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259話 屋敷の門番

夢の中に取り残されている黒の女王・シャム。彼女を助ける為に墓守のドムは走り回っていた。一方、ドムの兄・ドミノも黒の国へ訪れたのには意味があった。集めた夢のカケラの1つに鍵穴があるものがあったのだ。その秘密を探るべく黒の国に住む「鍵屋」を訪ねてやっきたのだ。


※ ※ ※


ドミノ達は地面にある目印を頼りに無事、黒の国の住宅街に到着した。
住宅街といっても、黒いビルがいくつも並び高く聳え低い空がさらに低く感じる場所だった。

「つ、着きました」

シイナはランプの灯火を消して、一つのビルの門を押して中に入っていった。
ギギギと不気味な音が響く。
くぐった門の向こう側は思ったよりも明るいとドミノは思った。

「ここ、ホテルみたいだね」

護衛の明(あかり)も建物に入っていくと手元にあったランプの火を手風で消した。

「ホテルとは?」

ドミノは聞きなれない言葉を問い返した。

「ん〜、旅行客が宿泊するいくつの部屋がある建物だよ。ほら、ドミノ達が寝泊まりしてい蜂の巣。あんな感じ」

シイナはビルの門先にあった扉を開けると、その先に人影を感じた。

「おや、シイナ。久しぶりだね」

声をかけてきたのはビルの番人だという老婆だった。
まっ黒い服を着て、白髪を綺麗にまとめ上げ黒猫を抱いているその姿はまるで魔女だと明は思った。
この様なビルの番人が建物1棟に1人は存在しているという。その話を聞いて全員が集まると、まるで魔女の集会だな、と口にした時シイナが明の思いを口にした。

「き、今日は集会ですか?」

「あぁ、どうやら女王様が目覚めたが事態は深刻らしくてね」

「さ、さすがの地獄耳」

「魔女は耳がいいんだよ」

そういって老婆は笑いながらシイナ達をビルの奥へと案内した。

扉が開くとそこにはガラスの箱が待っており、それに乗り込むとシイナは並んだ数字の1番上のボタンを押した。
ガラスの箱は扉が閉まると自動でドミノ達をビルの上へと運んでいく。

まるで飛んでいる飛んでいる様なその箱を、ドミノは本当に魔法の様に感じていた。
霞んでいく街を見下ろして、ドミノの気持ちとガラスの箱はぐんぐん上昇していった。

つづく

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