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142話 正体

おじいちゃんは王様なの?の少女の問いかけに老人は「王様だった」と答えた。ドムはこの暗闇の中の声を聞き取る老人がいったい何者なのか考えを巡らせた。

※ ※ ※

かつて王様だった老人は暗闇からドムへ視線を戻した。

「何か聞きたいことが沢山ある顔をしているね。でも、もう少し待っておいで。すぐに答えは見つかるだろうから」

老人はそう言って目を細めるとカップに手を伸ばして口を付けた。

「おじいちゃんはどこから来たの?」

少女は足をブラつかせながら老人を興味深々に見つめている。

「あっちだよ」

老人は暗闇の方法を指さした。あっち、とは洞窟の出口の方である。ドムは老人もちゃんとあの暗闇を通ってやってきた「人間」だと感じ少し安心した。

しかし、少女の答えは違った。

「あっちって、大きな扉の向こう?」

「え?」

ドムは老人の指差した方向を改めて目を凝らして見つめた。薄らと見えてくるその暗闇の先に第8の王の墓の入り口が見えてきた。

「え!」

ドムは驚き立ち上がって身を引いた。

「な、何で!?」

今目の前にいる王様……それは第8の王・TARU(タル)王、その人だろう。

ドムは代々記されてきた墓守の記録手帳の古い日記を思い出した。
墓守になって初日、眠れずずっと棚の手帳を読み漁っていた時間が今に繋がってくる。

第1の王DODO(ドウドウ)が残したそれぞれの王達の記録の中にも第8の王・タル王の事は残っていた。頭に王冠を乗せ、赤いローブを纏った賢い王様。口に蓄えた髭は誰にも負けず豊かだった、と記されていた。

ドムは鼓動が早くなると同時に指先から血の気が引いていくのをゆっくりと感じた。

つづく

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