【2024年】頌栄女子学院の大学進学実績を眺めて

 「大学進学実績を眺めて」シリーズです。初回は、洗足学園の大学進学実績を眺めました。

 今回は、頌栄女子学院の大学進学実績を眺めてみます。


[基本設定]
現役合格者数と現役進学者数と卒業生数を、全てHPにおいて公表している学校を対象としている。
[頌栄女子学院の基本情報]
卒業生数:206名
偏差値 :SS49(2024年 SAPIX vol.1 2/1)

国公立の進学実績について

 まずは、国公立についてです。
【進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
34名:43名:79.07%:16.50%

 東大については、以下になります。
【進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
3名:3名:100%:1.46%

 東大進学率の比較は、洗足学園の記事内で行っています。女子校の中では優秀だと思います。国公立の進学者は5人に1人とはなりませんでしたが、十分すぎるほど優秀ではないでしょうか。洗足学園と比較すると、若干見劣りしますが、洗足学園と頌栄女子学院は、1日日程で偏差値に9ポイントの差があるわけで、それを考えれば頌栄女子学院という選択肢は悪くないと思います。

早慶上理の進学実績について

続いて、早慶上理の進学実績について見ていきます。

【大学名:進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
慶應  :45名:124名:36.29%:21.84%
上智  :14名:146名:  9.59%:  6.80%
東京理科:  3名:  43名:  6.98%:  1.46%
早稲田 :30名:117名:25.64%:14.56%
※50音順

頌栄の慶應への実績が良いのは、推薦枠が大きいからという話を聞きます。とはいえ、5人に1人が慶應に進学する学校っていうのは…異次元です。さらに言えば、3人に1人以上が早慶のどちらかに進学しています。国公立と合わせれば、2人に1人は国公立早慶に進学しているわけですから、SAPIXの偏差値49は、本当に意味が分からないです。感覚が狂います。
そして、上智と理科大に関しては、相変わらずの押さえ校感。洗足・頌栄クラスになると、もう何が何だか…という感じです。

GMARCHの進学実績について

さらに、GMARCHの進学実績について眺めます。

【大学名:進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
青山学院:8名:  65名:12.31%:3.88%
学習院 :2名:  21名:  9.52%:0.97%
中央  :3名:  36名:  8.33%:1.46%
法政  :4名:  49名:  8.16%:1.94%
明治  :7名:122名:  5.74%:3.40%
立教  :6名:  96名:  6.25%:2.91%

頌栄になると、7人に1人くらいはGMARCHに進学するという感じです。それにして、GMARCHの合格実績は実態に則さない数字だということがわかります。
 結局、こういうのを見ると、大学の偏差値にも意味があるのか疑問に思ってしまいます。結局、確実に合格できる層は、ほぼ確実にそこに行かないんでしょう。特に、「GMARCH」とか「上理」というように業界主導でラベリングされているところは、「とりあえず、取っとく?」みたいなノリなんだと思います。大学側も受験者数を集めるためのブランディングに活用し、高校側もブランディングのために活用しているのでしょう。そこに教育力の実態があるとは思えません。そういう点においても、洗足や頌栄のように、しっかりと進学実績を公表している学校には、好感が持てるというものです。

まとめ

 ここまで頌栄の進学実績を眺めてきましたが、洗足との差は「東大合格率」だけと感じています。頌栄は医学部医学科の実績を分けていなかったため分析していませんので、「医学部医学科を目指す」という目標を持つのであれば、中学受験のときに洗足まで頑張るのも良いのでしょう。ただ、東大や医学部医学科にこだわらず、「私学でいいかな」「早慶に進学させたい」というのであれば、頌栄を選択するのは悪くない話だと思います。
 重要なポイントは、「何のために中学受験をするのか」という目的だと考えています。先にも指摘しましたが、洗足と頌栄はSAPIXの偏差値表で9ポイントの差があります。洗足を目指そうと思えば、頌栄よりも追い込まなければなりません。また、洗足の偏差値に届かないことに絶望を感じることもあるでしょう。しかし、頌栄であれば、SAPIXの偏差値45くらいからでもチャンスはあります。洗足を目指すよりは、多少の心のゆとりが生じることでしょう。
 最終的には趣味の問題なので、「頌栄は合わないな」「洗足の雰囲気に憧れている」という思いがあれば、それを曲げる必要はありません。ただ、偏差値至上主義的な価値観に苛まれているのであれば、少しだけ冷静に環境を見つめることも必要かと思います。頌栄と洗足は、そういう関係だと考えています。
 一つだけ注意点があるとすれば、頌栄は問題との相性がはっきりと出る学校というところでしょうか。頌栄は、洗足と違い4教科が均等配点です。また、試験時間も短いため処理速度の遅い子は苦戦します。模試に対応できている子でも、頌栄の問題に苦戦することはあるので、模試の偏差値だけで考えるのではなく、しっかりと過去問で問題との相性を確認して準備する必要があります。

いずれにせよ、あえて誤解を恐れずに言うのであれば「別に頌栄でも良いんじゃね?」というところでしょうか。この学校がSAPIXの偏差値50に届かないのですから…


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