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SAPIXの偏差値に思うこと

 最近、SAPIXに通塾されている方の学習相談が増えてきております。その中で強く感じることは、SAPIXの偏差値がとても過小評価されていることです。そのために間違った判断をしがちな人や、子供に対して間違った評価をしがちな人が多いと感じております。

 これまでの記事でも述べてまいりましたが、SAPIXの偏差値は一般的な感覚よりも圧倒的に低い数値が算出されます。偏差値はあくまで相対的評価ですので、SAPIXの入室テストを超えられるレベルの子がSAPIXの難易度の問題で競い合って算出されるものであれば、当然そういうことになります。
 もし、そのテストを小学生全員に受けさせようものなら、0点が続出で偏差値を出すどころの騒ぎではなくなります。ゆえに、その難易度の試験に参加して得点できている時点で、本来は優秀なのです。
 かりに偏差値40を超えられようものなら、その子は超優秀生です。SAPIXの偏差値40~45の間で戦える子であれば、日能研・四谷大塚の偏差値55~60の間で戦えるのではないでしょうか。前にも申し上げましたが、SAPIXの偏差値50を超えさせる指導よりも、日能研・四谷大塚の偏差値60を超えさせる指導をする方が楽だと感じます。それくら、SAPIXの偏差値ミドル層は厚く、そして実力があります。

 それがSAPIXのご家庭の学習相談を受けていると、そういう基準で考えていらっしゃらないようです。偏差値40を割るようなことがあれば、確かに転塾を考えてもいいと思いますが、偏差値50を割ったくらいのところでも「うちの子はついていけていない…」となっていると、現場の人間としては「え!?」となってしまいます。SAPIXの偏差値50を超えることができるようなことがあれば、その時点で神童認定してもいいくらいです。

 忌憚なく申し上げれば、SAPIXの偏差値50に到達している子を悲観している保護者の方を見ると、心の中では「親御さんが、その時分に自分の子供の水準の学力を有していた可能性は、限りなく0%に近いんだけどな…」と思ってしまっています。ほぼ、無理です。時代が違い過ぎるので。もし、自分の子供がSAPIXの偏差値50に到達したとすれば、ただただ敬意を抱くだけで、悲観的になることは露ほどもありません。

 それ以上に、子供の立場で考えれば苛立ちを覚えるかもしれません。SAPIXの子供たちは、心の中では「じゃあ、お父さん・お母さんがやってみろよ」と思っているはずです。それを口に出したとしても「孝」に背くことにはならないでしょう。正当性は子供側にあります。それを言わずにグッと飲み込んでいるとすれば、その子はよほどの人格者です。そのことを賞賛できます。

 それくらい、SAPIXの偏差値は浮世離れしたものです。それが偏差値55以上にもなってしまえば、「霞を食べて生きているんですか?」というくらいの浮世離れ感です。SAPIXの方の学習相談を受けるときは、ほぼ確実にそういう話になります。

 ゆえに、SAPIXの方の学習相談を受ける場合は、明確な基準を設けております。それは

「偏差値40を切ることが無い限り、転塾は勧めない」

というものです。偏差値40を切ってしまうと、SAPIXの負荷がオーバーワークになってしまっている危険性があります。そういう場合は、負荷を落としてあげた方が、かえって成長するものです。したがって、SAPIXの場合は偏差値40を一つの基準として考えております。どんなに失敗しても、偏差値40を下回らない子に関しては、「頑張れ~」と励まして、別の形のサポートをさせていただいています。

 また、低学年でその子の志望校が高い場合は、一度はSAPIXへのチャレンジを促しています。私たちは、どうせ中学受験をするならSAPIXへのチャレンジを経験することはプラスだと考えております。SAPIXは大変な学習塾ですが、それに耐えきることができた子は、それだけ成長するものです。耐えられる可能性のある子に関しては、その可能性を摘まないように心がけております。

 私たちの学習相談では、転塾の有無に関わらず、前向きに中学受験に取り組めるようにサポートさせていただきます。SAPIXに通われている方にも、先に挙げた基準をもとに、不安を煽って無理に転塾を勧めることはありません。限りなく冷静に客観的なお話をさせていただくことを心がけております。もし、ご不安やお悩みがありましたら、ぜひ気軽にお越しください。


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