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大学附属校のメリット、デメリット

こんにちは!
BOX OUT 講師の Tad です。
今回は大学附属校のメリット、デメリットについて書こうと思います。

実は私自身、大学附属校(高校から)の出身です。
その経験を踏まえ、あくまで私自身が感じたメリット、デメリットをここでは紹介させていただきます。

<メリット>
1. 思いっきりやりたいことができる環境が用意されている

一番大きいポイントとしては、これに尽きます。
受験の心配が無い環境の中で、自分がやりたいと思ったことに全力が尽くせる環境が用意されています。
勉強でもスポーツでも芸術でも起業でも読書でも遊びでも、自分でやりたいことが決まっている人にとっては最高の環境です。
大学附属校は通常総合大学と繋がっているため、ある程度までは自由に大学の施設等を利用できます。
学校の教師も大学の教授陣とコネクションがある場合が多く、必要であれば紹介してくれましたし、大学の授業、部活動、サークル等に潜り込むこともできました。(← 私が在学していた頃に比べると、最近は多少厳しくなったとも聞いていますので一応補足します。)

2. 授業が自由奔放である
全ての大学附属校がそうかまではわかりませんが、私の通っていた高校の授業は、通常の学習指導要領から大きく外れていました。
教師は、かなりの裁量を持って、独自の講義内容で授業を行っていました。
例えば、高校 2 年生の「世界史」の授業は、丸 1 年かけて大航海時代の僅か一部分のみを扱う授業でした。
ただ、授業の中では当時の経済の動き、政治制度や勢力関係、世論や一般庶民の暮らし、戦争における細かい戦いの詳細や経緯、それらを背景とした文化的な動き、はたまた地下経済や各国の思惑に至るまで、通常の学習指導要領を逸脱した範囲に至るまで事細かに教わりました。
後に大学に進学して分かったことですが、それは正に大学における「研究」そのものでした。
要するに、附属校の授業とは「≒ 大学の講義」なのであり、それ故に「学生に理解させる」のではなく、「学生に大学では何が求められているのかを伝える」ということに主眼が置かれているのです。
この経験は、大学で学問に取り組む上での基礎になりました。
それだけでなく、社会に出てから今に至るまで、私の人生に大きく役立っています。

3. 濃密な人間関係が形成される
大学附属校の人間関係の多くは、その後大学を卒業するまで継続します。
そういう意味で、大学附属校で出会う者同士は、双方が長い付き合いになることを前提に仲を深めます。
中学からであれば 10 年、高校からでも 7 年間は嫌でも一緒に過ごすことになります。
それ故に人生のその他の場面で生まれた繋がりに比べて、遥かに濃密な人間関係になることが多いです。

4. 大学の理念を徹底的に深く学べる
大学附属校で学ぶことが出来る中で最も濃密なコンテンツは、実は「その大学の理念」です。
歴史のある大学になればなる程、非常に奥深い理念や思想、創始者の強い想いが存在するものです。
そこには、その大学やその附属校で受ける教育を通じて、自分が体現すべき人間としてのあり方が強烈に込められています。
例えば、私が卒業した大学で言うと(ここまで書いてしまうと、大学名がバレてしまいますが)、「我日本国中における気品の泉源、智徳の模範」であることや「居家、処世、立国の本旨を明に」すること、「躬行実践、以て全社会の先導者たらん」こと等が求められています。
これらの理念は、思想的な好みの差こそあれ、社会を生きていく上で大きな指針となるものであり、自分が揺らぎそうな時に支えとなってくれる類のものです。
大学附属校では、このようなことを体の隅々まで叩き込まれます。
最も価値のあるコンテンツを余すことなく血肉とする上では、大学附属校は非常に良い環境であると言えるかと思います。

<デメリット>
1. 「勉強」が、あくまで「したければすること」になってしまうこと

前述した通り「大学附属校の授業」は、一般的な授業というより「大学の講義」に近いものになります。
それゆえに、どうしても「興味があれば勉強して良いし、無ければ勉強しなくても良い」という感じになってしまうのが現状です。
そのような環境では、いわゆる一般的な「勉強」の優先順位が低くなりがちになります。

2. 大学と学部の選択肢が極端に狭まること
大学附属校に入学した段階でやりたいことの方向性までは見えていたとしても、やりたいことが具体的に見えているというケースは非常に稀有です。
そういう意味で、入学後にやりたいことが見つかった場合に「それを専攻できる学部が進学予定の大学に無い」ということも起こり得ます。
実は、私がそのパターンでした。
中学生の頃、私は動物の解剖が得意だったこともあり、その延長線上で「医者になりたい」という気持ちを持って附属校に入学しました。
しかし、高校 1 年生の時に大学の医学部を見学する機会があり、そこで自分が人間の血を直視できないことを知りました。(今でも苦手で、ドラマ等で血が吹き出すようなシーンは目を逸らします)
ただ、人間の血はどうしてもダメでも、「生物」に関してはとても深い興味がありました。
その一方で、自分の進学予定の大学には DNA や生命情報に関する専攻はあったものの、生物そのものに関して学べる学部や専攻がありませんでした。
また、そこから大学受験しようにも、高校はその手のことは殆ど教えてくれないので、どうすれば良いかわからず、途方に暮れてしまった時期もありました。
結果的に、違う分野(商業や経済学、そして趣味の囲碁)に興味を見出し、そちらに熱中することになったのでそれはそれで良かったのですが、現実と理想の間で苦しんだことは確かです。
このようなリスクもあることを大学附属校に進学する際には考慮に入れておく必要はあると思います。

3. 学費が高いこと
一般論として、大学附属校はそうでない学校に比べて学費が高い傾向にあります。
これは「大学にそのまま進学できる権利を買っているようなものだから」というのが、よく言われる理由です。
たしかに、大学進学を見据えた場合には、予備校等に通う費用もかかってくるので、総合的に見てどちらが高いとは言い難い面もあります。
しかし、進学させる親としては、一般的なものより高い学費を支払うことを覚悟する必要があります。

4. 自分で「何をすべきか」を決めなければならない
私の場合はこの問題はありませんでしたが、周りではこのことについて思い悩む同級生がいたことは事実です。
大学附属校でない学校に行った場合、学生は基本的には次の受験に向けた勉強や、学校が定める検定に向けた学習等を行うことになると思います。
つまり、ある程度は「何を、どのように勉強すべきかを学校が教えてくれる」ということです。
しかし、大学附属校は、公序良俗や一般社会常識に反しなければ、何をしていても強く注意されることがほとんどありません。
また、何をすべきかということについて指導されることもありません。
そういう意味で、それまで先生や親に言われるままに生きてきた真面目な子ほど「迷子」になってしまうリスクが潜んでいます。

勿論、大学附属校にもそれぞれ特徴があり一概には言えないと思いますが、ご出身の方が読まれれば、ある程度頷いていただける内容かと思います。
私の主観で言えば、大学附属校でない学校に進学したらそちらでもそれなりの人生もあったとは思いますが、トータルすれば大学附属校に入って良かったです。
思春期の多感な時期に自由を謳歌し、やりたいことにかけたいだけ時間をかけられたことは、とても贅沢なことだったと思いますし、その中で学べたことには、とても大きな価値があったと実感しています。

もし、「お子様が大学附属校への進学をご希望されている」「お子様の進路を検討する上で大学附属校の内実をより深く知りたい」等というご家庭がいらっしゃいましたら、いつでもお気軽にご相談ください。


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