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前と何か違った?-白石一文から感想を聞かれて

「前と何か違った?」

白石一文から問いかけられているような気がする。

積読のうち1冊、『ここは私たちのいない場所』と『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』の上巻を読了。「江國香織と白石一文を待たせてる」で書いてある白石一文の読んでいる作品は、基本的に直木賞受賞前の作品がほとんどである。受賞作『ほかならぬ人』と『翼』は持っているから何度か読み返していた。

『ほかならぬ人へ』

は、「ほかならぬ人へ」と「かけがえのない人へ」の二本立ての1冊だ。両作ともに胸に訴えかけてくるものがあるが、私にとっては「かけがえのない人へ」の方が印象的だ。それは、婚約者がいながら上司と関係のある女性が主人公だからではない。人にとっての「かけがえのない人」に、正しさとか世間とか、周りなんて関係がないという事だ。

ほかならぬ人=オンリーワン

かけがえのない人=一人に複数人いるけど、でも、その人の代わりになる人はいない

ほかならぬ人は、見つけるのなんて奇跡みたいな感じがするけれど、かけがえのない人はもっと身近な存在な気がする。例えば、恩師とか親友とか両親とか。代わりが効かない存在。だけど一人じゃない。

『翼』

運命の人はいるのか?という問いを、「運命の人」と認定された人の視点から描かれた物語。

「貴方は私の運命の人です」

と言った人じゃなくて、言われた人視点の物語。

言われた人、当然、「は?」という反応。

白石一文という作家さんは、小説で論証しようとしている人だと思う。『私という運命について』では、「運命」を、『翼』では、「運命の人」を。だから読んでいる時の感覚はミステリーを読んでいる感覚に近い。次が読めないから、「どうなる?どうなる?」とワクワクさせられる。

『ここは私たちのいない場所』

は、、、多分、「子供を持つ」という事が命題だった様な気がします。それは、読み途中の『もそうかもしれない。読んでいて端端に感じたのは、「運命の人はいない、、、」という様な諦めの様な雰囲気。

まだ一回しか読んでいないから、わからない。まだ断定出来ない。本は1冊を何度も、一人の作家さんの本を何冊も読み込まないと気が済まない。作品の中にある作家さんの主義主張の様なもの。それを探したくて私は本を読む。

それでも歴史は続いていく。


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