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137話 それぞれの兄弟

王達の墓で出会ったパジャマ姿の少女「あーちゃん」。彼女はお話を聞かせてくれるおばあちゃんから「鍵」をもらったと言う。 その鍵がどこの鍵かは分からない。暗闇の中、ドムと少女は「お茶会」をしたあの小さな小屋へ向かって進むことにした。

※ ※ ※

暗闇の中を2つの足音が進んでいく。
背の低い草を、カサカサかき分ける音だけが続く空間に、ドムの不安は大きくなっていった。
誰かに見られている気がして周りを見渡す。

「どうしたの?」

あーちゃんは、キョロキョロするドムを見上げて声をかけた。

「ん? 他に誰かいる気がして」

それはドムの肩に乗っていたミィとチィも同じ様だった。
ドムの髪の毛の中に顔を隠し、その隙間から周りを警戒している。

「ちゃんと前みなきゃ危ないよ」

少女が足元にある危険を知らせてくれる。
まるで兄・ドミノの様だ……とドムは世話焼き好きのドミノを思い出しクスリと笑った。

「何? 私何も面白い事言ってないよ?」

「ううん、ごめん。今ちょっと兄さんの事思い出しちゃって」

「お兄ちゃんがいるの?」

「うん。何でも知ってる優しい人なんだ」

ドムは足元を確認しながら少女と進んでいく。

久しぶりに思い出したドミノの事を近くに感じ、ドムは落ち着きを取り戻した。

「兄さん、今頃何してるのかな」

小さく呟いた言葉に少女とつないでいた手がキュッと握り返したのを感じた。

「ブーがね、最近変な事を言うの」

「ブーが?」

ドムは少女の空想話に耳を傾けた。

「夢を見るんだって。とても怖い夢。楽しい夢の時もあるけど、最近は怖い夢ばっかりだって」

「あーちゃんは怖い夢は見ないの?」

「ホントはね、見るけど……でも言ったらブーが怖がるから言わない。だって、ブー本当に怖がりなんだよ? 夜のトイレだって一人で行けないんだから」

「僕も夜中のトイレは怖いかな。1人で行けるようになったの大きくなってからだよ」

少女は立ち止まりドムの顔を見上げた。

「男の子って怖がりね」

そう言ってクスッと笑う。
ドムは兄の事だけでなく村の兄弟達の事を思い出した。小さいあの弟や妹達は一人でトイレに行けるようになっただろうか。

そんな事を懐かしく考えながら進んでいく。
きづくと、あの小さな小屋の前に立っていた。

つづく

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