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#逆噴射小説大賞2019
10セントの命を追って
或る夜。月は寄せては返す波めいて、不穏な光を放っていた。
それは自然の警告にも思えたが、罰当たりな彼らは黒澤明由来の農村の真ん中に73式中型トラックを停めた。
メガネの男が呟く。
「前は蛮人、次にUMAと来た。死人は増えるばかりです。穏便に済みますか?」
人類学者、河添教授は頷いた。
「赤井君、解決方法は一つじゃないだろ」
赤井は頭を掻いた。
「その為の我々ですけども」
教授は黙って外に出た。
昼
ロニー&ペイジの憂鬱な荒野の走馬燈
「とっとと殺れ!」
鈍い鉄が弾けて車体を揺らした。
これで多分三両目はもうだめだ。
目がもう一つあれば正確な判断ができるだろうが、追われてる時は二つで終いだ。今日の仕事分は捨てるしかない。
俺は燃料をくべた。青い炎が頬を照らす。目に悪いっちゅうの。
「ペイジお前死にたいのか!早くアイツらを爆破しろ!」
「なかなか狙いが定まらなくて!」
六駅目。
真っ暗だった線路にようやく明かりがやって来る。
俺は
南蛮由来重地獄音楽芝居 源兄弟遣魔合戦(パイロット版)
その時義経は、自刃に追い込まれていた。
戦を続けるは弁慶ただ一人、他の諸々は物言わぬ。
燃ゆる寺の門前にて、血反吐を吐き捨て彼は立つ。文字通り矢面に立つ。数百本の矢の雨が彼を飲み込もうとしても、彼は立っていた。
「しかし、修羅に心を売ったか。藤原泰衡!」
弁慶は叫んだ。この時初めて弁慶は恐怖した。無理もない。
弓を射るのは骸骨の群れ、迫る歩兵は赤い鬼。ついで髑髏で出来た紫色の炎を噴き出す重戦車に乗