごいからだと思うのですが、毎日が発見で飽きることがありません。 その学びの中でもガツンときたのはファンダメンタルな部分での気づきかもしれません。そ

          自閉症の子どもに多いつま先だちと、その理由(の一つかな)

          自閉症の子どもたちの特徴的な行動の多くは「そういうものだよね」でやり過ごしそうになるんですが、プロフェッショナルの周りにいると「いや、その裏に理由がある」と気付かされることがあります。 例えばつま先立ち。 もちろん皆がそうではなく、以下は「一般的にその傾向がある」という話として読んでください。 つま先立ちで歩く自閉症の子どもは多くいます。あるとき私のコーチが教えてくれたのですが、爪先立ちの子どもたちには便秘をしている子が多いのだそう。そして常に体に力が入っていて、硬い。

          自閉症の子どもに多いつま先だちと、その理由(の一つかな)

          「アスペ」言わない

          理解不可能な配偶者を「アスペ」と呼んで、あれやったこれやったと事細かく報告したのち「よって私の人生はこんなにメチャクチャです」っていうネットで良く見るあれ、一体なんなんだろう。 そんなに相手がイヤなら何で別れないんだろう。誰に頼まれて我慢しているんだろう。なんで自分の人生なのに自分で決めないんだろう。メンタル病むくらいなら別れればいいのに。 それでも一緒にいると決めたならば、配偶者を「アスペ」と呼んで悪口書きまくるのはやめるべき。アスペルガー症候群をイヤな奴の代名詞にしな

          「アスペ」言わない

          明日は大雪予報で学校閉鎖のオンライン授業。外で遊んでもらった方がよっぽど・・・

          朝キッチンで支度をしながらラジオを聴いていたら、明日の天気は雨のち雪。4〜10インチ積もるとの予報でした。そういう予報は雨で終わることが多いのでサラッと流して出勤したのですが、お昼までには「明日はスノーDAYで学校はお休みです」と連絡が流れてきました。やたー! 市内の公立学校は正確には休校ではなくオンラインの授業に移行するのだそう。しかし私の特別支援学校は休校です。オンラインはハードルが高すぎるし、雪で遊んでもらった方がよっぽど学びになる! 私の息子たちもオンライン授業の

          明日は大雪予報で学校閉鎖のオンライン授業。外で遊んでもらった方がよっぽど・・・

          ASD、ADHD、ディスレクシア...多様性にフレンドリーな大学探しのヒント

          長男の大学受験シーズンが終盤に差し掛かり、受かった学校の中からどこに行きたいかを決めるエキサイティングな時期に入りました。 彼の意思を尊重して・・・も何も、最初っから大学選びに興味を示さず、かといってそれ以外の選択肢にも興味を示さず、半分なりゆきでここまできた感はあるのですが、大学進学をきっかけに家から出でたら面白いこと見つけてくれるかなと淡い期待。 とは言うものの、就学前からIEPにお世話になってここまで育ってきた彼なので、突然一人で暮らせるのか(キャンパス内だけど)と

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          チーム・ビルディングが必要なのは学校も一緒

          今日のお仕事はアドレナリンが放出されるくらいメチャクチャ盛り上がりました。学校で働いていますが、ここまで盛り上がれる学校は初めてだ・・ なぜそんなに盛り上がったのかというと、子どもたちが帰った後に行われたチーム・ビルディングのトレーニングの一環として、ゲーム的なコンテストがあり、校内の18クラスと競ったのち優勝したという輝かしい理由からです。雄叫びあげて喜び、みんなで景品までもらって帰ってきました。 私たちの学校は特別支援学校ですが、通常の特別支援学校とちょっと違っており

          チーム・ビルディングが必要なのは学校も一緒

          ラディカルにインクルーシブであれ

          先日あのカフェのサイトから購入したTシャツとトレーナーが届きました! アメリカで障害者雇用を中心にビジネスを立ち上げ大人気となり、400人の雇用を産んだだけでなくそのビジネスはフランチャイズにまで成長した「Bitty & Beau's Cafe」です。 女性も男性もないユニセックスなのでサイズ選びに悩みましたが、大きめで着たかった私でもSサイズでちょうど感じでした。洗って縮みませんよう! さて、このTシャツを勤め先の学校に着て行きたいのですが、やっぱり難しい! 何が難しい

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          カーン・アカデミーがAIを導入し、先生用のスーパー時短ツールを作ってくれた!

          仕事から帰ってきた夫がいいことを教えてくれました。 カーン・アカデミー(Khan Academy)を知っている人は多いと思います。無料で利用できるオンラインの教育プラットフォームです。サルマン・カーンが2008年に始めた事業で、数学、科学、歴史、物理、コンピューターサイエンスなど幅広くカバーした教材マテリアルを、個人のペースで学習できることを目的に提供しています。 そして今、サルマン・カーンはAIを使った教育プラットフォーム「カーミンゴ(Khanmingo)」を先生に向け

          カーン・アカデミーがAIを導入し、先生用のスーパー時短ツールを作ってくれた!

          不思議と落ち着く、ミラーリングを利用したプログラム

          不思議と落ち着く動画を学校で知りました。MeMovesという名前のプログラムです。 この動画を見ながら、お手本の人と同じように手を動かす脳のエクササイズです。私のクラスの場合、このエクササイズをいつくか取り入れ、頭と気持ちが落ち着いたところで授業を始めるときがあります。動かすのは腕だけなので座ったままで参加することができます。 Me Moves Sample (↑埋め込みが出来なかったのでリンクだけ貼ります。見れるかな?) このサンプル動画とは違うものを教室では使ってい

          不思議と落ち着く、ミラーリングを利用したプログラム

          アメリカの障害者雇用のリアル・多くの人が時給$3.50未満で働く

          先日、障害者雇用を中心に始まったアメリカのコーヒーショップの記事について書きました。ビジネスはとても好調で、現在まで400人の障害者を雇用を生みだしたとのこと。 そこで「アメリカのリアルな障害者雇用の状況はどんなもんだろう」と調べてみたのですが、ハフポストのこの記事が目に留まりました。セクション14 (c)という1938年の古い規定がどうやら論議を醸し出しているようです。 つまり、特別な証明証を取得さえすれば、その会社は障害者をを連邦で定められた最低賃金より低い賃金で雇う

          アメリカの障害者雇用のリアル・多くの人が時給$3.50未満で働く

          アップルのVRヘッドセット「Apple Vision Pro」、ADHDとの相性

          アップル社の開発したVRヘッドセット、Apple Vision Proがいよいよアメリカで発売になりました。 夫は映画を観るのが大好きですが、大きなスクリーンで観れるというだけでなく、ベッドで横になっても観れるといって指をくわえています。それでも値段が値段なだけに($3,499)なかなか手は出ないのですが、夫婦共々かなり興味があるんですよね・・・私の場合はただの新しい物好きなんですが。 まだOculusだった頃のQuest 2が我が家にありますが、ちょっと使っていると目が

          アップルのVRヘッドセット「Apple Vision Pro」、ADHDとの相性

          障がいを持つ従業員を中心としたビジネス・アメリカのコーヒー屋さん

          障害者の雇用の少なさはどの国でも大きな問題ですが、元気が出る素晴らしい記事を読みました。インスピレーションになります。ハーバード・ビジネスレビューより。 要約を訳したものがこちら。 元記事は英語ですが、ChatGPTで翻訳して全部読んでください! 長いですがすごくいいです。 発達障害児を育てる親として感じるのは、子供の将来を考えると漠然とした不安がつきまとうこと。先のことなんで誰も分からないのですがね。でもこういった企業が増えてきているのはいいニュースであり、安心材料。

          障がいを持つ従業員を中心としたビジネス・アメリカのコーヒー屋さん

          おもりの付いたベストはお仕置きではありませんでした

          インクルーシブ学級で働き始めたとき、世の中には多くの発達障害児サポート・グッズがあることを初めて知りました。悩みの一つ一つにアイテムがあるんじゃないかってくらいバラエティに富んでいて、まだ幼かった長男(ADHDっ子)を育てていた私には目から鱗でした。 その中でも衝撃を受けたのはウエイト・ベスト(weighted vest)。体を落ち着かせるのが難しかった生徒がいたのですが、彼はそのベストを着て朝の会に参加していました。 一見、誤解を受けそうなアイテムではあります。おもりの

          おもりの付いたベストはお仕置きではありませんでした