2024年合判模試第2回の志望校別度数分布を眺めて@女子校編

 7/7(日)に行われました合判模試の志望校度数分布を眺めるシリーズです。今回は、女子校を扱います。これまでの記事も、併せてご参照ください。


【気になる学校】

[大妻]

 前年比109.7%、前々年比125.2%です。難易度が大きく変わるということは無いと思うのですが、大妻の志望者が2年連続で増えているのは、時代の変化を表している気がします。個人的な感想でしかないのですが、大妻の入試問題の難易度は、上位の学校よりも下位の学校に近いと感じています。イメージでは、大妻の先に壁が存在するかなと。その壁を越えられる子と越えられない子で、はっきりと差があると感じています。その壁が顕在化してきたのではないかと考えています。それゆえに、上位を目指していた御家庭が、色々な意味で大妻を視界に入れ始めた気がしています。
 難易度の境界線にある学校として、上位からも下位からも志望校難民が集まるのが大妻なのかなと感じております。

[大妻中野]

 前年比109.4%、前々年比121.7%です。大妻中野も急激に難化するという感じはしないのですが、昨今の中学受験の流れが表れている気がしています。
 大妻中野の入試問題の難易度は、それほど高くありません。6年生から始めても、間に合う子は間に合うと思います。それゆえに、遅れて受験勉強を始めた子のオアシスとしての位置付けにあるのかなと感じています。
 無理をせずとも、適切な努力をしていれば合格する可能性が高い学校です。また、偏差値60~65の女子校を目指している子が御守りにするのにも、ちょうど良い難易度です。そのような二方向からの志望者の流入があるのではないかと考えています。

[共立女子]

 前年比116.2%、前々年比125.1%です。定員が多い学校なので、少しの志望者数増でも大きく難易度は変わることは無いと考えています。
 自由が丘からは少し遠い学校なので、あまり情報を得ていないのですが、一応注意を払う程度で注目しています。

[香蘭女学校]

 前年比117.5%、前々年比136.7%です。香蘭女学校への注目の仕方は少し違って、「まだ合判模試層が希望を抱いているんだ」というものです。少し辛辣な言い方になっていますが、もう香蘭女学校は合判模試を受験していてはいけない学校になったと思っています。全く無いかと言われるとそうではないのですが、全て4教科判定になり、問題の難易度も上がり、今年合格者最低点も仕上がったので、もう以前のようなまぐれ合格は無い学校になったと感じています。
 それを考えれば、もう来年は合判模試の受験層が夢を見る学校ではないかなと思っています。そう感じていたところで志望者数増なので、わりと危ない受験になる人は多いのかなと考えています。
 問題の難易度と今年の合格者最低点を考えると、慎重な判断をしなければならない学校になったと考えています。

[東洋英和女学院]

 前年比142.5%です。東洋英和女学院も香蘭女学校と同じ注目の仕方です。合判模試では、信頼に足る判定が出せないと考えています。その中で、志望者数が増えているのは、東洋英和女学院が過小評価されていると感じるところもあります。
 東洋英和女学院は、基本的に合判模試の格ではありません。

吉祥女子や頌栄女学院は、合判模試での志望者数が順調に削れているだけに、この数字の動きには、若干の「危なっかしさ」を感じます。

[中村]

 前年比156.1%、前々年比228.4%です。前々年まで、志望者がほとんどいなかった学校で、今年急激に志望者を伸ばしています。
 女子校も、午後受験ではどこまで安全に合格を確保できるか難しいだけに、中堅層が中村中学まで広がったと考えています。まだ、受験が危険だとは思いませんが、安易には考えない方が良さそうです。

[富士見丘]

 前年比186.5%、前々年比260.4%です。富士見丘も、中村同様に昨年まで選択肢に入ってきていなかった学校です。近年の中学受験の難化に伴って、視野に入れる御家庭が増えたようです。まだ、「入学するのが大変」とはならないと思いますが、時代の変化として注目しています。

[普連土学園]

 前年比139.5%、前々年比148.2%です。今年は、かなり志望者数を増やしています。普連土学園は定員が少ないので、志望者数の増加が難化に直結する学校だと考えています。この志望者数の増加を見るに、合判模試では80%以上の子以外は、合格判定を信じることにリスクがあると考えています。第一志望であれば突っ込んで良いですが、第二志望以下で併願にと考える場合は、ある程度の実力上位の子でなければお勧めできません。

[三輪田学園]

 前年比125.6%、前々年比171.9%です。法政大学との提携以降、着実に難易度を上げています。今年は結果偏差値57まで上昇しています。第一志望であれば突っ込んでいきますが、確度が高くなるのは偏差値60を超えるくらいからだと想定します。また、どのレベルから三輪田学園が押さえになるかは、合判模試の偏差値に頼らず、慎重に判断した方が良さそうです。

[神奈川学園]

 前年比120.5%、前々年比141.5%です。まだ、難易度が高くなるという可能性は低いと思いますが、実践女子学園が中堅校の押さえにならなくなった今、東急東横線沿線の子は、神奈川学園を視野に入れなければならなくなったのだと思います。それは、志望者数が増える中で第一志望者数は減っていることが物語っていると考えています。
 個人的にお勧めしている学校の一つなので、ぜひ説明会に足を運んでほしいです。

[カリタス女子]

 前年比131.5%です。前年、前々年が横ばいだっただけに、今年一気に増えた印象です。結果偏差値でも難化傾向なので、今年も難化する可能性があります。
 1日午前に関しては、しっかりと準備をすれば合判模試の判定を信じられると思いますが、午後入試に関しては、どこから安全になるのかの判断は難しいです。合判模試だけでなく、日能研の模試も受けておいた方が良さそうです。

[聖セシリア女子]

 前年比157.9%です。まだ、難化するという印象は持ちませんが、時代の変化を感じる学校です。ここ数年、中学受験生の増加に伴い、どこで押さえが利くのかわからない時代になりました。その中で、少しずつ下位校へと選択肢が広がっている過程なのだと考えています。聖セシリア女子の志望者数が増えているのも、時代の流れだと解釈しています。

【まとめ】

 合判模試の結果は、男子よりも女子の動きの方が見えてくるようです。中学受験人口の増加に伴い、ここ数年厳しい戦いが続いていましたが、志望者の分布が、下位校へと広がりを見せています。
 今年の受験を見ると、上位校の受験者数は安定してきており、難易度が安定してきたと感じるところがあります。それに伴う上位校からの民族大移動で、中堅校はもう少し流動的になると考えています。合判模試の偏差値65~55のゾーンにある女子校に関しては、まだ激動の時代が続くのではないでしょうか。
 ただ、もう数年経てば落ち着くのではないかと考えます。志望者の一極集中が緩和され、様々な学校の評価が上がることで、偏差値に囚われない学校選択が進んでいくと考えています。中村や富士見丘、神奈川学園や聖セシリア女子などの志望者数が増えている傾向は、そういう時代を予感させる現象だと考えています。


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