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15年前のGW北海道紀行

緊急事態宣言が出ていますので、今年のゴールデンウイークはどこにも出かけられません。宣言が明けたらどこかへ新緑の風景でも撮りに行こうと思っていましたが、それも5月末まで延長されてしまいました。本当に5月末で解除されるのかは知りませんが、鉄道写真は外に出ないとなかなか撮影できませんから、早く解除されて、のんびりと撮影に行きたいところです。

noteでは、過去の写真以外にも、鉄道関係の記事をシェアしたりしていますが、それも最近はウイルス関係の記事ばかりで、なかなかシェアするのも難しい状況。書くネタもないので、今回もまた、過去の写真を引っ張り出してみました。

今回ご紹介するのは2005年、今から15年前のゴールデンウイークに訪れた北海道です。

青森⇒函館

2005年のゴールデンウイークは日取りに恵まれ、私は5月2日と6日の両平日に休みを取り、奇跡の10連休を勝ち取った。4月30日から旅に出て、ちょうど桜で見ごろの東北地方を訪れる。北上展勝地、盛岡の高松公園、角館、秋田の千秋公園と桜を巡って、青森までやってきた。

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当時は北海道新幹線なんていうものは走っておらず、青函トンネルは在来線で越えていた。ただし、リーズナブルに青函間を移動できた快速「海峡」は2002年に廃止され、特急「スーパー白鳥」に統一されており、社会人2年目でお金のない私は、迷うことなく、特急ではなく、フェリーで渡ることを考えた。

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その昔は青森駅に直結した桟橋から青函連絡船が出ていたが、今は駅から少し離れた青森港フェリーターミナルへ行く必要がある。青函間の移動のほとんどは青函トンネルが担っているものと思っていたが、行ってみると、ツーリングのバイクに乗ったお兄ちゃんや、トラックのおじちゃんたちが結構乗っている。フェリーもまだまだ大切なルートの一つのようだ。

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フェリーは青森を出て、陸奥湾を進む。波は比較的穏やかだった。時折外に出て潮風に吹かれては海を眺め、また中に戻ってはNHKニュースで「弘前の桜が満開になった」ことを知ったりして過ごす。函館までは4時間。ひとり旅というのは寂しいもので、4時間は長く感じた。たぶん海の風景に飽きてしまったのだろう、船上から見た函館山を撮った写真は見つからない。撮っておけばよかったと、今となっては悔やまれる。

函館の春を楽しむ

函館・五稜郭の桜は3分咲きから5分咲きだった。北海道の中でも函館の春は早い。早くも若葉が芽吹いている木もあった。若葉のこのチョビチョビした姿は好きだ。実に可愛い。

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五稜郭から移動して、向かったのは八幡坂だ。函館港に停留された摩周丸を見下ろせる、函館では有名な坂。市電が通ってくれればと思ったが、実はこの時はまだ本格的に鉄道写真を撮る前。そんなことはお構いなく、人と車が途切れた瞬間を撮ったようだ。

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そのまま元町の周辺をぶらぶらする。函館・元町には代表的な3つのキリスト教会がある。函館ハリストス正教会、カトリック元町教会、そして函館聖ヨハネ教会である。函館湾を絡めながらそれぞれの教会を見てまわって写真に収める。北の大地の入口なだけに、風は涼やかで心地よい。

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そのまま函館山のロープウェーに乗った。まだ日があるうちだったが、その時間帯から登らないといい位置で夜景を見ることはできないからだ。この日のメインイベントは函館山の夜景。いい位置に陣取る。だんだんと暗くなっていく街。それと並行するかのように灯りはじめる街灯。ブルーモーメント呼ばれる最も美しい時間帯に、見事な夜景を見ることができた。心が洗われる、とは、まさにこのことを言うのだろう。

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札幌へ向かう

翌朝、私は函館を発った。札幌へと向かうためだ。札幌へと向かう最短ルートは特急「スーパー北斗」を利用することである。ところが金のない貧乏人であるだけに、都市間バスを使うことにした。札幌までは6時間。この頃には道央道が国縫まで開通していて、バスはそこから高速に乗ったのだが、ゴールデンウイークということもあって道路は大混雑。最終的には30分以上の遅れで到着したような気がするが、時間に追われるなら鉄道がいいことを再認識した。ただ、休憩場所の有珠山S.Aから見た有珠山は見事だった。

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札幌に到着した後は、まずは大倉山のジャンプ台へ。雪のないシーズンは頂上までリフトで登れる。今ではいくつものタワーマンションが札幌中心部にできているが、当時はJRタワーの高さが本当に目立っていた。気持ちのいい風が吹く中、展望台で味わったソフトクリームの美味しさは忘れられない。

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その夜、藻岩山へと登る。寒い。かなり風が強く、寒い。531mという標高は函館山よりも200m近く高い。今では藻岩山は新日本三大夜景に選ばれているらしいが、私は函館山の方が好きだ。札幌の石狩平野はだだっ広い。平板なのだ。函館山の海と半島が織りなす美しさが藻岩山にはない。百万都市の圧倒的な光の海はたしかにきれいだけど。

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厚田・小樽・支笏湖と

「北海道で、どこが一番好きか?」と聞かれることがある。私はいつも「厚田。正確には望来の丘」と答える。石狩湾新港を過ぎ、日本海沿いを北上するとやがて見えてくる厚田村の入口「望来」。国道沿いの丘から望む風力発電と暑寒別連峰と、そして青い海。ここから見る景色は、何度来ても飽きがこない。初めて訪れたのがこの2005年。以来、何度もこの場所では絶景を目にしている。なんといっても「望みが来る」場所だ。希望にあふれる地名ではないか。

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厚田で折り返して、石狩湾沿いに向かったのは小樽。憧れの小樽運河もこの時が初訪問だった。以来、2度ほど来ているがいずれも訪問は夜景のタイミング。夜景もきれいだけど、こうして見返してみると、昼間の運河の風情もきれいだな。五月晴れの空がまたいい。

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小樽にきて、感動したのは小樽運河もそうだが、一番は違う。港の雰囲気だった。そこで撮った一枚がこれ。気持ちよさそうに飛び交うカモメたち。気持ちのいい空の下で、気持ちのいい風に吹かれながら、気持ちのいい一枚を撮る。これほどの贅沢があろうか。

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旅の終着点は支笏湖だ。小樽から札幌市街地の南を通り、真駒内を抜けてやってきた。ここも見事な晴天。湖畔からは見事な恵庭岳が見えていた。反対に目をやれば樽前山や風不死岳も見える。支笏湖はこれ以来、一度も来ていない。何せ、鉄道撮影を趣味にしてしまうと、こういった鉄道の走っていない地域にはとんと寄りつかなくなる。ただ、もう一度行ってみたい場所ではある。

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たまには普通の観光でもしてみようか?

GWの北海道紀行はこの支笏湖で記録が終わっています。その後は札幌へと戻り、その日の夜行急行「はまなす」で青森へと向かい、ゴールデンウイークの最終日を、桜が散り始めの芦野公園や弘前城公園で楽しみました。

いろいろと振り返ると、2004年の秋に飛行機写真に出逢って写真を本格的に撮影するようになりましたが、この当時は飛行機と夜景、風景をメインに撮っていました。それが2006年の冬に磐越西線の撮影をして、そこから鉄道写真に一気に傾倒してしまったわけです。以来、どうしても鉄道沿線の訪問が目立ちますが、たまには鉄道趣味を忘れて、全国の絶景観光地を訪れるのも悪くないと今は思います。たとえそれが「絵はがき写真」であってもいい。こんなところに行ったことがあるんだよ、と後で振り返ることができるのはいいものです。

緊急事態宣言は5月末に明けるのでしょうか。明けたらまた、写真の趣味を再開したいと思っています。

(トップ写真は筆者撮影。2005年5月、銭函近辺の国道駐車帯にて)

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