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閑話休題-かけがえのない人へ

白石一文『かけがえのない人へ』の最後のシーンが頭に浮かぶ。

「かけがえのない人」だから。

そう自覚した二人の行動が真逆。

「ほかならぬ人へ」

読んでない人はきっと知らない。白石一文の直木賞受賞作が表題作の「ほかならぬ人」と「かけがえのない人」の2作だという事。

「ほかならぬ人」も良い作品。なんて言葉は陳腐。

でも。分かりやすいかもしれない。物語は、名家に生まれた主人公と身分違いと言われている妻との結婚生活の破綻から始まる。

これだけ読むと、そりゃ破綻するだろ。と思うかもしれない。そんな事はない。されど破綻する火種のある結婚だった。自分にとって「他ならぬ人」を自覚はしていない。自覚はしていなくても思い定めてしまっている。主人公だけではなく、複数の登場人物の状況からそんな事を思ってしまう。

「かけがえのない人へ」は対照的。

「かけがえのない人へ」

ほとんど二人の物語。

ただ。一言言いたいのはただの浮気女の物語ではない。

ちょっとした瞬間に垣間見えるかけがえのなさ。

かけがえがないって。

ついうっかり。相手のために習慣になってしまっていること。

2作で1作

なんでなんだろう。なんでなんだろう。

とずっと思っていた。

1作ずつじゃないのは何故だったのだろう。

でも今日ちょっとだけ見えてきた気がする。

言葉としては似ているけれど、真逆な作品だからかもしれない。

閑話休題

本稿を書き終わってから以前『ほかならぬ人へ』について書いてる事を思い出した。どれだけ好きなのかしら笑

前と何か違った?-白石一文から感想を聞かれて

書いてる事が違う。。。気がする。


【参考】

白石一文『ほかならぬ人へ』祥伝社 平成25年1月20日初版(文庫版。四六判は平成21年11月刊行)

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