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中学受験の模試の使い方

これまでに、模試の考察について記事を書き溜めてきました。

そこで、今回の記事では、中学受験で行われている模試について、現時点で考えられる使用法についてまとめてみます。
なお、記事の内容は自由が丘を中心に考えます。
東急線沿線にある学校、そこからアクセスして通いやすい学校を例に挙げさせていただきます。

※ この記事は、あくまで私たち講師陣の経験に基づく主観的なものになってります。

【SAPIXの模試について】

まず、SAPIX の模試についてです。
SAPIX の模試は、最難関の学校を目指すためには重要な指標になります。
その模試の難易度と母集団は、最難関を目指す子の実力を測るのに最適だと考えます。
というよりも、最難関を目指す上では SAPIX を母集団とする相対的評価を知らないほうが怖いです。
最難関を目指す上でのその子の習熟度を考える上で、SAPIX を母集団とする情報は不可欠と考えます。

たとえば、麻布駒場東邦慶應普通部の受験を考えるのであれば、SAPIX の模試を活用するべきでしょう。
共学校でいえば、渋谷教育学園渋谷慶應中等部も同じことが言えます。
個人的な感覚値で言えば、女子校の洗足学園も、すでにその領域なのではないかと感じています。
ここは判断が難しいところですが、「大は小を兼ねる」の理論で考えれば、SAPIX の模試で良いのかなと思うところです。

逆に、上記と同等レベル以上の学校を目指すつもりが全くなければ、SAPIX の模試は受ける必要が無いと考えます。
その問題の難易度、母集団のレベルの高さのために、不必要に自信を失う危険性さえあります。

【四谷大塚の模試について】

次に四谷大塚の合不合判定テストについてです。
こちらは、以前の記事でも書きましたが、以前に比べると若干難易度が上がっていると感じます。
その意味では、SAPIXの模試に近づいている印象です。
難易度だけでいえば、最難関を目指す子が受けても、個人の実力を測れると思います。
ただ、SAPIXの模試と比べると母集団の実力は低いため、合不合判定テストの母集団にどれほどのライバルが存在するかは不明です。
ゆえに、最難関を目指すのであれば、やはりSAPIXの模試がお勧めです。

その意味で、合不合判定テストが正しく判定を示せる学校としては、男子校では浅野サレジオ、女子校では鴎友頌栄といった学校になると踏んでいます。
ここでも「洗足学園はどちらにするんだ」問題が発生しますが、洗足学園に関しては、合不合判定テストでも良いような感じもします。
つまり、どちらでも問題ないのかと思います。

【日能研の模試について】

3 つめは、日能研の合格力判定テストです。
こちらは、中堅上位校志望の子たちにお薦めです。
模試の作りが基本に忠実で、真面目に勉強している子の努力が報われる作りになっていると考えています。
そこまで応用力が求められているわけではなく、中学受験の基礎学力がしっかりと備わってれば、それに対して正直に結果を出してくれるはずです。

それゆえに、模試の判定に信頼が置ける学校も、男子校であれば攻玉社世田谷学園等を第一志望に考えている子、女子校であれば香蘭東洋英和等の学校、共学校で言えば青山学院中大横浜法政第二等が挙げられます。
近年の大学付属人気に乗って人気を高めている GMARCH 付属校は、偏差値上は難関校と同じ難易度に感じられると思いますが、問題の難易度がそれほど高くないところが多いです。
SAPIX の模試や合不合判定テストの難易度に対応できなくとも、合格力判定テストの難易度に対応できれば、その学校の入試問題にも対応できるはずです。
ゆえに、個人的には合格力判定テストの受験をお勧めします。

中堅上位校までの受験を考えている方は、SAPIX の模試や合不合判定テストを受ける必要はないと考えます。
その学校を目指すにあたって、その難易度の問題は必要ないということがあり、不必要に自信を失ってしまうことがあるでしょう。
それは、それで模試のリスクです。合格力判定テストの難易度は、結果を出すことができれば自信を持っていいですし、もし結果を出せなければ適切に危機感を持つ必要があると言えます。
その点で考えると、中学受験の模試の中では、合格力判定テストが一番バランスの良い模試です。

【首都圏模試センターの模試について】

最後に首都圏模試センターの合判模試についてです。
こちらの模試は、中学受験のスタートラインとして考えていただく模試です。
この模試で偏差値50を超えられれば、小学校の勉強のレベルでいえば、すでに優秀だと言えます。
全く中学受験の勉強をしていない子が、いきなりこの問題を解いても、ほとんど解くことができません。
合判模試の算数偏差値50に到達することが、私立中学受験のスタートラインと考えていただいて良いと思います。

合判模試を受験の合格確率判定に使おうとすると、女子校では田園調布普連土等を第一志望にする場合は、合判模試でも十分です。
共学校で考えると、青稜都市大等々力日本大学等を第一志望にする場合は、合判模試でもある程度は問題ないかと思います。
男子校を目指すのであれば、合判模試以上の難易度の模試をお勧めします。
また、上記の学校を目指すにあたっては、やはり日能研の合格力判定テストまで対応できていた方が良いのは現実です。
特に青稜に関しては、合判模試のところで話題に挙げましたが、今年の難化を見ると、すでに合判模試では心許ないかもしれません。

合判模試に関しては、中堅以上の学校を受験する場合、その判定を出すには心許ないです。
ゆえに、少しでも上位を目指すのであれば、日能研の合格力判定テストに格上げをした方が良いです。
合判模試は、あくまで私立中学受験のスタートラインに立てたかと津中堅以上への挑戦権を得たかを確認するものとして活用するべきだと考えます。

【おまけ:アタックテストについて】

おまけで、アタックテストについても、少しだけ触れておきます。
恥ずかしながら、中学受験の世界に身を置いていながら、アタックテストの存在については、これまで知りませんでした。
この学習塾を開校して以降、初めてその存在を知ったので、正直を申し上げますとよく分かっていません。
ただ、これまでの学習相談で伺ったアタックテストの情報と合格判定の結果を見るに、あまり精度の高い模試ではないと感じています。
おそらく、テストを受けている母集団に中堅以上の受験者がそんなに存在しないのではないかと考えられます。
そのため、他社の模試と比較すると、その合格判定の数値に疑問点が多く現れます。
ゆえに、現時点での母集団で行われている限り、アタックテストは中学受験の合格判定を信じるのは、危険な中学受験になりかねないと思われます。

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