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「速読」について

近年、「速読」に積極的に取り組んでいる学習塾が多いようですが、私たちは「速読」には取り組まない方針です。
ただ、サービスが少ないことを不安に思われる方もいらっしゃるとも思うので、私たちがそのような方針をとる理由についてここで書いておこうと思います。

勉強するときに「速読」の能力があった方が良いかどうかというと、本当の意味で出来るなら当然あった方が良いです。
読むのが速ければ、それだけ作業効率が上がるので、必然的に勉強量を増やすことが可能ですし、有益かも知れません。
ただ、中学受験で速読する力が必要かと問われれば、私たちは必要ないと考える立場です
その理由は 2 点あります。

1. 勉強量を増やすために必要な能力が速読だけではないから
確かに読むスピードが速ければ、それだけ勉強量を増やすことができます。
しかし、それで質が高まるわけではありません。
「読む」という動作は、非常に複雑な動作です。
質を高めようと思えば、「速さ」以外の観点が大切になります。(このことについては、とても重要なので、改めて別の記事で説明します。)
故に、「読む速さ」にこだわりすぎる必要はありません。
「読む速さ」は、自然と身に付くレベルで問題ないと思います。
いわゆる最難関校に合格した教え子の中にも、読むのや解くのが遅い子は多くいました。
そういう子達を見てきて言えるのは、不自然なまでの速読術は、中学受験では必要ないということです。

2. 入試問題が速読を前提に作られていないから
受験の入試問題は、普通の速さで読めれば、普通に解くことが出来るように作られています。
学校側は、受験生に「読む速さ」を求めていません。
当然ごとく、その能力で決着するような時間設定にはなっていないのです。
基本的な能力が研かれていれば、自然と身に付くレベルの読む速さで問題ありません。
中学受験におけるトップレベルの子でも、6 年生の最終盤で「解く速さ」に関する能力が完成します。
9 月頃に過去問を解き始めた段階では、優秀な子も当然のように時間配分に失敗します。
ただ、そこから徐々に研ぎ澄ましていき、ほとんどの子が入試までに対応力を身に付けます。
その成長過程を見ると、「読む速さ」と「入試の対応力」は関係無いというのが私たちの見方です。
塾講師として様々な学校の入試問題を研究してきましたが、速読術が必要だと感じた入試問題を出す学校にこれまで一校も出会ったことがありません。

したがって、私たちは殊更に「速読」のトレーニングに時間と労力、費用を掛ける必要性は無いと考える立場です
むしろ、「速読」よりも「熟読」が出来るようになった方が良いと考えます。(「熟読」についても、重要なので改めて書こうと思います。)

最後に、お子様の成績が上がらない原因が「速読」にあるかもしれないという可能性を示唆してくれている動画のリンクを貼らせていただきます。


私たちは、ここまで過激な文章を書けないので、ここでは虎の威を借りたいと思います(笑)
この動画で語られていること全てが正しいとは申しませんが、少なくとも中学受験をする小学生に速読を無理してやらせる必要が無い理由としては、正鵠を射ていると思います。

学習や受験について等、お気軽に何でもご相談ください。


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