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甘さと人類(雑記5 大航海時代〜産業革命)

 砂糖はサトウキビから摂取するのが主流だった時代には、サトウキビを作ることができる暖かくてミネラル豊かな土地が必要だったため土地の限界が生産量の限界だったが、インドを目指したコロンブスがアメリカ大陸を発見したことにより時代を大きく変動していった。
スペインやイギリスが中心となり中南米の豊かな土地を砂糖のプランテーションに変えていった。プランテーションでは現地民や西アフリカから奴隷としてきて連れてきた人々を奴隷として働かせるようになると、砂糖を大量に格安で生産することが可能となり、西欧の帝国は砂糖は貿易の主力商品として輸出することが可能になり、帝国は巨万の富を得ることになった。実業家や政治家が砂糖の生産に関して覇権争いが始まった。
 
 話を少し戻すが、なぜ西欧の帝国は西アフリカから無慈悲に人を連れてくることが出来たのか。西欧を少し分解してい考える必要がある。大航海時代前のスペインはイスラム教やキリスト教カトリック、ユダヤ教などが交流をしていたのだが、15C頃のカトリック教を国教としたカスティーリャ国によるその他の異端宗教者の弾圧が始まり、人間らしさを破壊すると共に、異端者を許容しない雰囲気へと導いていった。
 もう一つはカトリックのキリストの思想と教会や権力者の欲望と、欧州の人口の1/3が亡くなったペストによる社会不安、寒冷化による不作、貿易により安価なものが流通して職を失う人、農業革命などにより地主から土地を引き剥がされた人々が増えてきので教会や国はスケープゴートとしてキリスト教の思想と対立する大地や自然を信仰促す魔女的な存在の人々に責任をなすりつけるようになり、魔女狩りが加速した。人々が疑いだし、魔女がいても報告しないことも罪とされるようになり人々は家族すらも密告し、家族や愛などが破壊され社会的絆が破壊された。
 人間の尊厳ともいうべき物が急速に消えていく最中にアメリカ大陸を見つけて金銀宝石、砂糖などの富に目が眩み、帝国主義に拍車がかかるようになっていった。

 そして18世紀頃には甜菜が発明されて寒冷地で生産可能な甜菜から砂糖を抽出することが可能となったために砂糖の価格が下がり始めたところに、産業革命が起こり資本家や地主は工場で働く人が必要になり、工場で働く人員を安価に獲得するためには彼らの労働に必要なエネルギーのコストを下げる必要が生じ、砂糖を与えることが最もリーズナブルになる時代が到来した。
 砂糖にまつわること全てがブラックという訳でもなくて、この時代になると砂糖は市民でも手が入りやすいようになりイギリスなどではコーヒーハウスなどが流行り始めた。

 こうして甘さは富の道具から、資本家が安価な労働者を得るためのツールであったり市民が余暇を楽しむ娯楽的なものとしてのシフトしていった。

 海外の話ばかりとなってしまったが、日本でも悪名高き三角貿易の恩恵を受けている。日本で甘味は貴重で甘さを求める傾向が大きかったのだがこの時の日本酒などはまったりした甘いお酒が多かったと言われているが、三角貿易の恩恵を受けて日本で砂糖の流通量が増えて甘い料理が増えたために日本酒は辛口が好まれるようになっていった。

 甘さが人に与えた悪影響を決して許すことはできる訳ではないが、それらにより恩恵を受けた結果現代がある訳で、考えていると複雑な気分になってくる。

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