【2024年】洗足学園の大学進学実績を眺めて

 私立学校が進路指導状況を開示するとき、一般的には「大学合格実績」を公表します。ただ、「合格実績」というのは一人が何校も合格しているケースがあるので、一概に評価するのは難しいです。その点、「合格実績」だけでなく進学先も公表している学校は誠実だと感じます。洗足学園は、その進学先一覧を公表している学校です。

 そういうデータを公表いただければ、様々な分析が出来るというものです。そこで今回の記事では、様々な視点で洗足学園の進学実績について分析をしたいと思います。


東京大学の進学実績について

 まず、洗足学園の東京大学の合格者についてです。既卒も含めると15名で、現役合格者数は14名になります。約20人に1人の割合で進学者を出しています。
 進学先一覧を見ると全員が東京大学に進学しています。「まぁ、そうだろうな」という感じです。余程のことが無い限り、東大に合格した子は東大に進学するのでしょう。そうすると、東大は、進路指導力の比較資料として利用可能だということがわかります。そこで、少しだけ比較してみましょう。

 洗足学園の卒業生は238名なので、現役東大合格率は5.88%になります。それを他校と比較してみます。

[対象]
※卒業生数を、HPに明記している学校のみ。
※SAPIXの偏差値50以上の女子校(いずれかの日程で)。

【学校名:現役合格者数:卒業生数:合格率】
浦和明の星:  2名:166名:1.20%☆
吉祥女子 :  1名:273名:0.37%
頌栄女子 :  3名:206名:1.46%
白百合  :  2名:166名:1.20%☆
洗足学園 :14名:238名:5.88%
東洋英和 :  2名:188名:1.06%
豊島岡  :22名:359名:6.13%
雙葉   :  7名:178名:3.93%
横浜共立 :  1名:173名:0.58%☆
☆は、現役浪人の区別が明記されていない。
※50音順

桜蔭やJGに関しては、卒業生がHPに明記されていませんでした。調べればわかると思いますが、今回は外しています。このデータだけ見れば、洗足学園は、もう豊島岡と同格で考える必要があるようです。逆に、それ以外の学校とは、すでに別格になっているとも言えるでしょう。

国公立の進学実績について

 次に、国公立の進学実績についてです。国公立に関しては東大と異なり、合格しても進学しない生徒が一定数いるようです。しかし、どこに進学していないのかというような分析は今回は行わず、「国公立」という括りで言及します。
 また、東大については「国公立」の括りからは除外します。

進学者数:現役合格者数:進学者数/合格者数:進学者数/卒業生数
47名:63名:74.60%:19.75%

となります。東大を含まずとも約5人に1人の割合で、国公立の進学者を出しています。その数字をどう感じるかは人それぞれだと思いますが、個人的な感想を述べれば、「凄いな…」の一言です。

医学部医学科の進学実績について

 次は、医学部医学科です。

[医学部医学科全体]

進学者数:現役合格者数:進学者数/合格者数:進学者数/卒業生数
13名:35名:37.14%:5.46%

です。東大と同じく、約20人に1人の割合で進学しています。
 ただ、国公立のところにも含んでしまっているので、私立のみのデータも算出しておきます。

[私立医学部のみ]

進学者数:現役合格者数:進学率/合格数:進学率/卒業生
7名:26名:26.92%:2.94%

私立医学部だけだと、このような数値になります。このデータを国公立の合格率に足すと、全体の約30%が国公立医学部へ進学していることがわります。

早慶上理の進学実績について

 次に早慶上理の進学実績についてです。まずは、洗足学園の早慶の進学率についてまとめます。

[慶應・早稲田]

学校名:進学者数:現役合格者数:進学率/合格者数:進学率/卒業生数
慶應大学 :24名:74名:32.43%:10.08%
早稲田大学:34名:99名:34.34%:14.29%
※50音順

 このデータからは、約4人に1人が早慶のどちらかに進学していることがわかります。国公立医学部早慶という括りで言えば、洗足学園からは約2人に1人以上が、その括りの大学に進学していることがわかります。
 次は、上智と東京理科大です。

[上智・東京理科]

学校名:進学者数:現役合格者数:進学率/合格数数:進学率/卒業生数
上智  :13名:87名:14.94%:5.46%
東京理科:14名:76名:18.42%:5.88%
※50音順

 上智・東京理科大になると、一気に押さえ校感が出てきます。「進学率/合格数」が一気に下がります。それでも約10人に1人の割合では2校へ進学しているので、洗足学園には一定数の進学者がいることがわかります。
 ただ、一つ言えることがあるとすれば、世の中の「早慶上理」という括りは、あまり実態に適していないというところでしょうか。やはり、「早慶」と「上理」の間には壁があるように感じられます。

GMARCHの進学実績について

 最後にGMARCHについてです。

学校名:進学者数:現役合格者数:進学率/合格者数:進学率/卒業生
青山学院:6名:  69名:  8.70%:2.52%
学習院 :2名:  13名:15.38%:0.84%
中央  :5名:  43名:11.63%:2.10%
法政  :1名:  56名:  1.79%:0.42%
明治  :5名:130名:  3.85%:2.10%
立教  :8名:  92名:  8.70%:3.36%

です。全部合わせても、早稲田への進学者数に敵わないです。こうなってくると、「10人に1人はGMARCHに進学する」と表現になるのか、「10人に1人しかGMARCHには進学しない」と表現するべきなのかわからなくなります。そして、その表現の温度もわからなくなってしまいます。

まとめ

 ここまで、洗足学園の大学合格実績について、簡単な数値を算出してみましたが…改めて数値を見ると「次元が違う…」という感想しか出てきません。私は、GMARCHは良い大学だと思っています。世間一般の認識で言えば、そうだと思うんです。しかし、洗足学園までになると浮世離れ感が半端ないです。
 それを思うと、「洗足学園に行く必要あります?」って思っちゃいます。いや、ある人はあると思うんですけど、世間一般的な感覚で言えば「洗足学園である必要はあります?」っていう人の方が多いと思うんです。少なくとも、私はそちら側の人間ですし、自分がマジョリティだと思っています。だから、本当に洗足学園に進学することの意味を理解し、それほどの志を抱いて中学受験に取り組んでいるのか、今一度考え直してほしいと思っています。もちろん、その過酷さを理解した上でチャレンジするのは良いことだと思います。ただ、理解していなければ…

 これがSAPIX偏差値58の学校です。さらに言えば、合格確率80%が偏差値58であって、実際に進学している子達は、それよりも低い偏差値の子の方が多いと思います。それゆえに、今一度SAPIXの偏差値の意味を考えてほしいです。

そうでないと、理解しないままお子様を勉強に駆り立てていれば、簡単に壊してしまうはずです。それが、今の中学受験です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?